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「車は急に止まれない」が大型トラックは“もっと急には止まれない”ーーそのワケはブレーキにあり!

第一級のブレーキ性能を持つ大型車がその能力を使いきれないワケ

例外もある。国内メーカーではUDトラックスが製造する大型トラック/トラクターの「クオン」には総輪にディスク式を採用する。ただし乗用車のディスク式が油圧を用いるのに対して、クオンではエア式であることが相違点だ。

これら強力なブレーキシステムに加えて、トラックやバスには補助ブレーキが備わる。これには種類が複数あり、いわゆる排気ガスを活用する前述した「エキゾーストブレーキ」、永久磁石の抵抗を活用した「電磁式リターダ」、液体(水)の抵抗を利用して減速度を生み出す「流体式リターダ」などがある。

また、シフトダウンさせて減速度を生み出す「エンジンブレーキ」と、上記の補助ブレーキを連動させるのが昨今のトレンドで、これにより安定した制動力が期待できる。

ともかく、止まることにかけて第一級の性能を持つ大型車だが、その能力を日常から使い切ることはない。 なぜか。それは二次被害を避けるためだ。

自重以上の積荷を積載した大型トラックで80km/hからフルブレーキをかけると、ほぼ間違いなく荷崩れを起こす。荷崩れとは荷台に積んだ荷物が強い制動力で前のめりになり崩れてしまうことで、ドライバーのペナルティ対象となり、損害に対する補償義務が生じることもある。また、重量物の運搬ではキャブが押しつぶされ悲惨な事故に直結することもある。

精密機器の運搬も細心の注意が必要だ。しっかり固定され積載されていても、強い制動力が加わることで内部の精密機器が損傷を受けることがあるからだ。そうなると、莫大な補償額になる。保険に入っていればある程度は担保されるが、責任はドライバーだけでなく請け負った事業者にまで及び信頼関係をも脅かす。

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