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スバル色ポルシェ、なぜ誕生? スバルエンジン搭載「ポルシェ911 GT3 STI」 製作者に訊く

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スバル色ポルシェ、なぜ誕生? スバルエンジン搭載「ポルシェ911 GT3 STI」 製作者に訊く

エネオスブースに「スバル色ポルシェ」

世界最大の自動車アフターマーケットパーツ見本市「SEMAショー」は今年も2022年11月1日~4日の日程で開催された。

【画像】水平対向エンジンに敬意を【ENEOSポルシェ911 GT3 STIを細部まで見る】 全22枚

会場はおなじみ、ラスベガスコンベンションセンター(LVCC)である。屋内展示スペースと広大な駐車スペースを利用した屋外展示スペースをあわせるとおそらく50万平方メートル以上となり、世界トップレベルの展示面積となる。

2000年以降、SEMAショーには日系の出展社が数多くブースを構えるようになった。

トヨタ、日産、ホンダ、レクサスなどの日系自動車メーカーをはじめ、GReddy、テイン、HKS、クスコ、ヨコハマ、トーヨータイヤなど多数の部品メーカーの展示も恒例となっている。

このような中、エネオスや出光といった日本の大手石油元売り会社の米国関連会社も10年以上前からほぼ毎年出展しているのをご存じだろうか?

「なんで日本のガソリンスタンドがSEMAショーに?」と筆者も最初は驚いたが、エネオスや出光はガソリンを販売するのではなく、モーターオイルやEV用フルードなどのオイル関係を全米で市販している。

2社のうち毎年、かなり気合の入ったデモカーを出展しているのがエネオスである。

昨年同様、出光は華々しく活躍するマツダモータースポーツ・マツダDPIのレースマシン1台を展示していたのに対して、エネオスはスバルエンジンを搭載したポルシェ911 GT3 STI、Zパワーを搭載したDAI YOSHIHARA(フォーミュラドリフトのトップレーサーとして2021年まで活躍)の日産フロンティアレーストラック、パイクスピークにエントリーしたテスラ・モデル3レースカー、ワイドボディのダットサン521ピックアップ、そしてコンテストで優勝した1997年アキュラ・インテグラ・タイプRなど合計5台ものモンスターマシンを展示していた。

廃車ポルシェ911 GT3にEJ25エンジン

これらのモンスターマシンの中でもっとも注目を集めていたのが青いスバルカラーのポルシェ911だ。

正式名称は「ENEOSポルシェ911 GT3 STI」。

ボクサーエンジンという共通点を持つ2車がどのような経緯で融合され、パワフルに美しく仕上げられることになったのか?

会場でも多くの来場者がブースに足をとめて熱心に写真を撮ったり質問したりしていた。

ポルシェのボディにスバルのエンジン……日本人ではなかなかその発想すら生み出せないかもしれないが、とにかくこのクルマを作ったビルダーに会ってみたいと思った。

Formula DRIFT PROドライバーであり、DevSpeed Motorsportsのオーナーである著名ビルダーファルーク・クアイさんに話を聞いた。

「今回使用した2007年型911 GT3自体はカーブを曲がりきれずに衝突、足まわりを損傷した個体でした。その状態になると完全な修復は不可能なので、廃車になってしまったのです」

「その状態のクルマをわたしの知り合いのポルシェコレクターがエンジンやトランスミッションの部品取りとして保有していました。わたしはその911 GT3のボディだけを使ってドリフトマシンを作りたいと思い、コレクターに車体だけを譲ってもらうことにしたのです」

「日本車のエンジンを載せたい。というのは最初から決まっていましたが、ハンドリング性能を損ねないためにも、重心が最も肝心な点でした」

「調べを進めていくうちに、インプレッサやレガシィ、フォレスターなど多くのスバル車に採用されている『EJ25』がトランスミッション込みで911 GT3純正よりも170 lbs(約77.1kg)軽いエンジンであることがわかりました。それで車台だけの911 GT3にEJ25を換装することを選んだのです。」

