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2017年の世界新車販売動向 データで見る市場の「勝ち組、負け組」

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2017年の世界新車販売動向 データで見る市場の「勝ち組、負け組」

2017年の自動車販売 中国抜きには語れず

政治的不安定さに象徴される世界で、自動車業界が見せるのは中国新車市場の順調な拡大という変わらぬトレンドである。

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2010年、中国は米国に代わって世界最大の自動車市場となり、昨年は販売台数2570万台と米国を800万台上回って、その地位をさらに確実なものにした。中国の新車販売はSUVと小型モデル、更には自国市場特有のEVに集中している一方で、少なくない数のひとびとの間では高級モデルに対する需要が急増している。しかし、米国との違いが際立った昨年の販売実績も、2016年比ではわずか2%増と中国にとっては控えめな結果だったと言える。

米国市場における新車販売は、夏にSUVとピックアップモデルの販売が減速したことで2016年比30万台減の1720万台に留まり、2008年の金融危機後初の前年割れとなった。

なお、ここで紹介する全てのデータは自動車業界の分析を行っているJATOダイナミクス調べによる。ほとんどの数値は実際の年間販売台数だが、いくつかの市場では最終の販売数量確定までに時間を要するため、一部12月の予想数値を使用している場合があることにご留意頂きたい。

販売台数トップ10市場 2017年の勝ち組と負け組

既に中国が世界最大の新車市場として順調に拡大していることは述べたが、対照的に2017年の英国市場は、5.4%減の290万2754台と、経済の不確実性が増したことと、自動車に関する新税導入の影響から、世界で最も販売台数を落とした市場となった。

この販売減もフランスの253万9826台を辛うじて上回ることはできたが、2018年も英国の販売台数が16万6千台減少し、フランスの新車市場が順調な伸びを見せれば、英国が今の地位を保つのは危うくなるだろう。

高級車ブームとスポーツカー需要の減速

中国での需要によって、高級車市場は昨年最も成長したセグメントになった。ポルシェとともに、キャデラックリンカーンがこのセグメントの勝者である。

クルマ好きはスポーツカー市場におけるヒットなど望んでいないだろうが、シボレー・コルベットとフォード・マスタングの販売減がこの市場への打撃となった(「スポーツカー いくつかの市場では需要が縮小」参照)。

ワンボックスとワゴンモデルはさらに台数を減らしており、SUVモデルの販売が約12%増えた一方、これらMPVは世界的に約10%の販売減となっている。

2017年にはおおよそ2760万台のSUVモデルが販売され、世界全体の販売台数の1/4を占めるまでになった。

EVは販売増だが、市場シェアはわずか

2017年には全世界の新車販売におけるEVシェアが1%に達したとして、バッテリー駆駆動EVが市民権を得つつあることの証明として多く報道された。しかし、JATOのデータによれば、これは事実ではないようだ。

「最終的な数値はまだ確認中です」とJATOのグローバル・オート・アナリストであるフェリペ・ムニョスは言う。「確定前の数値ではEVの販売台数は581,000台であり、これは世界の市場シェアの0.8%に相当します」

つまり、EVが定着したと考えられる重要なポイントである1%に近づいてはいるものの、まだ到達はしていないということだ。

初代モデルの最終年となった日産リーフは、EV販売台数1位の座を、より安価な中国のBAIC ECに譲ることとなった。あまり知られていないこのクルマは、20kWのバッテリーを積み、1万7000ポンド(258万1280円)から購入できる中国製EVモデルである。

さらに、より高価なテスラモデルSもリーフの販売数量を上回っており、これはテスラの販売戦略が上手くいっていることの証明でもある。

販売台数の第4位には中国のZD Zhidouが入り、ルノー・ゾエとテスラ・モデルXを上回った。

SUVモデルの販売増は世界に拡がる

「そうです。SUVブームは世界的なものなのです」とムニョスは言う。「このブームは一過性のものではありません。今ではインドやブラジル、それに東南アジアにも広がっています」

各国でSUV市場は成長しており、最も伸長が著しいのはミッドサイズからラージサイズのSUVモデルである。中国では昨年5+2のシートアレンジを持つ7人乗りSUVが数多く発売された。

世界で一番EVを購入しているのはどの市場?

EV販売台数332,994台で中国が昨年のNo.1市場であり、米国と欧州を大きくリードしている。

「2017年の中国市場ではEVに対する需要も倍増しています」とムニョスは話す。「一方で米国市場におけるEVへの関心は14%も低いのです」

スーパーカー人気は2017年も続いた

騒々しくも高価で速いクルマの代表と言えば、相変わらずポルシェ911であり、昨年は2016年比4%増の3万700台を売り上げた。

実際、市場における911の存在感は圧倒的であり、販売台数第2位には前年比14%減の5800台でメルセデス・ベンツSLが続いている。

フェラーリとアストン マーティンはそれぞれ対前年比10.1%と58.1%の伸びを見せている。レクサスが大幅な伸びを記録しており、LCは販売台数5700台でメルセデス-AMG GTの5100台を上回って、販売台数第3位の座を確保している。

世界全体でのスーパーカーの販売台数は対前年比5.3%増の75,400台となっており、これは最低でも8万ポンド(1214万7200円)以上のセグメントであることを考えれば、驚くべき結果である。

2017年に販売減となった世界5大市場

これがサッカーW杯の結果ならまるで悪夢だが、自国市場の販売落ち込みにより、英国の2017年は市場規模がより小さいメキシコやプエルトリコに続いて、対前年比で3番目に大きく販売数を減らした市場となった。アイルランドは、ブレグジットの余波と為替レートの影響をさらに急激に受けたことで、新車よりも輸入中古車の販売が増えた結果である。なお、米国市場も1.9%減となっている。

