令和3年の皇室は、上皇陛下が米寿を迎えられ、敬宮愛子さまが成年皇族となり、小室眞子さんのご結婚など、おめでたい出来事が続いたことは記憶に新しいところだ。皇室の方々の外出を伴う諸行事も令和2年以降は、その回数が激減し、お目にかかる機会もめっきり減ってしまった。そのような中、皇室の方々のご使用になる公用車はどうなっているのか、と気になっている読者もおられるだろう。そこで、現在ご使用の御料車や特別車はどうなっているのか、皇室の方々の御動静とともに簡単にレポートさせていただこう。
※2022年1月2日、新たな情報が確認できたため追加写真、情報を盛り込み更新いたしました
【車名当てクイズ】この名車、迷車、珍車、ご存じですか? 第55回
文・写真/工藤直通
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■小室眞子さんご結婚で注目された秋篠宮皇嗣家のクルマは!?
令和3年(2021年)10月に小室圭さんとご結婚した秋篠宮家の長女眞子さんは、皇室を離れるまで、2017(平成29)年に皇室費で購入した日産フーガを自らの専用車として使用していた。結婚式当日に宮邸を離れるシーンに登場したのが、このフーガだ。佳子内親王殿下も時を同じくして同車種を導入しており、2台のフーガにご姉妹の仲の良さを伺い知ることができる。日産フーガの前は、同様に三菱ギャランフォルティスを使用していたこともあったほどだ。現在、車主(眞子さん)が不在ではあるものの皇嗣家の公用車として使用状態にある。時として、弟の悠仁親王殿下がご使用になることがあるかもしれない。
ご結婚当日、ご両親、妹の佳子内親王殿下に見送られ居所をお離れになる際にもフーガが使用されたのであった
秋篠宮皇嗣家といえば、2000(平成12)年から使用していた三菱ディグニティが印象深いが、残念ながら現在は保管状態にあり、使用されていない。最後にその姿を見られたのは東京パラリンピック閉会式の時で、皇嗣旗を立てた勇姿が最後の花道となってしまった。ボンネットに取り付けられた旗竿用台座は、もともとは装備されていなかったが、皇嗣車として使用するにあたり令和元8月に183万6000円を投じて東日本三菱自動車販売で改造された。
2022(令和4)年元日、新年祝賀行事へ向かう秋篠宮皇嗣家のディグニティ。現役を続行することになったのは殿下の強いご希望だとか
※2022年1月2日追加
※秋篠宮皇嗣家のディグニティについて(2022年1月2日補足)令和3年9月に車検が切れて保管車となっていた上記2000(平成12年)式のディグニティですが、翌10月に改めて車検を通して現役続行となっていることが1月1日の午後になり確認できました。追加情報として訂正いたします。
皇嗣旗を立てるための台座を装着するための図面。2000年から使用されていたディグニティは、東京パラリンピック閉会式を最後に、事実上の引退となった
※その後の情報で、2022年1月1日にディグニティの稼働が確認されました
現在の皇嗣家所管の公用車は、三菱ディグニティ(H26年式/日産OEM)、日産フーガ2台、トヨタアルファード4WD(H24年式)、トヨタアルファードハイブリッド(H29年式)、レクサスLS600hL(H28年式)が登録される。なお、レクサスは中古車を宮内庁がレクサス八王子から865万円で購入したもので、このほかにも秋篠宮家では私有財産として登録するクルマも数台存在する。
秋篠宮皇嗣家が使用するレクサスLS600hLは、宮内庁が中古車を購入したものなのだ
■天皇陛下の公用車、御料車の最新事情
現在、御料車として管理されるクルマは現役最多となる13台を数え、皇室用ナンバーのものと品川ナンバーのものが混在している。侍従職用(天皇皇后両陛下)は11台で、皇ナンバーは皇1・2・3・5を付けたトヨタセンチュリーロイヤル4台をはじめ、皇7・14を付けたセンチュリーGZG50や、皇8・9・13を付けたセンチュリーハイブリッドが登録される。
「皇9」ナンバーを付けた現行型センチュリーの御料車
一方の上皇職用(上皇上皇后両陛下)は2台で、いずれも品川ナンバーを冠する。このほかに、センチュリーVG45防弾車とトヨタクラウンハイブリッド(H24年式)が、いずれも品川ナンバーで登録され、合計総勢13台を数える。
ハイブリット仕様のセンチュリー御料車1台の購入価格は、車両単価1815万円に対し特別架装などを施し約3400万円を計上。特別架装には、後席シートの一体型の3席クッションや、後部天井に室内灯2個設置(運転席操作)、後席アシストグリップを横置きから縦置きに変更、電動リアカーテン、脱着式後部ドアカーテン(収納ケース付)、消火器(ラゲッジルーム設置)、旗竿取付用台座(ボンネット)、皇ナンバー取付金具などを含む。
