出だし順調 フィットの二の舞避けたい
text:Kenji Momota(桃田健史)
【画像】カローラ・クロス日本上陸?【迎え撃つヴェゼルと比べる】 全158枚
editor:Taro Ueno(上野太朗)
外観デザインについて賛否両論ある、ホンダの新型「ヴェゼル」。
ネットや自動車専門誌では、ヴェゼルにトヨタなど他ブランドのデザインテイストがあるとして、ホンダに対して厳しい意見も見受けられる。
そうした中で、販売の立ち上がりは順調に推移している。
ホンダは2021年2月18日にオンラインで新型ヴェゼルのワールドプレミアをおこない、4月23日から正式に発売した。3月15日から先行予約販売を開始しており、4月19日時点で月間販売計画台数5000台の3倍以上となる約1万7000台を受注した。
とはいえ、こうした新車効果を今後どの程度維持できるのか、ホンダとしては期待を不安が入り混じっていることだろう。
なぜならば、ヴェゼルとパワートレインを含めて部品の共通性が高い、コンパクトカーのフィットでは、2020年2月発売からの新車効果が夏前には息切れしてしまい、2021年に入ってからはライバルのトヨタ・ヤリスや日産ノートに対して販売で苦戦を強いられているからだ。
ホンダとしては、海外では「HR-V」と呼び、日本ではヴェゼルを名乗るこのクルマについて、新世代ホンダのシンボルの1つとして重要視している。
その背景にあるのが、世界的なSUVシフトに加えて起こっている、新たなる社会現象だ。
SUV多角化の本格的な始まり
新しい社会現象とは、SUVに対してのさらなる需要の拡大だ。
とくに、グローバルでコンパクトカーと呼ばれるCセグメント、また日本でコンパクトカーと呼ばれるBセグメントでのSUVモデルの多様化が目立つ。
本来、BセグメントとCセグメントでは4ドアセダンが主流で、そこから2ドアクーペ、3ドア/5ドアハッチバックやワゴンへと派生モデルが広がる形が世界の各メーカーにおける定石だった。
4ドアセダンの代表格は、ホンダ「シビック」やトヨタ「カローラ」であり、3ドア/5ドアハッチバックではフォルクスワーゲン「ゴルフ」である。
一方で、90年代中盤から後半にかけて、アメリカでは本来は商用車であるフルサイズピックアップトラックやミッドサイズピックアップトラックの乗用化が進み、またこれらトラックの車体をベースとするSUVの需要が高まっていった。
そうしたSUV市場拡大を、筆者はこれまで20数年間にわたりアメリカ各地の現場で体感してきた。
その中で、2010年代に入るとSUVのダウンサイジングのトレンドが生まれる一方で、アメリカでの売れ筋であるホンダのシビック/アコード、またトヨタのカローラ/カムリの販売実績が徐々に低下していった……。
米SUVのダウンサイジングの影響
直近、2020年の暦年でホンダのアメリカ国内販売実績を見ると、販売台数が最も多いのがCR-Vで33万3502台(前年比13.8%減)、次いでシビックで26万1225台(前年比20.3%減)、アコードが19万9458台(25.9%減)、そしてHR-Vが8万4027台(15.8%減)と続く。
各モデルが前年比で大きく落ち込んでいるのは当然、新型コロナウイルス感染症拡大による2020年春から夏にかけての販売店の一時休業や工場での生産調整などの影響だ。
ただし、現状幅でみると、C/Dセグメントセダンに比べてSUVでの販売ダメージは少ない。
さらに、ホンダのSUV全体で見ると、パイロットが12万3813台(8.9%減)とダメージはさらに少ないどころか、パスポートは3万9567台(8.9%増)と販売総数は少ないが販売が伸びている状況だ。
筆者(桃田健史)の見立てとしては、アメリカ市場全体としてSUVのダウンサイジングが進んでおり、とくにデトロイト3(GM/フォード/ステランティス)のSUVユーザーの一部がホンダを含めた日系メーカーのコンパクトSUVへとダウンサイジングしているのだと思う。
こうした中で、アメリカを主戦場とするホンダにとって、HR-Vの高級化と上質化が重要になってくることは明らかだ。
また、欧州、中国や東南アジアなどの経済新興国でセダンからのコンパクトSUVシフトがじわじわと広がっている印象がある。
ヴェゼルがトヨタSUVと互角に戦うには?
欧州ではグローバルで最もCAFE(企業別平均燃費)の達成目標が厳しく、そのために2021年秋過ぎに欧州で発売予定の新型HR-Vでは、日本のような1.5Lガソリンの設定はなく全車が2モーターハイブリッドシステムのe:HEVとなる。
そして日本市場だが、なにせトヨタのSUV攻勢が強烈で、ホンダとしてはヴェゼルで複数のトヨタ・モデルに相対する必要がある。
日本でのトヨタのSUVは、価格が高い順に、ランドクルーザー、ランドクルーザー・プラド、RAV4、C-HR、ヤリス・クロス、ライズというフルラインナップ。
また、これらに加えて、2021年夏にはアクアがフルモデルチェンジするが、現行車と同じくアクア・クロスオーバーのハイブリッドが出るのか?
さらに、2020年にタイでワールドプレミアしたカローラ・クロスの2021年秋ごろに日本市場導入のうわさが絶えない。
価格帯でみれば、ヴェゼルは少なくともヤリス・クロス・ハイブリッド、アクア・クロスオーバー、C-HR、カローラ・クロスという4モデルに対向しなければならない。
こうした日本を含めたグローバルでのコンパクトSUV市場の図式を俯瞰すると、ヴェゼル/HR-Vが上級かつ上質化し、さらにe:HEVとリアルタイムAWDとの連携を強調する意味合いが理解できる。
果たしてヴェゼルは日本での人気を確固たるものにできるのか、今後の動向を注視したい。
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みんなのコメント
中途半端に背伸びして
マヌケになった気がします
押し出し感を出すために
フードを高めたのかも知れませんが、
それで軽快感や若々しさが失われ
鈍重なオッサン車になっちゃった