2021年9月14日、トヨタは新型のクロスオーバーSUV「カローラクロス」を発表、同日より販売を開始した。カローラクロスは、広い室内空間を確保しつつ、都会的で上質な内外装デザインを採用、レジャーから街乗りまで幅広く対応できる、クロスオーバーSUVだ。
トヨタのSUVといえば、RAV4、ハリアー、ヤリスクロスなど、登場するモデルは軒並み大ヒットしている。トヨタは、今回のカローラクロスもヒットさせることができるのか、カローラクロスの詳細を確認しながら考察していこう。
新型カローラクロスが199.9万円から! ヤリスクロスとどっちが安い? コスパのいいSUVと悪いSUV
文:吉川賢一
写真:TOYOTA、NISSAN、HONDA
【画像ギャラリー】本稿未掲載写真含む計62枚!! 新型カローラクロスの詳細を余すことなくご紹介!!
シリーズ初のクロスオーバーSUV
世界150カ国以上で発売されており、セダンやワゴン、ハッチバック、国によっては車幅を拡げたバリエーションなど、多種多様なスタイリングでラインアップされてきたカローラ。2021年7月には、シリーズ累計で販売台数5000万台という偉業を成し遂げている。
カローラクロスは、4490×1825×1620(全長×全幅×全高)mm、ホイールベースは2640mm
カローラクロスのチーフエンジニア上田泰史氏によると、ここまでカローラが続いてきた理由は、「プラスアルファの思想で、常に変化させ続けた」ことだという。
確かに、振り返ってみると歴代のカローラは、様々なスタイルで登場してきた。守ることも大切だが、需要に応じ、臨機応変に変化させることも、重要なことだ。そんな「カローラ」に、SUV全盛のいま、登場したのが、シリーズ初のSUV「カローラクロス」だ。
カローラツーリング(4495×1745×1460)と全長はほぼ同じで、全幅が80mm広く、背が160mm高い
ボディサイズは、4490×1825×1620(全長×全幅×全高)mm、ホイールベースは2640mm。C-HRが4360×1795×1550mm、RAV4が4600×1855×1685mmであるので、カローラクロスは、ちょうどC-HRとRAV4の間を埋めるサイズということになる。
カローラ兄弟の中では、カローラツーリング(4495×1745×1460)と全長がほぼ同じ、ホイールベースは一緒、全幅が80mm広く、背が160mm高い、というサイズ感となる。「カローラツーリングのSUV版」と考えていいだろう。
タイ仕様とは大きく変えてきた、フロントデザイン
既にタイ市場で販売が始まっていたカローラクロスだが、日本向けではフロントデザインを大きく変更してきた。
メッシュグリルの位置を下げ、フロントエンブレムは他のカローラシリーズと同じく「C」マークへと変更。フロントフォグランプをフロントバンパーサイドへと移動している。また、ヘッドライトのセンターに入れたデイライトや、4眼のターンライトなども織り込まれている。
サイドビューでは、前後から絞り込まれるように入ったラインや、前後のフェンダーの盛り上がりが特徴的で、カローラシリーズの中で、最も躍動感を感じられる。
リア周りはテールランプの意匠を若干変更した程度だが、傾斜したリアウィンドウやブラックアウトされたリアバンパー下など、RAV4の雰囲気に近い。また、SUVに求められるタイヤの踏ん張り感があり、全体的にはフロントフェイスの雰囲気はC-HR、サイドからリアにかけてはRAV4で、背が高くて実用的なSUVといったスタイルだ。
メッシュグリルの位置を下げ、フロントエンブレムは他のカローラシリーズと同じく「C」マークへと変更。フロントフォグランプをフロントバンパーサイドへと移動している
タイ仕様カローラクロスのフロントスタイル
