現在位置: carview! > ニュース > 業界ニュース > 日本車=「国産がイチバン」はもう古い? 気づけば「アジア産」だらけになった理由 デメリットある?

ここから本文です

日本車=「国産がイチバン」はもう古い? 気づけば「アジア産」だらけになった理由 デメリットある?

掲載 72
日本車=「国産がイチバン」はもう古い? 気づけば「アジア産」だらけになった理由 デメリットある?

ホンダもスズキも「インド産」で勝負

 今やブームから乗用車の定番へと成長を遂げているSUV。その市場の盛り上がりを示すように、続々と新型車が登場しています。その中には、2024春より導入を開始したホンダ「WR-V」や、秋の発売と言われるスズキ「フロンクス」といった、お手頃なコンパクトSUVも含まれています。

【こんなに!?】実は“海外製”の日本車たち(写真で見る)

 実はこの2台は、いずれも“インド製”です。ついにインド製の日本車が上陸――と思った人もいるかもしれませんが、以前にもスズキが、コンパクトハッチバック「バレーノ」を導入した実績があります。

 両社がインドで日本向けのクルマを生産する狙いは、ズバリ、低価格にあります。たとえばWR-Vは、車両本体価格帯が200万円前半となり、コミコミ300万円以内で狙えます。その実現のために、企画から製造まで工夫を凝らしています。

 ただ誤解してはならないのは、決して、「安かろう悪かろう」の製品ではないことです。WR-Vは、インドのホンダ最上級車「エレベイト」として販売されていますし、フロンクスも、インドのスズキ上級車販売店「ネクサ」の取り扱いとなっています。現地の庶民にとって憧れの存在といっても過言ではないのです。

 それを裏付けるように、以前にWR-Vの取材で、ホンダの開発者が、「ホンダのインド工場では、自分たちの製造したWR-Vが、母国日本で販売されることから、従業員の気合も高まり、誇らしく感じているようだ」と語っていたことが印象的でした。もちろん、両者ともに、法規対応だけでなく、開発段階から日本向けを意識した仕様の作り込みや標準装備の充実化なども図られています。

 あまりアピールされていませんが、海外生産の日本車は、ほかにもあります。

 トヨタはタイからピックアップトラック「ハイラックス」を、日産はコンパクトSUV「キックス」を、ホンダは中国からフラッグシップミニバン「オデッセイ」と、タイからフラッグシップセダン「アコード」、米国よりFCVの「CR-V e:FCV」を、三菱はタイよりピックアップトラック「トライトン」を、それぞれ輸入しています。これらの車種を見ていくと、高価格帯のクルマが多く含まれていることがわかります。

海外製日本車、デメリットはある?

 これら海外製の車種は、市場ニーズの高い地域に生産工場が置かれています。つまり、現地向けのクルマとともに、日本や他の地域向けのクルマを生産することで経営資源の効率化を図ることが目的です。

 例えば、ピックアップトラックは東南アジアを中心に高い需要があるため、生産地にタイが選ばれています。ホンダの場合、オデッセイは国内生産を終了したものの、市場からの声を受け、復活させるために中国からの輸入という選択をしています。

 例外的なのがホンダCR-V e:FCVですが、これは特殊なモデルであるため、搭載する燃料電池システムの生産が米国であることなどの理由から、かつてNSXの生産を行っていたオハイオ州にあるパフォーマンス・マニュファクチュアリング・センター(PMC)で作られています。

 こうした車種は輸送コストこそ国内生産より上昇しますが、現地向けや海外向けの同型車を大量生産しているので、日本向けモデルが少量であっても、製造コストを抑えることが可能です。そのため、販売台数が限られるクルマでも、日本での販売が実現できます。ちなみに、アコードやトライトンの月販計画台数は、200台と控えめです。

 もちろん、弱点もあります。それは年間の導入台数と仕様が限定されること。自動車の輸入は船便となりますが、その輸送ルートを確保する必要があるため、ニーズがあるからといって、急に輸入台数を増やすことができません。また国内生産のように、ユーザーごとの細やかなオーダーに合わせることは長納期化につながります。

 これは日本で販売される海外メーカーの輸入車も同じで、在庫に同様の仕様があれば問題ないのですが、本国への注文生産となると多くの時間を必要とします。また仕様の多さは価格上昇の要因となるため、基本的にはメーカーオプションがなく、グレード構成も最小限に。ボディカラーも絞られ、人気色に集中されます。

 そのぶん、多くの人が基本仕様で満足できるように、装備が充実するのが通例です。

イマイチだった逆輸入日本車も最後には良くなっていた!

