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【詳細データテスト】フォード・マスタング・マッハE 長い航続距離 遊べるシャシー 愛すべきEV

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【詳細データテスト】フォード・マスタング・マッハE 長い航続距離 遊べるシャシー 愛すべきEV

はじめに

騒ぎがひと段落し、われわれもようやく心の準備ができた。2020年のローンチとともに賛否の激しい論争を巻き起こした一台を、いよいよロードテストの俎上に載せようと思う。

【画像】フォード・マスタング・マッハEとライバル 全16枚

アイデアそのものに問題はない。大多数のメーカーにとって、クロスオーバーSUVが利益を稼ぐ主力級のジャンルとなっていることは、いまや疑問を挟む余地すらないほど自明だ。ましてやそれを電動化したのは、劇的にCO2総排出量を下げるほどではないにせよ、罰金を課される危機に直面している企業としては当然の選択だ。

そうなれば、電動クロスオーバーというのは、実に理にかなったプロダクトだといえる。世界第4位の自動車メーカーたるフォードとしても、この手のモデルは是非ともほしかっただろう。

議論の種は、このフォード初のEV専用モデルが、マスタングを名乗ったことにある。ひとびとは、伝統のV8が電気モーターに取って代わられるのかと危惧したが、さすがにそんなことはなかった。少なくとも、今のところそうではない。とはいえ、歴史ある伝説的な名跡を利用しようという意図は明らかだ。

かつて日産が、スカイライン・クロスオーバーというクルマを売ったが、あれも違和感があった。もしもポルシェが、マカンのEV版を911Eと名付けたらどうなるだろうか。さすがに評判がよくないのではないだろうか。

とはいえこのフォードの思惑は、結構うまくいきそうだ。マスタング・マッハEは、かなりの関心を集めている。それはスペックばかりでなく、スタイリングやポジションも理由だ。事実、今年のメキシコ工場でのマッハEの生産台数は、ここまでミシガン工場で造られた本家マスタングの数を上回っている。

大きなスケールでみれば、それほど大きな数字ではない。しかし、もしフォードが2030年までに総販売台数の40%をEVにするという目標を達成できたとしたら、この一歩は非常に大きな意味を持つものだったと振り返られることになるだろう。

もっとも、われわれがここで論じたいのは、そうしたフォードの未来の可能性についてではない。その車名に囚われることもなく、マッハEそのものがどのようなクルマであるのかを解き明かしたいだけだ。フォード初の市販EV専用モデルは、賞賛するに値する出来栄えなのだろうか。

意匠と技術 ★★★★★★★★★☆

フォードのデザイン部門を率いるジェイソン・カストリオタは、かつてフェラーリ599GTBを手がけた人物だ。彼はフォードの至宝を、マッハEに採り入れた。ここでいう宝とは、マスタングの特徴的なデザイン要素だ。

それは何十年にもわたり、軽々しく扱われることのなかったものだ。3本のバー状テールライトやたくましいリアフェンダーの造形、高く長いボンネットと後ろ寄りのキャビン、そして怒り眉のかかったようなヘッドライト。そのどれもが、この電動クロスオーバーには見出せる。

また、ルーフパネルをグロスブラックとしたことで、その背の高さや大きさを目の錯覚で紛らわし、ボディラインをクーペのように見せている。そのどれもが、マスタングのデザイン的なDNAをすばらしく忠実に解釈している。もっとも、そこを最優先すべきだと思うかどうかは、ひとによって違うだろうが。

プラットフォームは、グローバル・エレクトリファイド1と呼ばれる。実質的には、フォーカスやクーガに用いられるC2プラットフォームを大幅にモディファイしたものだ。車体の占有面積はポールスター2とメルセデス・ベンツEQCとの間で、どちらかといえばEQCに近い。マッハEのほうがホイールベースは長く、全高は1mmだけ低い。

車両重量は2010kgで、このサイズのEVとしては軽いほうだ。それが、テスラ・モデル3のロングレンジより30kmほど長い610kmの航続距離を、このエクステンデッド・レンジが可能としていることの一因だろう。

