この記事をまとめると
■ただエンブレムの張り替え程度ではないOEMモデルもある
同じ中身なのになんでこんなに差が付いた! 明暗クッキリ兄弟車の勝ち負け4選
■OEMモデルの方がオリジナルよりも売れるケースも
■まったく別物のようになったモデルも存在
OEM車はただエンブレムを張り替えただけじゃない!
OEM車という言葉を聞いたことがあるだろうか。OEMとはOriginal Equipment Manufacturingの略で、ある自動車メーカーのクルマを、他の自動車メーカーが、エンブレムを変えるなどして販売することを言う。それを兄弟車と呼ぶこともある。
1)ダイハツ・ロッキー&トヨタ・ライズ
わかりやすいのは、今、ブレーク中のダイハツ・ロッキーとトヨタ・ライズ。つまり、タントに続く、DNGA(ダイハツ・ニュー・グローバル・アーキテクチャー)第二弾となるモデルがロッキーで、その先代モデルとも言えるビーゴ&ラッシュ同様、トヨタにOME供給されるのがライズというわけだ。
グレード展開や一部装備を除いて基本部分はほとんど変わらないものの、顔つきは別物。正面から見る限り、まったく違う車種のようにも見えるのだ。
2)日産デイズ&三菱eKシリーズ
同様のOEM車、いや兄弟車と言えるのが、日産デイズと三菱ekシリーズだ。現行モデルはそれまでと違い、三菱でなく日産が企画、開発。日産が初めて軽自動車をイチから作ったことになる。
そのOEM車が三菱ekシリーズだが、デイズの人気車種、ハイウェイスターのポジショニングにあるekシリーズが、三菱らしいSUVテイストをちりばめたekクロス。
とくにエクステリアのデザインは、デイズ、ekシリーズで大きく異なり、それぞれの個性を強めているのが特徴だ。
OEMモデルが大成功する例もあり!
3)マツダ・ロードスター&アバルト 124スパイダー
OEM車にして、ほとんど別物のクルマに仕上げているのが、マツダ・ロードスターとイタリア車のアバルト124スパイダー(すでに生産終了)の関係だ。
由緒あるアバルト124スパイダーのベース車両がマツダ・ロードスター(ND型)であることは間違いなく、なんとマツダの広島の工場で生産されていたのだが、124スパイダーはターボとなるエンジンから足まわり、ブレンボ製となるブレーキシステム、そしてボディ全長、エクステリアデザイン、ラゲッジ容量などまで異なる、もはやアバルトそのもののオリジナリティ溢れる1台となっていた。
4)スズキMRワゴン&日産モコ
ところで、国産車のOEM車で、OEM供給された側のクルマが、本家の倍以上売れた例もある。たとえばスズキMRワゴンと日産モコの関係で、当時、軽自動車を生産していなかった日産が導入したOEM車の1台がモコであり、多くのOEM車がほぼバッジを変えただけの、パッと見同じに見える車種同士だったのに対して、ボンネット、バンパー、フロントグリルまで日産オリジナルとし、その日産ウインググリルや専用ボディカラーから、ひと目で日産車と判別できるOEM車だったのである(ABS全グレード標準装備もモコならでは)。
本家の倍以上売れたのは、販売拠点の数の多さもあるのだが、OEM車とは言え、日産車らしさを随所にちりばめた点も、大きく貢献していたに違いない。
5)スズキ・アルト&日産ピノ
同様に、スズキ・アルトのOEM車となるのが、日産ピノ。
2007年の発売だが、ピノは20台前半の女性をターゲットとし、日産車と一目で分かるフロントグリルのほか、バンパー、ホイールキャップからシート地までを独自にデザイン。モコほどのヒット作とは言えないものの、日産色のあるOEM軽自動車だった。
6)トヨタIQ&アストンマーティン・シグネット
最後に紹介するのは、かなり極端なOEM車として挙げられる、トヨタiQのOEM車となるアストンマーティン・シグネットである。
この2台は単なるOEM車とは呼べない関係、独自性があり、アストンマーティン・シグネットは日本からiQの完成車を英国のアストンマーティンの工場に送り、内外装を分解し、職人が1台につき150時間をかけて、アストンマーティンとしてカスタマイズする手法が取られていた。ボディパネルに関しては、リヤフェンダー以外はすべてシグネット専用となるほどだ。
エンジン、CVTと6MTが選べるミッションはiQそのものなのだが、価格はiQの約3倍の475~490万円(日本国内価格)になっていた。価格差がもっとも大きいOEM車とも言えそうだ。
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