■ワゴンブームをけん引した「レガシィ」とそのライバル車たち
現在はステーションワゴンの人気が低迷しており、国産メーカーのなかにはワゴン車のラインナップを持たないところもあるなど、車種が減少傾向です。
見かけたら思わずうっとりしちゃう!? 美しすぎるステーションワゴン5選
ワゴン車が減るなか、健闘しているのはスバル「レヴォーグ」でしょう。2020年に2代目へとフルモデルチェンジして人気を高めています。
そんなレヴォーグの前身は「レガシィ ツーリングワゴン」ですが、同車は1980年代末から盛り上がったスキーブームをけん引。若者からヤングファミリーの車種選びにも影響を及ぼし、1990年以降は荷物を積めるワゴンのブームが起こりました。
初代レガシィは1989年1月に発売され、トップグレードの「セダン RS」は新開発のEJ20Gエンジンを搭載し、220馬力/27.5kgf・mを誇っていました。
そしてワゴンモデルにターボエンジンが搭載されたのは、9か月遅れの1989年10月です。
セダン RS用エンジンを200馬力/26.5kgf・mにデチューンし、AT専用グレードの「GT」として搭載しました。
駆動方式は4WDで、電子制御で前後の駆動力配分を6:4から5:5まで配分する「アクティブトルクスプリット方式」を採用。レガシィツーリングワゴンの人気がより拡大したのは、このGTグレードが設定された頃です。
当時のワゴンというと実用性能が重視され、一部の車種を除いて実用エンジンしか搭載されず、運動性能は我慢が求められるモデルだったのです。
レガシィツーリングワゴンは、ハイパワーエンジンをAT車にも搭載したことが特徴で、ユーザーの選択肢を増やして好調な販売を記録しました。
この特徴は2代目以降のレガシィにも継承され、いわば「快速ワゴン」のジャンルを築いたのです。
1990年代末頃になると、各社がレガシィを追撃するワゴンを発売。それぞれの考えで「快速グレード」を設定しました。
今回は、各社の特徴が表れた「快速ワゴン」を5台ピックアップ、それぞれの魅力に迫ります。
●トヨタ「カルディナ」
トヨタ「カルディナ」は、「コロナ」や「カリーナ」のワゴン、バンモデルとして1992年11月に登場しました。
初代モデルは、1995年2月に175馬力の3S-GE型エンジン搭載車を設定。販売は好調でしたが、イメージの上でレガシィの牙城を切り崩すには至りませんでした。
1997年9月発売の2代目モデルでは、「セリカGT-Four」が搭載する3S-GTE型を搭載する260馬力/33.0kgf・mの「GT-T」を設定し、最高出力はレガシィのATモデルと並びました。
さらに2002年9月、近未来的なスタイルをまとった3代目モデルが登場します。
エンジンこそ旧型と同出力ながらシャシ性能をアップし、グレード名はセリカの「GT-Four」を継承しました。
シーケンシャルシフトマチック式ATやコイルバネ付きフロントストラットタワーバーなどを装着し、サーキットでの走行性能の高さも売りにしたモデルでした。
●日産 プリメーラ
日産「プリメーラ」は、2代目(P11型)の途中である1997年9月にワゴンを追加しました。当時のワゴン人気とプリメーラの人気から、待ちに待ったという人が多かったようです。
プリメーラワゴンの高性能グレードには日産初の可変バルブタイミング&リフト式のSR20VE型エンジンを搭載。このエンジンは高回転高出力型で、190馬力/20.0kg・mの性能を発揮しました。
しかし、トランスミッションには6速マニュアルモード付CVTだけが組み合わされ、エンジン性能を活かせているとはいえませんでした。
2001年1月にはP12型にフルモデルチェンジし、ワンモーションフォルムの近未来的なスタイルに変更されます。
同年中にSR20VEエンジンを204馬力/21.0kgf・mにパワーアップして搭載、しかも待望の6速MTとの組み合わせとなりました。
ワゴン本来の目的と高回転高出力エンジンやMTとの組み合わせはアンバランスですが、プリメーラワゴンは趣味とスポーツ性能を楽しめる貴重な存在でした。