リア周りはテールランプの意匠を若干変更した程度だが、傾斜したリアウィンドウやブラックアウトされたリアバンパー下などは、RAV4の雰囲気に近い
タイ仕様カローラクロスのリアスタイル
前後のフェンダーの盛り上がりが特徴的で、踏ん張り感のあり引き締まったSUVとった印象を受ける
「後席や荷室の広さには自信がある」とのこと
インパネのデザインは、ほぼカローラツーリングと同じだ。ダッシュボード全体が水平基調で構成されており、運転席側から助手席側までが繋がっているように見える。ディスプレイオーディオの出っ張りを除いて高さを抑えていることや、フロントピラーのスリム化などによって、前方視界が非常に優れる。
ボディサイドのガラス面積がとても広いことから、車室内は非常に明るく、快適であろう。電動ロールシェードが備わる大開口パノラマルーフも、室内の明るさに貢献すると思われる。
チーフエンジニア上田氏によると、カローラクロスの後席や荷室の広さには、特に自信があるという。クラストップレベルの開口部高さによって乗り降りするシーンで疲れにくく、後席シートにはリクライニング機構も備えたそうだ。オプションでハンズフリーバックドアも用意されている。
ヤリスクロスやC-HRといった、後席を犠牲にしたスタイリングではなく、後席も重視したパッケージングが織り込まれているようだ。
また、ラゲージ容量は、5人乗車時でもクラストップレベルの487Lを達成。また、ラゲージ開口部は地面から720mmと低く、小柄な方でも荷物の積み下ろしが楽にできるだろう。
ダッシュボード全体が水平基調で構成されており、運転席側から助手席側までが繋がっているように見える。インパネのデザインは、ほぼカローラツーリングと同じ
後席エリアの広さもウリの一つ。ルーフが高めなので、乗り降りするシーンでは疲れにくい、といったメリットがある
電動ロールシェードが備わる大開口パノラマルーフも、室内の明るさに貢献している。Z、Sグレードのみのオプション設定(税込11万円)となる
ラゲージ容量は、5人乗車時でもクラストップレベルの487Lを達成。ハンズフリーパワーバックドアもオプションで用意されている
26.2km/Lを達成した驚異の燃費性能
パワートレインは、ハイブリッドとガソリンの2種類を持つ。ガソリン車は、1.8L直4ガソリンエンジン(2ZR-FAE)を搭載。103kW(140ps)/6200rpm、170Nm/3900rpmのスペックと、燃費は14.4km/L(WLTCモード燃費)だ。ガソリン車は2WDのみとなる。
ハイブリッド車には、72kW(98ps)/5200rpm、142Nm/3600rpmの1.8L直4ガソリンエンジン(2ZR-FXE)と、フロントモーター(53kW(72ps)/163Nm)とを組み合わせる。またハイブリッド車にはE-Fourを設定し、リアモーターは5.3kW(7.2ps)/55Nmのスペックとなる。
燃費は、クラストップレベルの26.2km/Lを達成(ハイブリッド2WD Z、S、G)。キックスe-POWERは21.6km/L、ヴェゼルe:HEVは24.8km/Lだ。僅かな差ではあるが、THS IIの高効率が光っている。
なおE-Fourのリアサスは、他のカローラシリーズと同様のダブルウィッシュボーン式となる(2WDはトーションビーム式)が、アームの取付位置を変更して、カローラクロスの特性に合うように最適化したそうだ。
カローラシリーズで使用し、熟成を重ねてきたGA-Cプラットフォームと、軽量かつ高剛性を誇るボディ骨格を採用
2WDは新開発のトーションビーム式
E-Fourのリアサスは、ダブルウィッシュボーン式。アームの取付位置を変更して、カローラクロスの特性に合うように最適化されている
なんと税込み199万円~!!
