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日産ジュークは日本の 常識を変えられるか?

OBギリギリのジュークプロジェクト

「怖いですよ」

主担エンジニアの古屋仁之さんは今の気持ちをそう表現してくれた。新車を発表する時はいつでも怖い。でも、今回は特に怖いらしい。

一方「フェアウェイど真ん中の安全策ではなく、OBギリギリを狙って作りました」というのは走りの味付けをした運動性能開発グループの馬郡和哉さん。今回は乗る前にエンジニアに話を聞いたのだが、久々に驚いた。このジューク、コンセプト的に物凄く攻めているのだ。前述の言葉からも分かるように、良くある無難なマーケティングで作ったわけではない。

正確に言えばマーケティングはしまくっているが、ターゲット設定が普通ではない。ここ数年、日産は特殊な手法でコンセプト作りをしており、ユーザー像を1人の人間に定め、その人向けにテイストを練り上げる。

今回のターゲットとなったのは30歳独身のイギリス人男性、ウィリアム君。ウィリアム君は実在の人物で、現在乗っているのはルノー・クリオ(日本名ルーテシア)で、着ている服はヒューゴボスほか。ジュークはそんな彼の心に刺さるように作られた。

そしてここが肝心だが、彼は常に活動的で、クルマはもちろん、ファッション、グルメ、旅行、なんでも主体的でグループの中心、ある種のトレンドリーダーだという。服もブランド物は着るが、ブランド物にはとらわれない。感性中心の選びなのだ。

結果、生まれたキーワードは「生まれながらオリジナル」。他のどのクルマにも似てはいけない。つまり、最近よくある前例主義とは無縁なところがこのクルマの最大のキモなのだ。

しかもウィリアムという名前からも分かるように、メインターゲットは日本ではない。特にヨーロッパで半分ぐらい売る予定で、日本は? と聞くと「(お客は)必ずいるでしょう」と古屋さん。数値的な予想は付かないわけであり、確かに彼が(発売が)「怖い」というわけである。

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