■現代のファミリーカーはミニバン? その後のクルマは?
2018年上半期(1月から6月)の国内における販売順位を見ると、1位がホンダ「N-BOX」(N-BOXスラッシュを含む)、2位はスズキ「スペーシア」、3位は日産「ノート」、4位はダイハツ「タント」、5位はダイハツ「ムーヴ」(売れ筋はムーヴキャンバス)です。
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3位の日産ノートを除くと、すべて背の高い軽自動車です。N-BOX、スペーシア、タントは全高が1700mmを上まわり、後席側にスライドドアを装着しています。ムーヴキャンバスの全高は1700mm以下ですが、タントなどと同じように後席側にスライドドアを備えます。
背の高いボディとスライドドアの組み合わせは、まずトヨタ「ハイエース」のようなワンボックスバンに採用され、日産「セレナ」やホンダ「ステップワゴン」などのミニバンに装着されて普及しました。N-BOXやスペーシアは、ミニバンスタイルの軽自動車とも表現できます。
全高が1700mmを上まわると、全長や全幅の割に車内を広く確保できます。小型車のミニバンであれば、3列シートの装着が可能です。軽自動車は乗車定員が4名ですが、後席の居住空間を大幅に広げられます。後席を畳めば自転車も積めます。またスライドドアは開閉時にドアパネルが外側へ張り出さないため、狭い駐車場での乗り降りもしやすいです。
こういった機能によって、背の高い軽自動車やミニバンは人気を得ましたが、多くの人達がこれらの車種に必要性を感じているのでしょうか。
国土交通省のデータによると、乗用車の平均乗車人数は、平日が1.3人、休日でも1.7人です。後席の機能を充実させる必要性は低いように思えます。
それなのにスライドドアを装着した軽自動車が人気を得ている背景には、まずミニバンの好調な売れ行きがあるようです。ネッツトヨタ店のセールスマンは「今ではミニバンがファミリーカーの定番になり、3人家族でもミニバンを購入されるお客様が多いです」といいます。
そしてホンダカーズのセールスマンによると「N-BOXを購入されるお客様には、フリードやステップワゴンからのダウンサイジング(小さな車種に乗り替えること)が目立ちます」とのことです。
つまりミニバンがファミリーユーザーにとって一種のトレンドになり、いいかえれば憧れに似た存在になって、好調に売れています。その後、数年を経て子育てを終えると、3列のシートや大容量の荷室が不要になって小さなクルマへの乗り替えを検討します。ただしミニバンに慣れていると、天井の低い車種では圧迫感が生じるため、N-BOXのような背の高い軽自動車が購入されるのです。
■トヨタでもユーザーニーズを考えずに開発し失敗した車種も
この流れが定着すると、スライドドアを備えていないクルマは、物足りない印象になってしまいます。スライドドアが乗降性を超えた満足感とか、立派に見える存在感を得られる装備になりました。
ちなみに以前、先代トヨタシエンタの後継車種として、後席のドアを横開きにしたコンパクトなパッソセッテが発売されました。これがサッパリ売れず、先代シエンタは2010年8月に一度販売を終えながら、2011年5月には生産を再開しています。結局、パッソセッテは短期間で販売を終えました。
パッソセッテは後席が狭く、スライドドアも付かず、さらにミニバンでありながら車名にコンパクトカーの「パッソ」を付けています。これではトレンドに乗れず、「パッソ」だからファミリーユーザーの憧れにもなり得ません。パッソセッテは、トヨタ車にしては珍しく、ミニバンを買う人達の気持ちを理解せずに開発された商品でした。
このように今では、背の高いボディにスライドドアを装着していると、何となく良いクルマに感じられる時代になりました。その背景には、ほかのカテゴリの変化が乏しかったり、日本のユーザーから離れた事情もあるでしょう。
例えばかつての4ドアセダンは、今と違って品ぞろえが豊富でした。コンパクトな5ナンバー車、外観をクーペのようにカッコ良く仕上げた天井の低い4ドアハードトップもたくさんありました。
ところが近年は4ドアハードトップを廃止して、セダンはボディの大柄な海外向けの車種ばかりです。欧州車には30~40年前の日本車を思わせる天井の低い「4ドアクーペ」が増えて、売れ行きを伸ばしています。何とも皮肉な話です。
ステーションワゴンもかつては車種が多かったですが、国内ではミニバンの需要に押され、北米でもSUVとは逆に市場を縮小させて日本車は選択肢を減らしました。この隙間を突いて、欧州のステーションワゴンがシェアを拡大しています。
2/3ドアクーペは世界的に売れ行きが下がりましたが、日本ではそれ以上に車種が減り、今では一部のユーザーだけが乗るクルマのようになっています。
■スライドドア&背高車が今では日本の自動車文化
その一方でスライドドアを装着したクルマは、軽自動車が激しいライバル競争を通じて商品力を高めています。ボディ形状が似ているミニバンには、アルファード&ヴェルファイアのようなイメージリーダー車があり、この売れ行きも堅調です。
少々大げさにいえば、スライドドアを備えた背の高い乗用車は、今では日本の自動車文化なのでしょう。好んでそうなったのではなく、ほかのカテゴリの魅力が薄れたことで、結果的に日本車の主役になりました。「スライドドアの付いた人気車を選べば間違いない」という認識が広がり、この中で最も経済的なのが背の高い軽自動車です。
セダンやクーペの実態は「海外向けに造った商品を日本でも売ってあげる」というものですが、スライドドアを備えた背の高いクルマは、日本のユーザーの生活を見据えています。
「日本のみなさんのために造った商品です」というメッセージが込められています。実用的か否か、価格が高いか安いか、といった機能の話ではなく、礼儀とか優しさの問題だと思います。
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