毎月発表される新車販売台数ランキングを見ると、上位を占めるのはトヨタ車ばかり。10台中7~8台をトヨタが占め、そこへ日産車1台、ホンダ車1台がランクインする状況だ。
そんななかにあって、ホンダのフリードが一人(1台)気を吐いている。2021年に入り、3月以降はライバル、シエンタを超え、6月、7月こそ、ヴェゼルにトップ10圏内を譲ったものの、好調な販売を続け、シエンタとの販売台数の差を広げている。
3席×2列ミニバンの意欲作! ホンダ エディックスが目指した価値観【偉大な生産終了車】
・2021年1月:フリード10位(5000台)、シエンタ9位(6055台)
・2021年2月:フリード11位(5928台)、シエンタ9位(6360台)
・2021年3月:フリード9位(9764台)、シエンタ12位(8682台)
・2021年4月:フリード9位(5426台)、シエンタ11位(4581台)
・2021年5月:フリード10位(4409台)、シエンタ12位(3908台)
・2021年6月:フリード11位(5024台)、シエンタ15位(4167台)
・2021年7月:フリード11位(6005台)、シエンタ17位(4206台)
そこで、安定した人気を続けるフリードの魅力を再確認するとともに、シエンタとの関係、次期フリード、次期シエンタがいつモデルチェンジするのか、モータージャーナリストの渡辺陽一郎氏が解説する。
文/渡辺陽一郎
写真/ホンダ、トヨタ、ベストカーweb編集部
【画像ギャラリー】「This is ちょうどいいHonda」とライバルシエンタを徹底チェック!
■今年3月以降、シエンタを上回る販売
2021年上半期(1~6月)の国内における新車販売台数を見ると、軽自動車が38%を占めた。ミニバンの人気も根強く、新車市場全体では約15%、小型/普通車に限れば約24%に達する。
ミニバンの販売ランキングは、2021年上半期では、1位:アルファード、2位:ヴォクシー、3位:フリード、4位:シエンタ、5位:セレナとなる。
このなかで注目されるのがフリードだ。2008年に先代(初代)モデルを発売して以来、一貫して好調な売れ行きを保つ。先代型がフリードスパイクやハイブリッドを加えた直後の2012年には、1年間に10万台以上(1か月平均で約9000台)を登録して、ミニバンの国内販売1位になった。
2016年にフルモデルチェンジで投入された二代目。一見大人しいデザインだが、よく見ると複雑なキャラクターラインがボディに走っている
2016年には2代目の現行型にフルモデルチェンジされ、2017年も1年間の登録台数が10万台を超えている。そして2021年6月には、発売以来13年間で、累計登録台数が100万台に達した。
過去を振り返ると、2018年の国内ミニバン販売トップ5車は、1位:セレナ、2位:シエンタ、3位:ヴォクシー、4位:フリード、5位:アルファードであった。
2019年は1位:シエンタ、2位:セレナ、3位:ヴォクシー、4位:フリード、5位:アルファードだ。2020年は1位:アルファード、2位:フリード、3位:シエンタ、4位:ヴォクシー、5位:セレナになる。
このように見ると、フリードのミニバン市場における販売順位は、2018年と2019年は4位だが、2020年は2位に浮上して、2021年上半期は3位であった。
2020年にアルファードがミニバン販売1位になったのは、同年5月にトヨタの全店で全車を売る体制に変わったからだ。姉妹車のヴェルファイアは売れ行きを大幅に下げて、トヨタ全店の注文がアルファードに集中した。それに続く2位がフリードだから、人気は相当に高い。
フリードは2016年に現行型を発売して以来、登録台数があまり下がっていない。1か月平均で見ると、2017年:8700台、2018年:7000台、2019年:7100台、2020年:6400台、2021年:5900台だ。2018年以降は、下がり方が穏やかになる。
一方、ライバル車のシエンタはどうか。フリードと同様に1か月平均の登録台数は、2017年:8000台、2018年:7800台、2019年:9200台、2020年:6100台、2021年:5600台になる。2017年はフリードが上まわり、2018年と2019年はシエンタが好調で、2020年と2021年は再びフリードが多く登録された。
2019年はシエンタが際立って多く、1か月平均が9000台を超えた。前年を18%上まわり、小型/普通車の販売ランキングでは、プリウス(αやPHVを含む)とノートに次ぐ3位に入った。シエンタは2018年に2列シート仕様を加えるなどの改良を受け、ヴォクシーやノアからの乗り替えも進んで登録台数を増やした。
ライバルのシエンタは一見奇抜なデザインに見えるが、よく見るとシンプルで大人しくまとめられている
その代わり2020年は前年に比べて34%下がり、フリードに抜き返されている。2021年上半期は3月以降、近々の7月では、シエンタを上回る状態が続いている。フリードの売れ方は、シエンタに比べて上下動が少なく安定している。
■フリードが安定して売れている理由は?
