進化&複雑化する自動車テクノロジー、「用語」について考えてみた
掲載 更新 carview! 文:塩見 智
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表記といえば、クルマの最高出力と最大トルクの表記には、現在JIS規格に基づく「ps」「kgm(kgf・m)」と、SI(国際単位系)に基づく「kW」「Nm」が混在している。メーカーのカタログでは「kW、Nm」が用いられ、補助的に「ps、kgm」が使われているが、自動車メディアでは依然として「ps、kgm」のほうが主流。確かに「ps」と書いて「ばりき」と読むほうが馴染みがあるし、使い慣れた「ps」なら数字からその実力を想像しやすい。280psといえばどれくらいの力強さか思い浮かべられるが、同じ出力でも209kWだとイメージが沸かないように。だが、HV、PHV、EVなど、電力でモーター駆動するクルマの場合には「kW」のほうがすんなりくる気も。電気製品で使い慣れているというだけの理由だが。
かつて出力の表記には、現在の(エンジンを車両に搭載した状態とほぼ同じ状態で測定する)ネット値ではなく、(エンジン単体で測定する)グロス値が使われていた。ネット値はグロス値に比べ15%前後低いので、元々ネット値を使ってきた海外からの要請で1985年に日本でもネットに切り替わった当初は戸惑い、少し寂しい気持ちになったのを思い出すが、いつの間にか慣れた。kWに統一しても、じきに慣れるのではないだろうか。
テクノロジーは進化し続け、クルマは日々便利に、快適になっていくが、その分、仕組みは複雑でわかりにくくなっている。せめて表記だけでも、より理解しやすく、誤解しにくく、比較しやすいよう心がけるべきではないだろうか。もちろん、読者の皆さまのことを考えているわけで、決して媒体ごとに書き分けるのが面倒だからというわけではない。
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