 ただホンダがWR-Vの月販販売計画に強気ともいえる3000台を掲げるように、海外生産拠点からの供給を本格化させている流れも感じられます。特にホンダは、電動化や自動運転などの技術開発への投資を理由に、資源の選択と集中に取り組んでおり、国内でも狭山工場を閉鎖するなど、工場の集約化を図っています。

 またスズキフロンクスも、これまでの登録車で行っていた輸入よりも、多くの台数を想定していると予測されます。これはインドの生産拠点が、輸出拠点として活躍していることが挙げられます。話題となっている海外向けの「ジムニー」5ドアもインド製で、周辺諸国を中心に輸出を行っています。

 海外生産からの逆輸入は昔からあるものの、確かに発展途上国から導入されたクルマには、現地向けの実用車として安さを重視したものを日本に導入したケースもありました。日産「マーチ」や三菱「ミラージュ」が、その一例ですが、日本の消費者には、安さだけでは勝負にならず、受け入れられませんでした。

 しかし、時代は流れ、日本向けの最終型ミラージュに乗った際には、その走りが磨かれ、多くの改善を図ったことを実感しました。今も価格重視の発展途上国モデルは存在しますが、それら自体も大きく進化していますし、現地向け専売車と世界戦略車では、ニーズを反映した差別化も図られています。

 そもそも海外メーカーの輸入車であっても、本国以外の生産拠点から供給されるモデルも少なくありませんし、今やボルボ「EX30」やテスラ「モデル3」といったEVに代表されるように、中国生産の欧米車も出現しています。ちなみにジープの7人乗りSUV「コマンダー」は、インド製です(現地名メリディアン)。

 クルマを選ぶ際は、自身が求める品質や性能を持つクルマであるかどうかのほうが、生産地よりも重要ではないでしょうか。その恩恵は、ニッチなクルマの提供や魅力的な価格として、消費者に反映されているのですから。

【キャンペーン】第2・4 金土日はお得に給油!車検月登録でガソリン・軽油5円/L引き!(要マイカー登録)