センチュリーロイヤルは、2006~2010(平成18~22)年の間に誕生して以来、車齢が11~15年が経過したこともあり、1回目となる延命工事を実施済み。この特別整備は、動力伝送装置、制動装置のほか主要機能を交換した。具体的にはプロペラ及びドライブシャフト、サスペンション、ギアボックス、ポンプ、ブレーキブースタ、ホイールシリンダの交換を1台あたり330万円投じて行なった。寝台車(病患輸送車)として登録されるロイヤルも、同様の額を投じて令和2年に特別整備が行われている。
4台あるセンチュリーロイヤルは納入から11~15年を経過し、大規模な特別整備を実施した
祝賀御列の儀(パレード)で使用したセンチュリー特装車「オープンカー御料車(DAA-UWG60改)」は、予算額8000万円(正規購入価格非公表)で内閣府によって購入された。令和元年9月26日に内閣府から宮内庁に管理替えされ宮内庁の所有となり、第6号御料車、皇ナンバー10として登録された。パレードで使用ののち、令和元年11月27日に再び宮内庁から内閣府へ管理換えされ、以後は宮内庁の御料車ではない。
令和元年(2019年)11月10日に行われた即位を祝う祝賀御列の儀では特別仕様のセンチュリーオープンカーを使用。内閣府が購入し、パレードに際して宮内庁に移管。「皇ナンバー」を装着した
なお、内閣府へ返納した際には、菊華御紋章類は取り外された。このような管理替えによる御料車の購入は、平成御大礼のパレードで使用されたロールスロイス・コーニッシュIIIを前例とするが、この時は宮内庁が引き取って御料車として所有しため、総理府(当時)への返納は行われていない。
■保存されるクルマたち
宮内庁の車馬課車庫で保存されるクルマは14台ある。古い順に1932年式「赤ベンツ(グロッサー770)」、1935年式「赤ベンツ(770)旧第2号」、1937年式パッカード(オープンカー)、1953年式「デムラー(旧寝台車)」、1957年式「ロールスロイス・シルバーレイス」、1961年式「ロールスロイス・ファンタムV(旧9料)」、1963年式「ロールスロイス・ファンタムV(旧10料)」、1968~1970年式「日産プリンスロイヤル」5両(うち1両は寝台車)、1991年式「ホンダ・インテグラ(RXI 4D)」※上皇陛下私用車。
このほかに、前述の秋篠宮皇嗣家が所管していた2000年式「三菱ディグニティ」も保管されている。
保存用参考物品として宮内庁車馬課車庫で保管される1957年式ロールスロイス・シルバーレイス。現役当時は第8号御料車を名乗った。皇室とロールスロイス社との付き合いは古く1921(大正10)年までさかのぼる
■ほかにもこれだけの車両が皇室用には存在する
まずは宮家。現在の宮家は、常陸宮家、三笠宮家、三笠宮東家(寛仁親王家)、高円宮家の4家で、11台の公用車が所管される。うち、2台は日産とホンダで、残りは全てトヨタが占める。
・常陸宮家:アルファード(H23年式)、センチュリーハイブリッド(H31年式)
・三笠宮家:センチュリー(H23年式/GZG50)福祉車両使用※後部席回転シート、アルファード(H28年式)福祉車両、ヴォクシー(H30年式)
・三笠宮東家:センチュリー(H26年式/GZG50)、フーガ(H29年式)、ヴェルファイア(H30年式)
・高円宮家:アルファード(H24年式)、センチュリーハイブリッド(H31年式)、レジェンド(R2年式)
これとは別に、宮内庁には皇室の方々のクルマのほかにも京都事務所などの地方機関や事業の用に供する庁用車がある。
庁用車として、東京の本庁にプリウスα6台、カムリ、クラウンハイブリッド、プリウス、ヴェルファイア、ハイエースが各1台、フーガ2台、ギャランフォルティス1台の計16台。上皇職ではギャランフォルティス、プリウスの2台。皇嗣職にはハイエースワゴン4WD、アルファード、プリウスαの3台が所管される。
京都事務所には、供奉車を転用したセンチュリー(H24年式)とクラウン(H31年式)、ノア、日産シビリアン(R2年式)の4台が所管される。バスは供奉車としても使用され、本庁にも日産シビリアン2台のほか日野リエッセIIと三菱ローザがある。
その他の地方機関では武蔵陵墓地に隣接する多摩陵墓監所にはステップワゴン、那須御用邸にはアウトランダー、須崎御用邸にはハイエースバン(H30年式)が所管される。
さらに本庁では、貨物車としてハイエースバン2台とキャラバン1台のほか、散水車、高所作業車、小型貨物車、運搬車など9台がある。
なお、病患輸送車(寝台車)として登録されていた、日産キャラバン改造車は2台とも用途廃止(ディーラーを通じて中古車として転売済み)されており、その後は後継車も導入されていない。
以上が、宮内庁が所管するクルマの全てであり、総勢80台(うち保存・保管車15台)となる。この数字を見て過分ではないかと思われる方もいると思うが、本記事は台数を批判することを目的としているわけではなく、現実としてこれだけの公用車が活躍していることをお伝えするものであることを書き添えます。
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みんなのコメント
一体、この8.5億円の行方はどこですか?
宮内庁は国民に対し説明する義務があると思います。