■個性的で勝負した当時の高性能ワゴン車たち
●三菱「レグナム」
三菱「レグナム」は、8代目「ギャラン」をベースにしたワゴンモデルとして1996年に登場。ギャランシリーズの長い歴史のなかで、国内では初めてのワゴンモデルです。
当時は量産モデルとして世界初のGDIエンジンが話題になりましたが、ギャラン伝統のハイパワーエンジンも搭載していました。
ハイパワーグレードはギャランとともに「VR-4」を名乗り、2.5リッターV型6気筒ターボエンジンを搭載。
最高出力はレガシィ ツーリングワゴンと同等の280馬力または260馬力/37.0kgfでしたが、レグナム最大の特徴は電子制御システムにあります。
リヤデフには、「ランサーエボリューションIV」にも搭載された後輪の左右駆動力配分システム「AYC」が装着され、車重をものともしない軽快なコーナーリングを実現。
また、当時のこのクラスでは珍しかった横滑り防止装置の「ASC」も搭載し、安定性にも配慮していました。
レガシィ ツーリングワゴンが機械的な構造で走りの性能を追求していたのに対し、レグナムは「電子制御による高性能な走り」を目指したモデルだったのです。
●マツダ「カペラワゴン」
マツダ「カペラ」のワゴンモデルは、1988年に「カペラカーゴワゴン」として追加されました。
1989年にはプレッシャーウェーブ式スーパーチャージャを装着した82馬力/18.5kgf・mのディーゼルエンジンを追加し、静かで速いディーゼルエンジン搭載ワゴンとして、レガシィとは別の形で独自の地位を築いていったのです。
ワゴンは1994年10月にビッグマイナーチェンジで「カペラワゴン」に改名し、その後1997年にフルモデルチェンジされました。
このモデルのワゴンは、セダンのホイールベースを60mm延長しており、7人乗りモデルも設定。
加えて、セダンには設定されない2.5リッターV型6気筒エンジン(200馬力/22.8kgf・m)を搭載するなど、静かで高級な走りを目指しました。
ディーゼルエンジンも、4バルブ化と1000気圧の高圧直噴化により、100馬力/22.4kgf・mにパワーアップし、のちに登場する「アテンザ」の片鱗が見えるモデル展開をしていました。
●ホンダ「アコードワゴン」
1997年にフルモデルチェンジされたホンダ「アコードワゴン」は、スポーツ性能を強化したモデルでした。
ボディ剛性を向上し、リアサスペンションには5本リンク式のダブルウィッシュボーンを与え、走りの性能を向上させていました。
ワゴンボディは、ルーフからバックドアへとなだらかな傾斜が連続したスタイルが特徴で、実用性よりもスタイルを重視。荷物の積載性こそやや低下しましたが、かつてクーペが持っていた優雅さがワゴンに変わったことを感じさたものです。
セダンには、F20B型DOHC VTEC(190馬力)の「SiR-T」や、マイナーチェンジで200馬力を発揮する「ユーロR」などが追加されましたが、ワゴンにも同等のモデルがありました。
1999年に追加された「SiR」は、200馬力/22.5kgf・m の2.3リッターVTECエンジン(H23A型)を搭載。最高出力こそセダンのハイパワーモデルであるユーロRと同等ですが、100ccアップされた排気量がエンジン低回転時の走りに余裕をもたらしました。
SiRには4WDモデルもあり、高回転、高出力エンジンと4WDの組み合わせは、他車にはない存在となりました。
※ ※ ※
各社はセダンに搭載していたハイパワーエンジンを使って、快速ワゴンを設定していました。
この後、多くの人はワゴンの便利さに慣れたためか、市場の中心は箱型ミニバンやヒンジドアミニバンへと移行していき、結果として、セダンとワゴンのハイパワーエンジン搭載車は市場が収縮。2000年代半ばからはクルマ離れの傾向が表れてきました。
今回紹介した「快速ワゴンの時代」は、ハイパワー車を楽しめた最後の時代だったのかもしれません。
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