もちろん、キャビンの床下いっぱいに敷き詰められた、99kWhもの容量を持つリチウムイオンのバッテリーパックによるところもまた大きい。これよりも軽量で安価な76kWh仕様も用意されるが、航続距離の公称値は440kmほどに低下する。

バッテリーのサイズとともに、購入時に選択の余地があるのは駆動系のレイアウトだ。テスト車のようなリヤマウントのシングルモーターのほかに、フロントにもう1基のモーターを搭載するハイパフォーマンスな4WDがラインナップされている。最高出力は、シングルモーターのRWDが294psなのに対して、ツインモーター4WDに大きいほうのバッテリーを組み合わせると351psになる。

サスペンションは、フロントがマクファーソンストラット、リアがマルチリンク。テスト車はパッシブダンパーとコイルスプリングの組み合わせだが、準備中のGTグレードには磁性流体ダンパーのマグネライドが装着され、出力は487psに引き上げられる予定だ。

内装 ★★★★★★★☆☆☆

ダッシュボードに設置されたスタートボタンを押すと、穏やかだが強い拍動のような音が響く。トップガン・アンセムの最初に、これとよく似た音が響くのだが、おそらくフォードが意図的に似せたのだろう。

マスタングのロゴが鎮座するステアリングホイール越しに前を見ると、一般的なメーターパネルがあるだろう位置に据え付けられたスリムなデジタルディスプレイの速度表示に、対地速度などと航空機のような説明が添えられているのだ。内装のこの辺りを担当した開発者が、80年代の大ヒット戦闘機映画を観たことがないと言っても、信じることはできない。

マッハEは、V8のマスタングほど、時代の空気を最大限に利用しようとしているわけではないが、表面的にはそう見えるところがある。それを目障りだと思うひとがいるかもしれないが、われわれにいわせれば無害なにぎやかしにすぎない。

はっきり言ってしまえば、コクピット周りの基本構造は多くがフォーカスからの流用だ。しかしフォードは、自社初の本格EV専用モデルの重要性を踏まえ、お色直しを施した。

結果、明らかに既存品だとわかるのはいくつかのスイッチだけとなった。それでも全体を見回せば、ポールスター2のようなマテリアルの多彩さや質感の水準には届いていない。

たしかに、硬いプラスティックが剥き出しの部分は、フォルクスワーゲンID.4より少ないし、ステッチの入ったレザーらしきシートや織物の張られたダッシュボードのトリムは、フォードの一般的なレベルより質感が高い。価格を考えれば妥当な線だ。

しかし、運転席周りがこのクルマのハイライトとなることはまずないだろうと思わされる。フィッティングもフィニッシュも一様に優れているわけではなく、見た目は殺風景だ。

エルゴノミクス的にはおおむね良好だが、電動シートはチルト方向の調整が欠如している。これは体験すると、言葉で聞くよりイライラするものだ。また、サイドサポートも控えめだ。

少なくとも、広さは前後席とも十分。これはフロントシートの背後がえぐられ、リアのレッグルームを稼いでいることにもよる。ヘッドルームも掛け値なしにかなりのもので、これは見た目以上に高いルーフラインの恩恵。パノラミックルーフにより、キャビンは光に満ちている。

走り ★★★★★★★☆☆☆

マッハEには3つの走行モードがあるが、その最高潮に達するのがアンテイムドだ。馬になぞらえるなら、放し飼いとでもいったところか。選択は中央のタッチディスプレイで行う。アメリカ訛りのしわがれ声がそのモード名を読み上げてくれたら、気分も盛り上がっただろう。

とはいえ、リアの電気モーターがパワーアップすることはない。スロットルペダル操作へのレスポンスにおける制約を減らし、気持ちよく反応してくれるようになるが、テスラのように触れただけで弾けそうというほどではない。

また、キャビンに擬似走行音を流すこともできるが、ポルシェ・タイカンがそうだったように低音が効いていて、そこにエッジを効かせたようなサウンドだ。

もっとも、パフォーマンスについて語る上で、音の話は重要ではない。テストコースの路面が湿った1.6kmストレートでは、0−97km/hが6.8秒。路面コンディションが、リアアクスルから路面へのパワー伝達になんら影響していないにもかかわらず、まったくスポーティさのないフォルクスワーゲンID.3で計測したタイムをコンマ2秒凌いだだけだったのだ。