3ボックスセダンの終焉

SUVの台頭はこれまでも伝統的なセダンモデルの減少を意味してきた。ハッチバックやワゴンボディのモデルと4ドア・セダンの販売台数を明確に分けるのは難しいが、JATOのデータによれば、この傾向は中国を除く全世界で続いていることを示している。

セダン/ハッチバック/ワゴンの4つのボディを持つ主要セグメントのうち、昨年の中国では3つが拡大している。ミッドサイズ(対前年比+10%)、エグゼクティブ(同+14%)とラグジュアリー(同+109%)である。コンパクトのセグメントだけが対前年比で減少(-5%)している。

一方、米国市場では対照的にこれら4つ全てが減少しており、欧州でも主力のプレミアムコンパクトとミッドサイズの両方が販売数を減らしている。

高級車市場の拡大 中国が牽引

あまり知られてはいないが、世界的な高級車市場で成功しているのがキャデラックである。欧州ではほとんど目にすることはないが、この米国ブランドは世界の高級車売上ベスト10に3台を送り込んでいる。JATOダイナミクスの分析では、これは中国の超富裕層の急速な増加によるところが大きい。

メルセデスの強力なブランドであるSクラスが販売数トップを維持したが、昨年はキャデラックXTSに対するリードを減らした年となった。リンカーンを含めるとトップ5に米国ブランドが2つもランクインしている。ではロールス・ロイスとベントレーはどこにいるのだろう?  両者には価格と生産規模の問題があるのだ。

さらに考察を進めてみよう。レンジローバーをこのリストに加えれば、トップ3にランクインする事になる。そしてジャガーの場合、完全な電動化モデルになると予想されている発売間近の新XJセダンがトップ5に食い込むには、25,000台以上の販売台数が必要になる。

新興市場 2017年に7%の伸び

新興市場と目される12カ国全体で販売台数は7%の伸びを見せ、昨年は素晴らしい年だったと言えるだろう。

インドは販売数を40万台伸ばし、ドイツを抑えて世界第4位の自動車市場となった。これまで新興市場は不安定な経済状況によって、時に新車販売の急減に見舞われるなど翻弄されてきたが、JATOによればそれも過去のことだと言う。

今年、新興市場では各メーカーによる主導権争いが繰り広げられることになるだろう。フォルクスワーゲントヨタは現在のマーケットリーダーであるルノー-日産に近づくことはできるだろうか?

EU市場復活 ドイツがトップ、英国は減速

イタリア、スペイン、ポーランド、更にはドイツとフランスでの販売増が、欧州新車市場の回復につながった。市場規模ではドイツが3,432,928台でトップを占めている。JATOによれば、欧州29カ国中23カ国でSUVが最大の市場シェアを確保しており、11%減となったMPVからの乗り換えが多いと言う。

「欧州経済の多くが安定したことで、消費者心理を押し上げています」とムニョスは話す。債務危機によって経済が崩壊したギリシャでさえ、15%の販売増となっているのだ。しかし、2018年に向けてはいくつか危険な兆候も見られる。イタリアの昨年販売実績は、ディーラーによる自社登録によって水増しされたのではないかとの疑念が出ているのだ。

自動車産業の終焉の国も

昨年オーストラリアに唯一残っていた自動車工場が閉鎖された。何が間違っていたのだろうか? 「2006年を境に豪州製モデルへの需要は減り続けていました」とムニョスは言う。彼によれば3つの大きな理由があるとのことだ。

第1の理由は自国市場向けで輸出不可能なセダンとピックアップモデルを生産していたこと。第2に市場が求めていたSUV生産に切り替えることができなかったこと。SUVが自国市場で45%を占めているにもかかわらず、豪州で生産を行ったSUVモデルはフォード・テリトリーだけだった。

そして第3の理由として、ムニョスは自動車分野における自由貿易協定政策の失敗を挙げる。その結果、例えばタイはピックアップモデルに関して、地域の輸出ハブとしての地位を確立することができたのだ。

スポーツカー いくつかの市場では需要が縮小

スポーツカー市場におけるハイライトは、素晴らしいハンドリングを誇るマツダMX-5(=日本名:ロードスター)が4万台を売り上げ、好調なセールスを継続したことだ。

一方、ポルシェは718ケイマンボクスターの販売を伸ばしている。通年での販売初年度となったアバルトの新しい124スパイダーも好調で、メルセデスSLCに僅差で続く販売台数第10位となっている。

一方、トヨタのGT86(日本名:86)はモデルチェンジを控えての駆け込み需要の後押しを受けた。

しかし、スポーツカー市場全体としては、フォード・マスタングやシボレー・コルベットに代表されるアメリカン・マッスルカーと、欧州市場でのアウディTTの売上減による影響を受けることとなった。

米国市場のピックアップとSUV ますます成長

昨年の米国市場は全セグメントで販売台数が減ったことで、市場全体では1.9%減となった。JATOによれば、売上が伸びたのはトップ2のSUV(+5.8%)とピックアップ(+4.8%)だけとの事である。

この2つのセグメント合計で米国市場全体の57%を占めており、2016年から更なる伸びを見せている。その理由は、安価なガソリン価格、幅広いモデル展開と自国生産モデルにある。JATOのアナリストによれば、この傾向は今後数年間続くだろうとのことだ。

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