現在位置: carview! > ニュース > 業界ニュース > 「オープンカー」は和製英語!? ホントの呼び名はなに?

ここから本文です

「オープンカー」は和製英語!? ホントの呼び名はなに?

掲載 更新 23
「オープンカー」は和製英語!? ホントの呼び名はなに?

■「ロードスター」と「スピードスター」の違いとは?

 洒脱なオープンカーは、古今東西のクルマ好きの憧れ。しかし「オープンカー」という言葉は、実は和製英語であり、自動車文化に長く親しんできた欧米では、お国柄やクルマ自体のキャラクターによって、様々な呼称が定義づけられてきた。

噂を検証!? オープンカーは走っている限り雨が当たらないって本当?

 19世紀末の誕生以来、「馬無し馬車」とも呼ばれていた黎明期の自動車ボディは、馬車用ボディのコーチビルダーがそのまま自動車に移行して製作されたことから、自動車ボディの形式を示す名称も馬車時代の呼称が踏襲された。

 例えば、第二次大戦後には使われる例が少なくなった「フェートン(2頭立ての4-5人乗り幌付き四輪馬車)」や「セダンカ・ド・ヴィル(オープンの御者台に屋根付き個室を組み合わせた馬車)」に加えて、われわれ現代人にも馴染みの深い「カブリオレ」や「ロードスター」も、実は馬車時代に起源を求めることのできる様式なのだ。

 また第二次世界大戦後には、テクノロジーの発展によりカブリオレの対候性とロードスターのスポーツ性を兼ね備えた「コンバーチブル」が主流となり、さらに近年では可動式ハードトップを持つ新世代モデルも隆盛を誇ることになった。

 ここでは、そんなオープンカーたちの歴史を振り返り、それぞれの定義を再確認してみることにしよう。

●スパルタンなロードスター/スパイダー

 自動車の黎明期に近い1910年代から、特にアメリカでは複数のブランドで使用された「ロードスター(Roadster)」は、スポーツ用の馬、ないしは速さを重視した軽装馬車から転用された英語とされる。

 そして自動車の分野では軽量化を最優先した、スポーティでスパルタンな2座席オープンを指す。

 第一次世界大戦後のイギリスから欧州にも広がったロードスターは、オープン時のスタイルがデフォルト。ウインドスクリーンは、取り外し式ないしは前方に倒せる可倒式。

 サイドウインドウも気密性に優れた巻き上げ式ではなく、取り外し式の「サイドスクリーン」とされ、実用性や対候性は二の次と割り切られていた。

 また、ロードスターでもとくに速いモデルは「スピードスター(Speedster)」と呼ばれ、1910-30年代のアメリカで流行したのだが、第二次大戦後には独ポルシェのモデル名として、半ば専売特許のごとく認知されている。

 一方イタリア車に代表される「スパイダー(SpiderないしはSpyder)」は、元来ロードスターの仲間である。スピードスターから変化した、あるいは「もっと速く走る」という意味の「Speeder」をイタリア風に発音した、さらには地を這うような低いスタイルが、クモを連想させるものだった……などの諸説が存在するようだ。

 加えて戦後イタリアのレーシングスポーツカーの世界では、ソフトトップを最初から意識しない「バルケッタ(Barchetta:小舟)」も、一連のフェラーリ「テスタロッサ(250/500)」などの有名どころから、また、日本のファンからは「虫」と呼ばれるフィアット量産車ベースの小型レーシングカーに至るまで、数多くの名作が製作されている。

●快適性重視のカブリオレ/ドロップヘッド・クーペ

 もともと「カブリオレ(Cabriolet)」とは、1頭立て2人乗りオープン軽装2輪馬車を指すフランス語から転じた言葉で、現在では英語にも転用。また、特にドイツ車では「カブリオ(Cabrio)」と称される例も多いようだ。

 20世紀のカブリオレは、スポーツカーばかりでなく、おとなしい実用ファミリーカーにも数多く設定された。

 イギリスでは特に「ドロップヘッド・クーペ(Drop Head Coupe:ヘッドが降りるクーペ)」と呼ばれるように、クローズ時のスタイルがデフォルトとされるカブリオレでは、雨や寒さにも負けない対候性を最重要視。気密性の高い巻き上げ式のサイドウインドウと、裏地を張った分厚い幌を特徴とする。

 しかしその代償として、オープン時には畳んだトップがかさ張ったり、古い時代のモデルでは重い幌のテンションを確保するために馬車のような「ランドー・ジョイント」を装着するなどしなければならなかったのだが、それをデザイン上のアクセントとして活用し、かえって魅力的に見せているカブリオレやドロップヘッド・クーペたちも少なくない。

 また、このカテゴリーのモデルに属するフランス車の一部、例えばシトロエンDSシリーズなどでは「デカポタブル(Decapotable)」と称する例も存在した。

■よく聞く「コンバーチブル」や「タルガトップ」とは?