実用上は不満のない速さだが、エキサイティングさはまったくない。それはAWD仕様に任せておこうということか。あちらは5秒以内で97km/hに達し、ポールスター2やテスラ・モデル3と十分に勝負できる。

今回のRWD仕様は、スロットルレスポンスをより直感的なチューンにして走り出してしまえば、グッと説得力が増す。ペダルフィールについては、むしろバネっぽいブレーキのほうが気になる。踏みはじめの反応が過敏なのに、思ったより強く踏まなければいけないこともあった。

モーターは、楽にオーバーテイクするのに十分な推進力を発揮する。48−113km/hのタイムは、馬力荷重比がはるかに勝るトヨタGRヤリスの0.5秒落ちにすぎない。

また、タイトコーナーの脱出でその大半を早々に使えそうな、十分なトルクもある。それでいて、シャシーがパワートレインに余裕で勝るようなクルマではない。

使い勝手 ★★★★★★★★☆☆

インフォテインメント

マッハEに装備された、フォードのSyncインフォテインメントシステムの次世代版。これをどう感じるかは、巨大なタッチ式ディスプレイをどう捉えるかによって変わる。

この15.5インチの縦型画面は、まさしくテスラのやり方をなぞったものだ。ただし、音量調整は扱いやすい実体スイッチが設置された。この画面の大きさも、光沢も、明るさも、気が散ると思うか、使いやすく直観的に操作できると思うかはひとそれぞれだろう。

確かなのは、フリック操作でのメニュー切り替えや使いたい機能の呼び出しがしやすく、インフォメーションもはっきりと読み取れるということだ。

テスラは用意していないが、フォードは採用したものもある。それがApple CarPlayとAndroid Autoへの適合性だ。どちらもこのシステム上でうまく機能し、スリムなデジタルのメーターパネルにナビゲーションのデータを小さく表示することができる。

空調関連の操作パネルは、センターディスプレイの下端に並ぶ。われわれはいつも、空調操作は実体スイッチのほうがいいと言っているが、フォードのタッチ式ボタンは十分に使いやすかった。

燈火類

エクステンデッド・レンジ仕様のヘッドライトは、シグネチャーLEDと呼ばれるもので、マトリックス機能とステアリング連動照射機能を備える。今回はテストできなかった。

ステアリングとペダル

ドライビングポジションはややフラットで、アップライト気味に座らされる。ブレーキペダルはマクラーレンのように、左へ多少オフセットしている。マッハEに左足ブレーキを使うようなオーナーが多くいるとは、とても思えないのだが。

操舵/安定性 ★★★★★★★★☆☆

ハンドリングに関しては控えめなクラスにあって、われわれがマッハEをほめたい最大のポイントは、その走りが間違いなくフォードのものだとわかることだ。

おそらく、視覚的に車種がわからない状態で運転しても、フォードの速いクルマだということはわかるはずだ。それも、前後モーターの4WDがもたらすスタビリティのない、後輪駆動仕様ではとくに。

マッハEは、2tを超える電動クロスオーバーではあるものの、ポールスター2が重視しているような無表情なまでのニュートラルさの先にあるものを見据えようとしている。そして、とりわけウェットコンディションでは、ドライバーが驚くほど何もしなくても小さなヨーが出るが、それでも気持ちよく走れる。

比較的細いタイヤを履いているので、運動性のやんちゃなところはこのクラスにおいて際立っている。ほかのクルマは全体的に、電動化で後輪駆動レイアウトを採っても、それらしいところを見せることはほぼない。

といっても、フォードはそこをやりすぎてはいない。ロックトウロック3.7回転のステアリングは、このクラスの水準に照らしてもスローだ。また、切りはじめの反応は、いわゆるレスポンスのよさより信頼性を優先したチューンとなっている。ボディのロールもそれなりにある。

にもかかわらず、このクルマがルーズでイヤになることはめったにない。というのも、そのロールと、融通性のあるスタリングの動きがよくマッチしているからだ。とくに、走りを楽しめるようなB級道路でよく出す速度域では。それによって、気持ちよく走るのが自然に感じられる。

