ヨコハマ史上最高の静粛性を謳う「アドバンdB」は、静かなだけではなかった
掲載 更新 carview! 文:山田 弘樹/写真:横浜ゴム
掲載 更新 carview! 文:山田 弘樹/写真:横浜ゴム
ウェット旋回テストでは、明らかに操作性が上がっていた。滑り出してからのコントロール性やトラクションの掛かり具合はもちろんなのだが、V552はそこへたどり着くまでの過渡領域が圧倒的に穏やかなのだ。
前作V551のように腰砕けしないのはまさにタイヤの変形が抑えられているからであり、オーバーのみならずアンダーステアが出始めるような場面も、限界領域が見定めやすい。そしてその穏やかさから、ESC(車両安定装置)の効き方までマイルドになる。性能チャートではV551とウェット円旋回タイムは同等とのことだったが、操作性は明らかによい。
ただ一方で、タイヤの能力が勝ちすぎているとも思えた。それはものすごくグリップが高い、という単純な話ではない。むしろ普通に走っている限りはそのグリップ感はさらっとしていて、ハイグリップタイヤのような雰囲気はみじんもない。
それなのにV552は、タイヤがたわむ感触がないままにとんでもない旋回速度でコーナーを曲がってしまうのだ。ボクが「このクルマなら、このくらいの速度まで落とすだろう……」と予想するよりも明らかに速い旋回速度で、楽勝にコーナーをクリアしてしまうのである。それも、タイヤすら鳴かさずに。
とくに高速周回路ではその感覚が顕著で、V552を履きこなしているのはメルセデスのE220dだけだった(同条件での他の試乗車はカムリ、ヴェルファイア、レクサスLS)。E220dの重厚なボディがタイヤを適度に潰し、がっしりとしたステアリング剛性、モーター制御が力強い電動パワーステアリングだけが、ステアリングの切り始めからV552の接地感をあますことなく伝えてきた。
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