 主にアメリカから発生したとされる「コンバーチブル(Convertible)」の呼称は、その名が示すとおり、元来サルーンやクーペをベースとするオープン版を称したものとされている。

 また、イギリス車で「ツアラー(Tourer)」と呼ばれたオープンモデルたちも、このジャンルに属するといって良いものと思われる。

●ロードスター/カブリオレの資質を兼ね備えた現代的コンバーチブブル

 しかし1960年代以降は「カブリオレ」の対候性と「ロードスター」のスポーツ性を兼ね備えた、万能型のオープンカーという意味合いが強くなってきた。

 この流れを決定づけた名作のひとつが、ジャガー「Eタイプ」だろう。「XK150」までは、オープンモデルだけでも「ロードスター」と「ドロップヘッド・クーペ」の二枚看板としてきたが、1961年にデビューしたEタイプでは、ロードスターのごとくスタイリッシュなのに、巻き上げ式のサイドウインドウを持つことで快適性も追求されたコンバーチブル「OTS(Open Two Seater)」に統一。

 12気筒エンジンを搭載したシリーズIIIでは再び「ロードスター」表記となるが、その本質は変わらなかった。

 また、コンバーチブルの本場アメリカの代表選手、シボレー「コルベット」も同様のキャラクターとなっている。

 そしてこの現代的コンバーチブルの特質は、ユーノス/マツダ「ロードスター」やアルファロメオ「スパイダー」など、それぞれ異なる由来から発生したネーミングが与えられたモデルたちにも息づき、確実に現代のオープンカーにおける主流となっているのだ。

●取り外し式/可動式ハードトップを持つオープンモデル

 1970年代の初頭から、北米を中心に吹き荒れた安全問題の余波を受け、フルオープンカーはごく一部の例外を除いて一時的に衰退。代わって登場したのが、デタッチャブル(取り外し可能な)トップ、別名「タルガトップ」を持つセミオープン車である。

 この分野の先達であるポルシェ「911タルガ」が1967年に登場したのち、1960年代のフェラーリ製レーシングプロトタイプのイメージを投影した「ディーノ246GTS」などの名作が誕生し、大衆向けの小型スポーツカーでも、フィアット「X1/9」のようなヒット作が登場した。

 また1935年に登場したプジョー「401エクリプス」や1957年のフォード「スカイライナー」で採用された電動格納式ハードトップは、スペース効率の問題で一旦消滅するものの、画期的な折り畳み機構を持つメルセデス・ベンツ初代「SLK」やプジョー「206CC」の登場で再ブレイク。

 2000年代初頭には、スポーツカー以外のジャンルでもオープンカーの主流となった。

 その一方で、フェラーリ「575スーパーアメリカ」やルノー「ウインド」など、反転型の電動ルーフを持つユニークなオープンモデルも今世紀初頭に誕生したものの、残念ながらその後の採用例は見られないようだ。

【キャンペーン】第2・4 金土日はお得に給油!車検月登録でガソリン・軽油5円/L引き!(要マイカー登録)