たしかに、俊敏さより安定性を重視して、車重やソフトさを決して打ち消さないクルマもある。ところがマッハEは、走りに楽しさがあり、それでいてそこそこのアキュラシーも備えている。そこは本家マスタングにも通じるところがある。

あるテスターは、こんなことを口にしていた。グリップも精確さも十分で、アウディe-トロンよりジャガーIペイスを、もしくはプジョーe-208よりミニ・エレクトシックを選ぶような走り志向のドライバーにウケるのではないか、と。

だからといって、目から鱗というほどのものではない。やはり重さは否定できず、ステアリングフィールは乏しく、どうにもモヤモヤ感が拭えない。RWD仕様はあくまでもベーシックモデルに過ぎず、このクラスの型にはまらない走りを得た代わりに、全天候型のトラクションとスタビリティを犠牲にしている。

快適性/静粛性 ★★★★★★☆☆☆☆

電動クロスオーバーの中には、ズバ抜けて洗練されているものもある。たとえばEQCやe-トロンがそうだ。しかし、それらはマッハEよりかなり高価なので、同じカテゴリーで括るのははばかられるところだ。

5万ポンド(約700万円)以下のグループでは、走りの洗練度の基準はもっと低いし、その殻を破るようなモデルは今のところないように思える。

ポールスター2にせよ、テスラ・モデル3にせよ、メルセデスEQAにせよ、静粛性は高いが乗り心地はやや動じやすい。同じような価格帯の内燃機関やハイブリッドならばなんとか切り抜けられる程度のレベルを、突破できずにいる。

唯一、フォルクスワーゲンが最新モデルのID.4で、進歩をみせているといったところだ。500kgほどにもなるバッテリーの重量を、サスペンションのチューンだけで相殺するのは楽なことではない。

フォードがこのマッハEに与えたパッシブダンパーでは、平均点に届くのも難しい。事実、わずかながらもアベレージより低いだろうという印象だ。

もっとも、乗り心地がひどくトゲトゲしいというわけではない。60扁平のタイヤと、コーナーで盛大なロールを許容するサスペンションにしては、むしろよくやっている。しかし、常に忙しなく、かすかに粗さがあり、18インチタイヤが積極的に路面不整を拾っているかのようだ。

パーフェクトに滑らかな舗装であれば、シャシーは落ち着くだろう。そこでは、マッハEはわれわれがこの手のクルマに期待するような、上質でゆったりした高速移動を叶えてくれるかもしれない。

静粛性については、ウェット路面での計測だったため、ライバルの計測値とそのまま比較しては不公平になるだろう。とはいえ、113km/h巡航時の室内騒音は、高剛性シャシーを持つフォルクスワーゲン・ゴルフRより1dB大きかったに過ぎない。それがフォードにとって、名誉なことだとはいえないかもしれないが。

マスタングの名にわれわれが期待したのは、もっと身体をしっかり支えてくれるフロントシートだった。残念ながら、フラット気味な標準装着品以上のサポートを備えるものは用意されていないが、長距離走行時の快適性を高めるためにも、もっとホールド性に優れたシートがほしいところだ。

購入と維持 ★★★★★★★★☆☆

もしも電動クロスオーバーを買おうとしているなら、日常使いできるクルマとしてマッハEを選ぶのは賢明だ。主な理由は航続距離にある。

ネット容量88kWhのバッテリーを備える今回のエクステンデッド・レンジ仕様は、電力消費率を考えると、現実的な交通状況において400kmほど、113km/h定速巡航なら450km/h近く走れるはず。80km/hで8.4km/kWhというマッハEの電費であれば、720km/h以上に達する計算だ。

この数字は、あらゆる価格帯のEVのなかでもトップレベル。EV市場におけるフォードの存在感を大きく高めるものだ。マッハEは標準装備の内容も充実している。リセール予想でも、このエクステンデッド・レンジRWDは競争力が高い。

