トヨタの自動運転ドリームチームを率いるギル・プラットにインタビュー
掲載 更新 carview! 文:清水 和夫/写真:トヨタ自動車
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インタビューの冒頭で私はプラット氏に、実際にモノ(クルマという製品)を作るメーカーに入社して、自動運転に関する考え方に変化があったかどうか聞いてみた。彼はトヨタに入る前はMITで教授として研究活動していたが、手掛けたのは製品にならないものや実際の生活に使われないものばかりだったので、モノ作りに責任を持つメーカーに入ってから考え方が変わってきたという。さらに研究者の仕事とは異なり、メーカーではもう少し早いフェーズで人のためになる製品作りが求められるので、その責任を感じるようになったそうだ。以下、インタビューを続けていこう。
清水:自動運転についてはCES(コンシューマー・エレクトロニクス・ショー)でも賑わいましたが、IT関係者が夢物語を語っている部分が多いなど、技術的にはまだハードルが高い印象があります。
プラット氏(以下、敬称略):自動走行へ向けたAIの研究がTRIの目標ですが、自動車メーカーの活動の一環としては、短期的には一部の研究成果を安全装備の改善として導入する可能性もあります。グーグルなどのIT企業は完全自動走行(レベル4、5)を目指していますが、自動車メーカーは現在の安全性を向上させる必要もあるんです。従って、TRIは自動運転だけでなく安全装備の研究も行っており、運転する際の安全性を高めることが使命なのです。
清水:自動運転で使われるAIは個性を持つのでしょうか?
カフナー氏(以下、敬称略):AIも、ドライバー個々人の運転スキルに合わせて学習する可能性があります。
プラット:それに、あるクルマで学習できたことを、コネクト技術によって別のクルマで共有することもできます。
カフナー:システム全体で考えると、ハードウェア、ソフトウェア、データという3つの要素がありますが、これからはそれぞれのクルマが経験した交通渋滞などのデータを集めて、クラウドで共有することが可能になる、ここがポイントではないでしょうか。それから、ディープラーニングの方法として、実際の世界で経験したことだけでなく、強力なシミュレーションソフトで経験したことを生かして、システムをレベルアップできるようにも取り組んでいます。
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