なぜフリードは安定して売られるのか? 販売店に尋ねると以下のように返答された。「フリードは先代型、現行型ともに人気が高い。フリードを数台にわたって乗り継ぐお客様に加えて、子育てが終わり、ステップワゴンから乗り替えることもある。
ミニバンは便利だから、子育てを終えても、サイズダウンしてフリードを選ぶ。またフィットのお客様に、2人目の子供が生まれ、車内が狭くなってフリードに乗り替えることもある」。
このようにフリードは、ステップワゴンからのダウンサイジング、フィットからのアップサイジング、フリードを乗り継ぐイコールサイジングという具合に、さまざまなホンダのユーザーが購入している。
マイナーチェンジした現行型。フロントマスクのデザインが新型フィット系の方向性に微調整された
ステップワゴンからのダウンサイジング、フィットからのアップサイジング、フリード乗り継ぎと様々な需要に応えているという
最近のホンダのブランドイメージが、コンパクトな方向に発展したことも、フリードの安定的な売れ行きに結び付いている。N-BOXは2011年に発売された初代(先代)モデルから販売が好調で、2017年に2代目の現行型が登場すると、売れ行きが一層増えた。
そのために最近は、国内で新車として売られるホンダ車の内、30%以上をN-BOXが安定的に占めている。N-WGNなどを含めた軽自動車の販売比率は、国内で新車として売られるホンダ車の50%以上だ。そこにフリードとフィットを加えると、70~80%に達する。
その結果、ホンダのブランドイメージも「小さなクルマのメーカー」になっている。ホンダのミニバンといえば、もはやステップワゴンやオデッセイではなくフリードだ。ミドルサイズ以上は、ヴォクシーやセレナ、あるいはアルファードになる。
ホンダは売れ筋車種が小さくなりつつあるという。画像はフリードのラゲッジだが、シートの3列目を畳まなくてもホームセンターで買った組み立て式の小さい棚くらいなら余裕で入りそうだ
この影響でホンダではステップワゴンの登録台数が下がり、2020年は前年に比べて35%減った。フリードの登録台数に比べると、ステップワゴンは半数以下だ。軽自動車のN-BOXを筆頭に、ホンダの売れ筋車種が小さくなり、今はフリードとヴェゼルが実質的にホンダの上級車種になっている。
■良さはどこにある? シエンタを上回るフリードの商品力について
フリードは商品力も高い。ほかのミニバンに対する優位性として真っ先に挙げられるのは、全長を4300mm以下に抑えながら、全高は1700mmを上まわり、コンパクトでも外観をミニバンらしい印象に仕上げたことだ。
マイナーチェンジで追加されたフリードクロスター。加飾部品により存在感を増している
専用15インチアルミホイール採用などで印象が変わっているが、実際の外寸は基準車と変わっていない
ライバル車のシエンタは、薄型燃料タンクで床を低く抑え、全高も1700mm以下になる。そのために外観はワゴン風だが、フリードはボディが小さくても背が高く、ウインドーの面積も広く見える。ミニバンらしい存在感を強めた。
フリードはボディが小さくても背が高く、ウインドーの面積も広く見えるという。前席開口部もこの通り
フリードは車内も広く、2列目シートはベンチタイプではなく、両側にアームレストを備えるセパレートタイプの6人乗りが主力だ。3列目シートは左右に跳ね上げるタイプで、2列シート時には広い荷室になって自転車なども積める。ミニバンの実用性も高い。
「MM構想」により実現される広い車室空間。2列目アームレスト付きセパレートシート仕様はシート間も空いているため、ゆったり座れる
3列目シートを倒すことで自転車も載せられる