こんな記事も読まれています

なぜ潰れた? 名車と振り返る「消滅した自動車メーカー」 32選 前編
なぜ潰れた? 名車と振り返る「消滅した自動車メーカー」 32選 前編
AUTOCAR JAPAN
NASCARの2024シーズン終了! 日本からスポット参戦した「Hattori Racing Enterprises」の今季の結果は…?
NASCARの2024シーズン終了! 日本からスポット参戦した「Hattori Racing Enterprises」の今季の結果は…?
Auto Messe Web
ジャガーEタイプ S1(2) スタイリングにもメカニズムにも魅了! 人生へ大きな影響を与えた1台
ジャガーEタイプ S1(2) スタイリングにもメカニズムにも魅了! 人生へ大きな影響を与えた1台
AUTOCAR JAPAN
もの凄く「絵になる」クルマ ジャガーEタイプ S1(1) そのすべてへ夢中になった15歳
もの凄く「絵になる」クルマ ジャガーEタイプ S1(1) そのすべてへ夢中になった15歳
AUTOCAR JAPAN
日本の「ペダル踏み間違い防止技術」世界のスタンダードに! 事故抑制のため国際論議を主導
日本の「ペダル踏み間違い防止技術」世界のスタンダードに! 事故抑制のため国際論議を主導
乗りものニュース
90年前の“博物館級”のオートバイがオークションに登場 “2輪界のロールス・ロイス” 1936年製ブラフ・シューペリアがカッコ良すぎる
90年前の“博物館級”のオートバイがオークションに登場 “2輪界のロールス・ロイス” 1936年製ブラフ・シューペリアがカッコ良すぎる
VAGUE
HRC渡辺社長、フェルスタッペンの4連覇を祝福「ホンダ/HRCとしてサポートし続けてこられたことを誇りに思う」
HRC渡辺社長、フェルスタッペンの4連覇を祝福「ホンダ/HRCとしてサポートし続けてこられたことを誇りに思う」
motorsport.com 日本版
斬新「日本の“フェラーリ”」に大反響! 「約700馬力のV8スゴイ」「日本なのに左ハンしかないんかい」「めちゃ高ッ」の声! 同じクルマが存在しない「J50」がスゴイ!
斬新「日本の“フェラーリ”」に大反響! 「約700馬力のV8スゴイ」「日本なのに左ハンしかないんかい」「めちゃ高ッ」の声! 同じクルマが存在しない「J50」がスゴイ!
くるまのニュース
本拠地の欧州で「メルセデス・ベンツのタクシー仕様」シェア急降下! なぜ? 「“ベンツのタクシー”に乗れたらラッキー」な時代が到来するのか
本拠地の欧州で「メルセデス・ベンツのタクシー仕様」シェア急降下! なぜ? 「“ベンツのタクシー”に乗れたらラッキー」な時代が到来するのか
VAGUE
「銀の皿」に「レジ横のガム&タバコ販売」に1000円以下のメニューと「ザ昭和」がたまらない! トラック野郎を癒し続ける「采女食堂」はぜひ立ち寄るべし【懐かしのドライブイン探訪その5】
「銀の皿」に「レジ横のガム&タバコ販売」に1000円以下のメニューと「ザ昭和」がたまらない! トラック野郎を癒し続ける「采女食堂」はぜひ立ち寄るべし【懐かしのドライブイン探訪その5】
WEB CARTOP
ラッセルが今季3度目のPP獲得。ガスリーと角田裕毅がQ3で健闘見せる【予選レポート/F1第22戦】
ラッセルが今季3度目のPP獲得。ガスリーと角田裕毅がQ3で健闘見せる【予選レポート/F1第22戦】
AUTOSPORT web
F1ラスベガスGPで追い上げ2位のハミルトン「予選がしっかりできれいれば、楽勝だったろうに」
F1ラスベガスGPで追い上げ2位のハミルトン「予選がしっかりできれいれば、楽勝だったろうに」
motorsport.com 日本版
中央道「長大トンネル」の手前にスマートIC開設へ 中山道の観光名所もすぐ近く!
中央道「長大トンネル」の手前にスマートIC開設へ 中山道の観光名所もすぐ近く!
乗りものニュース
ペレス、チームメイトのフェルスタッペンとは対照的に10位が精一杯「レッドブルは最高のチーム。来年は良いマシンが作れるはず」|ラスベガスGP
ペレス、チームメイトのフェルスタッペンとは対照的に10位が精一杯「レッドブルは最高のチーム。来年は良いマシンが作れるはず」|ラスベガスGP
motorsport.com 日本版
「ん、ここ工事してなくない?」 高速道路の車線規制“ムダに長い”場合がある理由とは?
「ん、ここ工事してなくない?」 高速道路の車線規制“ムダに長い”場合がある理由とは?
乗りものニュース
日本専用の新型「“MR”スポーツカー」初公開! 旧車デザイン×「ネットゥーノ」エンジン採用! 600馬力超えの「チェロSE」登場
日本専用の新型「“MR”スポーツカー」初公開! 旧車デザイン×「ネットゥーノ」エンジン採用! 600馬力超えの「チェロSE」登場
くるまのニュース
ピエール・ガスリー、予選3番手から無念マシントラブル脱落に「顔面平手打ちされたみたい」残り2戦にポテンシャルは確信|F1ラスベガスGP
ピエール・ガスリー、予選3番手から無念マシントラブル脱落に「顔面平手打ちされたみたい」残り2戦にポテンシャルは確信|F1ラスベガスGP
motorsport.com 日本版
モーターマガジンMovie 週間視聴回数BEST5 プラス1(2024年11月17日~11月23日)
モーターマガジンMovie 週間視聴回数BEST5 プラス1(2024年11月17日~11月23日)
Webモーターマガジン

みんなのコメント

72件
  • ib*********
    インドで月に0.5万台しか売れてないホンダと、15万台売っているスズキじゃ、生産コストが全然違うだろうな。
  • sor********
    何々はもう古いという煽り広告も
    時代遅れだけどな。
    そんなの宣伝しているときだけ。

    日が経てば手のひらクルクルなのが
    信用出来ない日本のメディアなんだよ。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村