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三菱燃費不正問題の根源は何か? 試験の限界と企業倫理も考える

走行抵抗値をメーカーが自主申告するのはなぜか?

読者の中には、なぜメーカーが走行抵抗値を自主申告するのか疑問に思う人も多いと思うが、開発中のクルマはデザインをはじめ機密扱いの部分が少なくない。それに、日本メーカーは多品種少量生産による派生モデルが多いので、そのつど走行抵抗を測るのはメーカーでないと難しいのだ。政府がすべてのテストを実施すると巨大な組織が必要で、膨大な税金が使われることになってしまう。測定作業はメーカーに任せつつ、不正を抑止するための抜き打ち試験などを実施するのが現実的だろう。

日本は昭和53年(1978年)排出ガス規制から、アメリカのマスキー法(1970年に改正されたアメリカの排出ガス規制)に準じた厳しい排ガス規制を敷き、公的機関による試験が行われてきた。もともと、シャシーダイナモを使った測定は燃費測定ではなく排ガス試験のためだったのだ。排ガスの規制値は法令で定められているが、燃費は定められていないので、「届出値」という定義であった。つまり、三菱自動車の開発部門は、燃費なら多少の偽造は問題ないと軽く考えていた節がある。

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