それでも、マイナス材料がないわけではない。同じ価格帯のEVには、余裕でこのマッハE以上のパフォーマンスを発揮するものもある。たとえば、テスラ・モデル3がそうだ。

しかも、テスラにはスーパーチャージャーと銘打った充電設備のネットワークがある。その点で、あちらの広いキャビンを持った小型セダンのほうが、楽に長距離移動できる。マッハEを手に入れても、ときどきテスラのオーナーをうらやましく思うかもしれない。

マッハEは、150kWチャージャーに対応できるポテンシャルがあるものの、現時点では50kWのCCSチャージャーでの充電が最速で、10~80%の補充にかかる時間はおよそ90分といったところだ。しかしながらこの点は、テスラ以外のメーカーすべてが直面しているハードルであり、しかもそのライバルたちはフォードほどの航続距離を謳ってはいない。

スペック

レイアウト

マッハEを生産するのは、メキシコのクアウティトラン工場。専用モノコックのキャビンの床下一面に、大きなバッテリーパックを敷き詰めている。

テスト車は後輪駆動仕様で、モーターとギアボックスユニットはリアのサブフレームに取り付けられ、重量配分を実測47:53というリア寄りにしている。サスペンションは、フロントがマクファーソンストラット、リアがマルチリンクだ。

パワーユニット

駆動方式:リア横置き後輪駆動
形式:交流同期永久磁石電動機
駆動用バッテリー:水冷式リチウムイオンバッテリー、99kWh(グロス値)/88kWh(ネット値)
最高出力:294ps
最大トルク:43.8kg-m
許容回転数:-rpm
馬力荷重比:146ps/t
トルク荷重比:21.8kg-m/t

ボディ/シャシー

全長:4713mm
ホイールベース:2984mm
オーバーハング(前):-mm
オーバーハング(後):-mm

全幅(ミラー含む):2090mm
全幅(両ドア開き):3720mm

全高:1624mm
全高:(テールゲート開き):2160mm

足元長さ(前):最大1110mm
足元長さ(後):最大800mm
座面~天井(前):最大1010mm
座面~天井(後):最大870mm

積載容量:402~1420L

構造:アルミ/スティールモノコック
車両重量:2010kg(公称値)/2130kg(実測値)
抗力係数:0.29
ホイール前・後:7.0Jx18
タイヤ前・後:225/60 R18 V XL
コンチネンタル・プレミアムコンタクト6
スペアタイヤ:なし(パンク修理キット)

変速機

形式:1速リダクションギア
ギア比
リダクション比:9.1:1
1000rpm時車速:15.3km/h

電力消費率

AUTOCAR実測値:消費率
総平均:4.7km/kWh
ツーリング:5.1km/kWh
動力性能計測時:2.6km/kWh

メーカー公表値:消費率
混合:6.1km/kWh

公称航続距離:610km
テスト時平均航続距離:410km
113km/h巡航時航続距離:452km
CO2排出量:0g/km

サスペンション

前:マクファーソンストラット/コイルスプリング、スタビライザー
後:マルチリンク/コイルスプリング、スタビライザー

ステアリング

形式:電動、ラック&ピニオン
ロック・トゥ・ロック:2.7回転
最小回転直径:11.6m

ブレーキ

前:362mm通気冷却式ディスク
後:316mmディスク
制御装置:ABS、ブレーキアシスト
ハンドブレーキ:電気式(センターコンソール右側にスイッチ配置)

静粛性

アイドリング:40dB(ほどほどの降雨時)
全開時:74dB(145km/h走行時)
48km/h走行時:61dB
80km/h走行時:65dB
113km/h走行時:69dB

安全装備

ABS/ESC/DBS/FCW/AEB/DA/DI/ESA
Euro N CAP:テスト未実施
乗員保護性能:成人-%/子供-%
歩行者保護性能:-%
安全補助装置性能:-%

発進加速

テスト条件:ウェット路面/気温14℃
0-30マイル/時(48km/h):3.1秒
0-40(64):4.2秒
0-50(80):5.4秒
0-60(97):6.8秒
0-70(113):8.7秒
0-80(129):11.0秒
0-90(145):13.9秒
0-100(161):18.7秒
0-402m発進加速:15.4秒(到達速度:151.6km/h)
0-1000m発進加速:28.4秒(到達速度:173.0km/h)

