ハリアー、グレード間で装備が異なる
text:Yoichiro Watanabe(渡辺陽一郎)
【画像】ハリアー新型、従来型との違い 兄弟車RAV4との比較【内外装ディテール】 全71枚
最近はSUVの人気が高く、新型車の投入も活発だ。
直近で注目されるのは、2020年6月17日に発売予定のトヨタ・ハリアーだろう(新型コロナウイルスの影響で延期される可能性もある)。
現行型の発売は2013年と古く、次期型はエンジンからプラットフォームまで刷新させる。
ここではトヨタの販売体制の変化も含めて、次期ハリアーの選び方を考えたい。
エンジンは直列4気筒2Lと2.5Lハイブリッドで、型式や動力性能の数値はRAV4と同じだ。駆動方式は両エンジンに前輪駆動の2WDと4WDを設定して、ハイブリッドの4WDは、後輪をモーターで駆動するE-Fourになる。
グレード構成は、ベーシックなS、中級のG、上級のZが基本だ。
GとZにはレザーパッケージも用意され、シート生地が本革になって内装も上級化する。つまりパッケージまで含めるとグレードは5種類。
そのすべてにおいて、ノーマルエンジンとハイブリッド、2WDと4WDを選択できる。
安全装備はドライバーの死角に入る後方の車両を検知する機能など、現行型以上に充実させる。
価格も高まりそうだが、リアクロストラフィックオートブレーキなどは、ZとZレザーパッケージには標準装着されるが、GとGレザーパッケージはオプション設定だ。
グレード間で装備と価格の差が大きく、オプションも多い。
次期ハリアーの価格はどうなるのだろうか?
中心的な価格帯は400万円前後に
次期ハリアーの価格はどうなるのか。
2Lエンジンを搭載するベーシックな2WD・Sは、前述のように装備もシンプルだから、価格は現行型のエレガンスと同じく300万円少々だ。
中級の2WD・Gは、現行プレミアムよりも約20万円高い350万円位になる。
上級の2WD・Zレザーパッケージは、本革シートと上質な内装、12.3インチ高精度TFTワイドセンターディスプレイ、高輝度シルバー塗装のアルミホイールなどが標準装着されて価格は440万円前後に達する。現行型の2WDプログレス・メタル&レザーパッケージよりも少し高い。
ハイブリッドの価格は、ノーマルエンジンを約55万円上まわる。ノーマルエンジンは2L、ハイブリッドは2.5Lという排気量の違いもあるからだ。
RAV4ではノーマルエンジンとハイブリッドの価格差が60万円を超えており、現行ハリアーも2Lと2.5Lハイブリッドではプレミアムで約65万円の差が付く。
次期ハリアーは少し抑えて約55万円だ。
それでも最上級に位置するハイブリッドの4WD・Zレザーパッケージは500万円前後になり、前輪駆動をベースにした全長4800mm以内のSUVでは、かなり高額な部類に入る。
RAV4の価格を40~50万円上まわり、国産SUVとしては、レクサスNXやボディがひとまわり大きなCX-8と同等だ。
トヨタ車同士で比べると、ミニバンのアルファード、セダンのクラウンと同じ価格帯に属する。
全系列が全車を扱う 車種比較も用意
ハリアーの選び方に大きく影響するのは、2020年5月から、トヨタの全販売店が全車を扱う体制に移行することだ。
現行ハリアーはトヨペット店の専売車種になっている(2019年4月に販売系列を廃止した東京地区を除く)。これが6月に登場する次期型は、全店で売られる。
近所にトヨペット店のないユーザーがハリアーを買う時は、全店が扱えば都合が良い。トヨタ店/トヨタカローラ店/ネッツトヨタ店でも購入できるからだ。
販売会社が統合された東京地区を除くと、資本が異なる複数の販売系列同士で、購入条件を比べて選ぶことも可能になる。
今は昔と違って値引き額が減り、販売系列間で競争させて、多額の値引き額を引き出すことは難しい。
それでも下取り車の売却額なども含めて商談すれば、購入条件に相応の差が生じて、有利な相手を見つけられる。
残価設定ローンの残価率(新車価格に占める残価の割合)、金利なども、販売会社が異なれば差が生じる場合もある。
一定期間の点検や部品交換をセットにしたメンテナンスパッケージも、販売会社によってサービス内容や料金(主に工賃で差が付く)が違う。
従って新型ハリアーを買う時は、複数の販売系列から同じ条件で見積りを取り、支払い総額や月々の返済額を比べたい。
トヨタのホームページにアクセスして、ハリアーの見積りシミュレーションを利用すると、販売会社ごとの返済パターンを知ることも可能だ。この金額も踏まえて商談を進める。
ちなみにプリウス、アクア、C-HRなどは、以前から全店が全車を扱っており、異なる販売系列間で条件を比べて選ぶことも可能だ。
2020年5月以降は、同様のことが専売車種だったハリアー、クラウン(トヨタ店)、カローラ(トヨタカローラ店)、ヤリス(ネッツトヨタ店)などでも行えるようになる。
全店が全車を扱うデメリットも……
ハリアー、クラウン、カローラ、ヤリスなどを全店で買えるのは、ユーザーにとってメリットだが注意点もある。
ハリアーやヤリスは人気の高い新型車だから、全店が扱うと、売れ行きも急増して納期が遅れる心配が生じるからだ。
従って次期ハリアーを買う意思があるなら、早めに販売店へ出向き、受注開始などの情報を伝えてくれるよう頼んでおきたい。
販売店では「次期ハリアーの予約受注は、5月中旬頃から開始する予定」という。今は新型コロナウイルスの問題があるから、スケジュールが乱れて販売店へ行きにくい雰囲気もあるが、購入の意思は伝えておきたい。
ただし試乗できるのは発売後になりそうだ。
販売店によると「試乗車が納車されるのは早くても発売される6月で、生産状況次第では7月以降にズレ込む可能性もある」という。試乗して納得してから契約すると、納期が10月頃になる可能性もあるわけだ。
そして全店が全車を扱うと、車種ごとの販売格差も激しくなる。このことは既に販売系列を撤廃して、全店が全車を扱う体制に移行した他メーカーを見れば明らかだ。
ホンダは系列を撤廃すると、軽自動車やコンパクトカーの販売比率が急激に高まった。今ではNボックスが国内で売られるホンダ車の30%近くを占めて、Nワゴンなどを加えた軽自動車全体なら50%だ。フィットとフリードを加えると80%に達する。
日産も同様で、デイズ+ルークス+ノート+セレナを合計すると70%に近付く。
このような状態になると、国内に投入される新型車が減ったり、設計の古い状態で放置される車種が増えたりする。
1960年代から1980年頃に、手間を費やして販売系列を整えたのは、取り扱い車種を抑えて入念に売るためだった。トヨタはこの戦略を成功させて売れ行きを伸ばした。
いい換えれば販売系列の撤廃は、取り扱い車種や販売店舗数の削減を視野に入れている。
良いことばかりではない。欲しいクルマは早めに買っておいた方が良い。
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