フリードのインパネ。シフトノブやエアコン操作系の配置が先代と近く、乗り換えの場合でも馴染みやすくなっている
こちらはクロスター。インパネは木目調が専用。シートや他の内装も表皮が基準車と異なる
価格は1.5Lガソリンエンジンを搭載する2WD・Gホンダセンシング(6人乗り)が216万400円だ。同程度の装備を採用したステップワゴン2WD・Gホンダセンシングに比べると約55万円安い。
このようにフリードは、ステップワゴンのようなミドルサイズミニバンに比べると、コンパクトで運転しやすく価格も大幅に安い。その一方で基本的な機能はほとんど変わらず、外観も見劣りしないから、買い得感を強めた。
衝突被害軽減ブレーキなどの安全装備、車間距離を自動制御できるクルーズコントロールといった運転支援機能も備わり、大切な家族を乗せるクルマとしての安心感を備えることもフリードの大切な魅力だ。
こちらはシエンタのインテリア。2列目がベンチシートの仕様は2018年9月のマイナーチェンジで追加された
2列目ベンチシートの利点は、3列目を倒しても5人乗りとして使用できる効率の高さだ
こちらはシエンタのインパネ。先代からメーター位置が変更されている。フリードより曲線を多用し、また、フリードより自動車の運転席という印象が強い
このようにフリードは買い得で、なおかつ今のコンパクトになったホンダのブランドイメージとも親和性が高く、好調な売れ行きに結び付いている。
■次期フリードは2022年秋頃、次期シエンタも2022年夏頃にフルモデルチェンジ予定
5ナンバーサイズの3列シートミニバンモデルというコンセプトは新型でも継承される。使い勝手のよさを新型も追求する(CGイラストはベストカーが製作したもの)
文/ベストカーweb編集部
フリードは2022年秋頃、シエンタも2022年夏頃に新型へフルモデルチェンジする予定。新型フリードは現行モデルのパワートレーンは基本的に先代型フィットと同じ1.5Lのガソリンと1モーター2クラッチ方式のハイブリッドであるi-DCDたが、新型は新開発のプラットフォームを採用し、ハイブリッドは現行フィット同様の2モータータイプとなるe:HEVに変更される。
もちろん、先進安全装備のホンダセンシングはソナーセンサーとフロントワイドビューモニターを採用した最新型に切り替わる。
また、フリードに対してテールゲートパネルとリアバンパーを開口部が広いタイプに変更した派生モデル、「フリード+」も継続して設定。低床化を追求し、多彩なシートアレンジをウリとするのも変わらない。
シエンタはTNGAプラットフォーム、コンパクトカー用のGA-Cプラットフォームを採用し、新世代の直噴、直3、1.5Lダイナミックフォースエンジンに小型化されたTHS-IIを搭載し、ディスプレイオーディオや最新のトヨタセーフティセンスを装備、これまで通り5ナンバー枠にとどまる。
次期シエンタは2022年夏頃デビュー予定。クロスオーバータイプのグレードも用意される(CGイラストはベストカーが製作したもの)
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みんなのコメント
つまりファミリーカーとして運転しやすく車内の広いN-BOX。人数が増えればFREEDが選ばれる。
ちょうど初期のオデッセイの役目と似ています。
シエンタも悪くはないがインパネの木目調パネルや車中泊も考えるとFREEDの方に分がある。
NEW FREEDが電動パーキングでオートブレーキホールドを付け、OPでもいいからステアリングヒーターあたりを装備できれば多人数ファミリーとしては嬉しい限りです。