ライバルの発進加速ライバルの発進加速
テスラ・モデル3スタンダードレンジ(2019年)
テスト条件:乾燥路面/気温21℃
0-30マイル/時(48km/h):2.7秒
0-40(64):3.6秒
0-50(80):4.6秒
0-60(97):5.8秒
0-70(113):7.4秒
0-80(129):9.2秒
0-90(145):11.4秒
0-100(161):14.2秒
0-402m発進加速:14.4秒(到達速度:162.2km/h)
0-1000m発進加速:26.0秒(到達速度:203.3km/h)

キックダウン加速

20-40mph(32-64km/h):2.1秒
30-50(48-80):2.2秒
40-60(64-97):2.7秒
50-70(80-113):3.3秒
60-80(97-129):4.1秒
70-90(113-145):5.2秒
80-100(129-161):7.7秒

制動距離

テスト条件:ウェット路面/気温14℃
30-0マイル/時(48km/h):10.4m
50-0マイル/時(64km/h):29.6m
70-0マイル/時(80km/h):57.0m
60-0マイル/時(97km/h)制動時間:3.33秒

ライバルの制動距離テスラ・モデル3スタンダードレンジ(2019年)
テスト条件:乾燥路面/気温21℃
30-0マイル/時(48km/h):8.5m
50-0マイル/時(64km/h):23.4m
70-0マイル/時(80km/h):45.5m

結論 ★★★★★★★★☆☆

歴史的な車名とやや刺激的なスタイリングを別にすれば、訴えかけてくるものがこのクルマにあるだろうか。要するにこれは、元気付けてくれるくらい出来のいい、フルサイズのEVで、ダイナミクスにおいてこのクラスに欠けている性質を多少なりとももたらそうという意図が感じられる。

このフォード初のEV専用モデルは、今回テストしたエクステンデッドレンジRWD仕様では、ワープするような加速でわれわれをクラクラさせることができなかった。事実、パワートレインは航続距離に優れるほかに際立ったところがない。

ドライビングの満足感をもたらしてくれるのはシャシーのほうだ。それが発揮されるべき瞬間が来れば、好ましい身のこなしと遊び心ある走りを楽しめる。では、心底楽しめるのかというと、それには車重がありすぎる。そこは、ほかのEVと同様だ。それに、ステアリングが不自然すぎる。それでも、このカテゴリーでは一番楽しめるドライバーズカーだ。

マスタングを名乗るこのEVはスタイル重視のシロモノではないか、という危惧は、広く開放的なキャビンの前に消え去った。たとえ、インテリアがおもしろみに欠け、質感が欧州勢より1~2ランク落ちるとしてもだ。

そうした美点に加え、高い実用性やフォード流のダイナミクス方面のアプローチもあって、われわれはマッハEを、このクラスのトップにランク付けしたいと思う。

担当テスターのアドバイス

リチャード・レーン気に入ったのは、メーターパネル代わりに据え付けられた、横方向に細長いディスプレイだ。このおかげで、テスラ・モデル3並みに広々とした前方視界が得られる。しかもテスラと違って、速度やナビなどの重要な情報が、ドライバーの正面に表示されるのだ。

マット・ソーンダース容量81Lのフロントトランクには、自動水抜き機能が備わる。水を感知すると、排水口が自動で開閉するのだ。おかげで、汚れた充電ケーブルや長靴などを入れて汚れても、気軽に水洗いできる。

オプション追加のアドバイス

RWDにせよAWDにせよ、急速充電に対応可能なエクステンデッド・レンジ仕様をおすすめする。オプションの選択肢は、ボディカラー以外に用意されていない。

改善してほしいポイント

・サスペンションは硬いフィールだが、ロールは大きいことがある。快適性と操縦性の、よりよいバランスをみつけてもらいたい。
・めったにないほど走りのいいクルマ、になれる素質がある。少なくとも、このクラスの水準からいえば。それを叶えるには、ステアリングにもうちょっとだけフィールがほしいところだ。

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みんなのコメント

1件
  • 唐突に中国がかつては日産やフォード、
    今はテスラを叩いている状態だけど、
    フォードの場合はコレが中国の気に障ったのでは?
    つまり中国にとって脅威になるクルマだということ。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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