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白と黒のクルマばっか! 地味すぎるニッポンの道路景観を明るくするには?

白と黒のクルマばっか! 地味すぎるニッポンの道路景観を明るくするには?

イラスト:いらすとや

日本の道を明るくする責任と義務がお金持ちにはあるという考え方

そのように大切なお金をなるべく減らしたくないと考えるのはこれ人情というもので、何人たりともそのマインドを否定することはできない。ましてや自動車ライター風情が無責任に否定できるものでは決してない。

まあね、わたしも新しいベンツCクラスを買うとしたら「ポーラーホワイト」を選ぶと思いますよ。なぜならば、それが現行Cクラスで唯一の無償カラーだから。

同じ白系でも「ダイヤモンドホワイト」を選ぶと19万5000円も高くなるし、「オブシディアンブラック」でも9万1000円のプラス。ましてや19万5000円も追加で払って「ヒヤシンスレッド」を選び、そんでもって売却するときに「お客様、この色はちょっと…」なんて言われた日には目も当てられませんからね。ヒヤシンスレッド、好きなんですけど。

…以上の検討のとおり、ニッポンの道路上が白または黒の無難なボディカラーの車で埋め尽くされるのは「やむを得ない話である」ということがわかった。そして同時に、それを安易に批判するのも人の道から外れていることが判明した。

だが…ニッポンの道路的景観をもっと明るくしたい、できることなら赤とかオレンジとかミントグリーンとかのステキなボディカラーの車が増えてほしい! との願いというか想いは、いかんともしがたい。

そこで考えられるのが「ノブレス・オブリージュ」という概念だ。

賢明なるcarview!読者諸兄には説明するまでもないと思うが、ノブレス・オブリージュとは「身分の高い者はそれに応じて果たさねばならぬ社会的責任と義務がある」という、主に欧米社会における基本的な道徳観である。

この道徳観を、自動車のボディカラー選定において積極導入するのだ。

筆者を含む経済的パンピーに「世のため人のため、そして景観のために」といってリセール価格の低い赤やオレンジの車を無理強いするのは、前述のとおりあまりに酷というもの。

だが世の中には「お金持ち」という人種も確実に存在している。そこで、彼ら・彼女らの良心と美意識に訴えかけるのだ。

「一般のお人であれば無償カラーの白または黒を選び、それを比較的高値で売却するのが定石。しかし●●様におかれましてはそんなケチくさいことはおっしゃらず、どうか世のため人のため、社会を明るくするため、数万円から数十万円の損失をお覚悟のうえで、ぜひオレンジまたはグリーンをお選びいただきたく…」

そのような社会的ムードを巧妙に醸成していけば、「よっしゃわかった! そのオレンジのやつ、一台買わせてもらうわ!」という男気を見事に見せてくれるリッチメンがそれなりの数、現れるのではないかと思うのである。

いや…現れないか。なぜならば、「お金持ちほどお金の計算にはシビアである」らしいですから…。

(ジャーナリストコラム 文:伊達軍曹)
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伊達軍曹(だて ぐんそう):自動車コラムニスト
外資系消費財メーカー勤務を経て自動車メディア業界に転身。「IMPORTカーセンサー」編集デスクなどを歴任後、独自の着眼点から自動車にまつわるあれこれを論じる異色コラムニストとして、大手メディア多数で活動中。

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