全車速追従型レーダークルーズコントロールやレーントレーシングアシスト、ペダル踏み間違い時の急加速を抑制するプラスサポートといった先進安全技術「トヨタセーフティセンス」は、全車標準装備。税込車両価格は、ガソリン車が199万円~264万円、ハイブリッド車が259万円~319万9000円だ。
グレード間の違いは、タイヤホイールのサイズ(16インチ~18インチ)や、LEDランプ(シーケンシャルか否か)、計器盤の種類(7.0インチTFTか4.2インチTFTか)、シート地(本革+ファブリックかファブリック)、電動シート、シートヒーターなど、といったところ。
通常、セダンやハッチバックに比べて、SUVは価格が上がりがちだが、カローラクロスをここまで下げて出せるとは本当に驚かされる。企業努力の賜物であるし、日産キックスとは違い、国内生産(愛知県の高岡工場)としてきたことも大いに関係している。
ベーシックなガソリン車を好むお客様に向けてきっちりと玉を用意した上で、ハイブリッド車の燃費で、他社車を突き放す。まさに、トヨタの横綱相撲がさく裂している様相だ。
ハイブリッド車の価格は259万円~(HV-G-2WD)。全車速追従式クルーズコントロールやレーントレーシングアシストも標準で備わる。ヴェゼルe:HEVやキックスe-POWERよりも安い
最大のライバルは、C-HR
このカローラクロスとライバルとなるモデルは、日産キックス、ホンダヴェゼル、トヨタC-HRといった、250万円~300万円レンジのコンパクトSUVだ。なかでも、カローラクロスの最大のライバルとなるのは、身内であるC-HRだろう。
かつては、SUV年間販売台数ナンバー1(2017年)にもなったC-HRだが、RAV4やハリアー、ヤリスクロスなどの登場も影響し、月間登録台数は1500台を割るほどと低迷している。C-HRが成功したのは、当時は珍しいスポーティ路線のSUVであったことが理由だが、昨今は、室内の広さや荷室の使い勝手、そして低価格といった、本来のSUVに求められる方向へと、市場が移っているように思える。
全方位にスキのないカローラクロスだが、むりやり弱点を探せば、100V(1500W)のアクセサリーコンセントと非常時給電モードが、ハイブリッド車のみにオプション選択となる点だ。7月に登場した新型アクアでは標準搭載であったので、共通させてくるかと思われたが、そうはいかなかったようだ。
しかしそんなところは、さして問題ではない。目標月産台数は4400台だという。おそらくカローラクロスは、またも「売れるSUV」になるにちがいない。
国内8車種目となるトヨタSUV、ホンダ/日産は2車種のみ
トヨタには既に、ライズ、ヤリスクロス、C-HR、RAV4、ハリアー、ランドクルーザー、ランクルプラド、レクサスも入れるとUX、NX、RX、LXまでと、SUVが隙間なくラインアップされている。そこへ更に今回、カローラクロスが投入されてきた。
トヨタとしては、「まだ隙間があった」と考えているのかもしれないが、カローラクロスが売れるほどに、別の車(おそらくC-HR)が売れにくくなることは、容易に想像がつく。それでも新型車をつくり続けるトヨタの商魂たくましい戦略は、他メーカーにとっては脅威でしかないだろう。
しかしながら、これほどSUVブームだと言われているのに、日産にはキックスとエクストレイル、ホンダはヴェゼルとCR-Vと、それぞれ2車種しかSUVを持っていない。とくに日産は、マグナイト、ジューク、キャシュカイ、QX50、QX55など、海外にはSUVが多くあるのに、なぜ日本市場では2車種だけなのか。
2020年6月に日本市場に投入された、日産キックス
2021年4月にフルモデルチェンジをうけた、ホンダヴェゼル
新型Zは大歓迎だが、こうした海外専売となっているSUVたちを国内のラインアップに加えるということも、ぜひやってほしい。
「群雄割拠の国内SUV市場」とはいうが、そのほとんどがトヨタだ。もはや、「国内市場で無双状態のトヨタの勢いがどこまで続くのか」の方にこそ、関心が集まっている。もはやカローラクロスが売れるのは間違いない。これに他メーカーがどう続いてくるのか、SUV市場からは今後も目が離せない。
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みんなのコメント
派生車とは言え、全幅が1800mm以上もあるのにカローラって言われると何か違和感がありますね。
一般ユーザーはこんなグレード買わないし、セールスマンだって説明すらしない。