こんな記事も読まれています

HRC渡辺社長、フェルスタッペンの4連覇を祝福「ホンダ/HRCとしてサポートし続けてこられたことを誇りに思う」
HRC渡辺社長、フェルスタッペンの4連覇を祝福「ホンダ/HRCとしてサポートし続けてこられたことを誇りに思う」
motorsport.com 日本版
斬新「日本の“フェラーリ”」に大反響! 「約700馬力のV8スゴイ」「日本なのに左ハンしかないんかい」「めちゃ高ッ」の声! 同じクルマが存在しない「J50」がスゴイ!
斬新「日本の“フェラーリ”」に大反響! 「約700馬力のV8スゴイ」「日本なのに左ハンしかないんかい」「めちゃ高ッ」の声! 同じクルマが存在しない「J50」がスゴイ!
くるまのニュース
本拠地の欧州で「メルセデス・ベンツのタクシー仕様」シェア急降下! なぜ? 「“ベンツのタクシー”に乗れたらラッキー」な時代が到来するのか
本拠地の欧州で「メルセデス・ベンツのタクシー仕様」シェア急降下! なぜ? 「“ベンツのタクシー”に乗れたらラッキー」な時代が到来するのか
VAGUE
「銀の皿」に「レジ横のガム&タバコ販売」に1000円以下のメニューと「ザ昭和」がたまらない! トラック野郎を癒し続ける「采女食堂」はぜひ立ち寄るべし【懐かしのドライブイン探訪その5】
「銀の皿」に「レジ横のガム&タバコ販売」に1000円以下のメニューと「ザ昭和」がたまらない! トラック野郎を癒し続ける「采女食堂」はぜひ立ち寄るべし【懐かしのドライブイン探訪その5】
WEB CARTOP
ラッセルが今季3度目のPP獲得。ガスリーと角田裕毅がQ3で健闘見せる【予選レポート/F1第22戦】
ラッセルが今季3度目のPP獲得。ガスリーと角田裕毅がQ3で健闘見せる【予選レポート/F1第22戦】
AUTOSPORT web
F1ラスベガスGPで追い上げ2位のハミルトン「予選がしっかりできれいれば、楽勝だったろうに」
F1ラスベガスGPで追い上げ2位のハミルトン「予選がしっかりできれいれば、楽勝だったろうに」
motorsport.com 日本版
中央道「長大トンネル」の手前にスマートIC開設へ 中山道の観光名所もすぐ近く!
中央道「長大トンネル」の手前にスマートIC開設へ 中山道の観光名所もすぐ近く!
乗りものニュース
ペレス、チームメイトのフェルスタッペンとは対照的に10位が精一杯「レッドブルは最高のチーム。来年は良いマシンが作れるはず」|ラスベガスGP
ペレス、チームメイトのフェルスタッペンとは対照的に10位が精一杯「レッドブルは最高のチーム。来年は良いマシンが作れるはず」|ラスベガスGP
motorsport.com 日本版
「ん、ここ工事してなくない?」 高速道路の車線規制“ムダに長い”場合がある理由とは?
「ん、ここ工事してなくない?」 高速道路の車線規制“ムダに長い”場合がある理由とは?
乗りものニュース
日本専用の新型「“MR”スポーツカー」初公開! 旧車デザイン×「ネットゥーノ」エンジン採用! 600馬力超えの「チェロSE」登場
日本専用の新型「“MR”スポーツカー」初公開! 旧車デザイン×「ネットゥーノ」エンジン採用! 600馬力超えの「チェロSE」登場
くるまのニュース
ピエール・ガスリー、予選3番手から無念マシントラブル脱落に「顔面平手打ちされたみたい」残り2戦にポテンシャルは確信|F1ラスベガスGP
ピエール・ガスリー、予選3番手から無念マシントラブル脱落に「顔面平手打ちされたみたい」残り2戦にポテンシャルは確信|F1ラスベガスGP
motorsport.com 日本版
モーターマガジンMovie 週間視聴回数BEST5 プラス1(2024年11月17日~11月23日)
モーターマガジンMovie 週間視聴回数BEST5 プラス1(2024年11月17日~11月23日)
Webモーターマガジン
F1マシンを脇に歌舞伎……来春鈴鹿のグリッドでも! 日本GPアンバサダーに就任した市川團十郎「息子と歌舞伎の扮装で踊る計画を」
F1マシンを脇に歌舞伎……来春鈴鹿のグリッドでも! 日本GPアンバサダーに就任した市川團十郎「息子と歌舞伎の扮装で踊る計画を」
motorsport.com 日本版
運営ブチギレ!? 一般車が「検問突破」何があった? 国際イベントでありえない"蛮行"発生! ラリージャパン3日目の出来事とは
運営ブチギレ!? 一般車が「検問突破」何があった? 国際イベントでありえない"蛮行"発生! ラリージャパン3日目の出来事とは
くるまのニュース
遂に“冷却機能”も装備! ハイグレード・ワイヤレス充電スマホホルダーの注目作が登場【特選カーアクセサリー名鑑】
遂に“冷却機能”も装備! ハイグレード・ワイヤレス充電スマホホルダーの注目作が登場【特選カーアクセサリー名鑑】
レスポンス
“やっちまった”タナク、僚友ヌービルにWRCタイトル明け渡す痛恨クラッシュは「マジで大惨事」
“やっちまった”タナク、僚友ヌービルにWRCタイトル明け渡す痛恨クラッシュは「マジで大惨事」
motorsport.com 日本版
スバル新型「すごいフォレスター」登場に反響あり! 水平対向エンジン×本格ハイブリッド搭載に「楽しみ!」の声も! 日本発売は一体いつ?
スバル新型「すごいフォレスター」登場に反響あり! 水平対向エンジン×本格ハイブリッド搭載に「楽しみ!」の声も! 日本発売は一体いつ?
くるまのニュース
「えっ、4つのリングのマークじゃない!?」 アウディが新ブランドを立ち上げ なぜ“4リングス”を使わない? 世界最大市場での戦略とは
「えっ、4つのリングのマークじゃない!?」 アウディが新ブランドを立ち上げ なぜ“4リングス”を使わない? 世界最大市場での戦略とは
VAGUE

みんなのコメント

23件
  • キャンピングカーも和製英語だよ。ウインカーもハンドルも和製英語。
  • 屋根が開く車を乗ってる人は呼び方なんか気にしてませんけど
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

289.9368.0万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

29.8586.0万円

中古車を検索
ロードスターの車買取相場を調べる

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

289.9368.0万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

29.8586.0万円

中古車を検索

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村