スバルとポルシェの要素を絶妙に配合

スバルSTIによってチューンされたEJ25エンジンは911のストックエンジンの出力421psを超える改造ができると考えたファルークさん。

ボルグワーナーEFR 7064-Cターボと大規模なVibrant Vertical Flowインタークーラーでアップグレードを考えた。

「オイルの廃油ポンプを付け加える関係でもう少し高い位置にターボを移設するかもしれません。エンジン自体はスバルなので、ECUもリンク製のスバル用を用いています」

「プロジェクトをスタートした当初はすんなりと換装が進むと考えていました。ですが、ドライブシャフトと繋ぐ際のたった40mmの空間で大変な作業となりました」

「トランスミッションはスバルのものを使っていますが、反対に作用する(ポルシェは後輪駆動、スバルは前輪駆動であるため)部品を取り寄せて搭載することに」

「これらの作業はカリフォルニア州マリエタにあるSubiWorksによって組み立てられています。また、オーストラリアSubarugears製品のリバースカットリングギアとベルハウジングを備えたインプレッサ用6速トランスミッションを介して後輪に伝達されます」

ファルークさんは外装にもかなりのこだわりを見せている。

エクステリアのデザインに関してもポルシェとスバル両方の要素が絶妙なバランスで入れ込まれている。

「外装のデザインはポルシェとスバル両方の要素を取り入れました」

「フロント部はポルシェ917Kでお馴染みのカラーリング『ザルツブルク』のストライプで、サイドのデザインにはスバル製エンジンのマシンらしく六連星をあしらっています」

「ENEOSポルシェ911 GT3 STIは、クラシックなザルツブルク・ポルシェ917とスバルの特徴的な世界ラリー選手権車両の両方にインスパイアされたユニークなカラーリングで仕上げられました」

昨年も日×独スワップモデルを展示

「なお911 GT3のルーフは元々サンルーフ仕様だったのですが、わたし自身、サンルーフが好きではないのでここはカーボンルーフへと交換しました」

「そして車両全体を3Dスキャンし、友人の会社で専用のロールケージを設計してもらいました。機械で曲げられたチューブが 弊社(DevSpeed) に送られ、友人の会社であるMarcus Fryが信じられないほど密着したケージを溶接しました」

「Aピラーを見てもらえるとわかりますが、ケージとピラーが溶接できるほどギリギリの設計です。オリジナルのダッシュボードも3Dスキャンのデータを活用し、3Dプリンターで製作しました」

「足まわりではBCレーシングのサスペンションに、ホイールはロティフォーム917を組み合わせています。広大なフェンダーには、伝説的なポルシェのデザインを踏襲した巨大な19×10インチのフロントと19×13インチのRotiform 917ホイールが収まります」

「このホイールのデザインはポルシェの往年のマシン『ポルシェ917』から着想を得ており、また、ゴールドのカラーもスバルの雰囲気とあっていると思います」

なお、ファルークさんは昨年も同じエネオスブースですごいカスタムカーを披露している。

「ホンダパワードBMW」と名付けられた1台で、1985年型BMW 318iにホンダS2000の2.0L 4気筒エンジンを換装している。

BMW E30 M3の2.3L 16Vエンジンにさえ匹敵する、より強力で軽量なエンジンを提供することを目的としたビルドで、コードネームF20Cの強力なVテックエンジンは、強制吸気を必要とせずに240psを発生する。

来年のSEMAエネオスブースにはどんな、とんでもないカスタムビルドカーが登場するのだろうか?

ファルークさんのような著名ビルダーは1年以上前からSEMA出展の車両を準備するという。

彼が来年もエネオスブースにクルマを出展するならすでに準備に入っているだろう。今から楽しみである。

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みんなのコメント

15件
  • 日本人からしたら、賛否が分かれそうな作品。
    EJ25、そのまま載せたら重心上がるけど、対策ちゃんとやってるのかな。
    軽量になるのはメリットだけど。
  • 今後は国を超えた共同開発なんてのも悪くないかもね
    自動車エンジン業界も下火にさせられそうだしさ、EVに行きたいんでしょ?寒い国とか行けるかどうか知らんが
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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