2018年も多くの輸入ブランドからプレミアムSUVが登場したが、そららも含めて2019年このマーケットはどうなっていくのだろうか。そのキーポイントはやはり電動化、そしてその本格化なのだろうか。(Motor Magazine 2019年2月号より)
老舗オフローダーの刷新とスーパーSUVの登場
新規参入を果たすブランド、ラインナップの隙間を埋めるべくフルライン展開を進めるブランドなどにより、相変わらずの活況が続くSUV市場。2018年も多くのモデルが導入されたが、ちょっと面白い傾向が見られた。
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それはSUVなどという言葉が生まれる前から悪路の走破を第一に考えて作られていた、いわゆる老舗オフローダー達が相次いで新型に移行したことだ。
まずは2018年6月に登場したメルセデス・ベンツGクラス。このモデルは1979年にNATO軍に正式採用された軍用車両がルーツ。民生用は39年間でパートタイム4WDがフルタイムになり、エンジンも度重なるパワーアップで性能をアップデートしてきたが、ラダーフレームに前後リジッドアクスルというオフロードモデルの基本構成は頑ななまでに守られてきた。
しかし、新型Gクラスはラダーフレームの構成を一新したほか、フロントサスペンションはついに独立懸架のダブルウイッシュボーンに刷新。リアはリジッドアクスルのままだが、これも軸決めを確実にする工夫が施されている。ボディ外板のアルミ化により最大140kgの軽量化も達成したGクラスは、従来モデルとは比べ物にならないほどスムーズで洗練されたライドフィールを得ている。
さらに、北米オフローダーのジープのラングラーも2018年10月に新型のJL型が登場した。このラングラーもボディ外板の多くをアルミ化することで軽量化している。パートタイム4WDも一部のモデルはフルタイム化が図られており、乗り心地は随分とマイルドになり、ロードノイズやメカニカルノイズが低減し静粛性も飛躍的に高まっている。
その一方で、SUVに新規参入となったニューモデルも多かった。外せない大物がランボルギーニ ウルスと、ロールスロイス カリナンだ。前者はフォルクスワーゲンで共有するMLBエヴォというプラットフォームに、4L V8ツインターボエンジンを搭載するが、チューニングと味付けはランボルギーニの独自だ。大柄なボディにもかかわらず、その動きはスポーツカーメーカーらしく軽快で、何より4ドアのパッケージングと高めのアイポイントで、もっとも扱いやすいランボルギーニが魅力だ。
アルファロメオのステルヴィオもこの市場に初参戦となった。ジュリアと同時開発された縦置きエンジンのプラットフォームをベースとしたミッドサイズSUVだ。2018年11月には2.9L V6ターボを搭載するクアドリフォリオもラインナップに加わった。
これまでにない個性を持ったブランニューモデルも目立った。
たとえばジャガーEペイス。全長は4410mmと小さいが、全幅は1900mmと比較的大きく、CとDの両セグメントをフォローして行くようだ。搭載エンジンは2Lのインジニウムシリーズで、180psのディーゼル、249psと300psのガソリンエンジンが設定され、駆動は全車4WDとなっている。
ボルボも初めてコンパクトクラスに新型SUV「XC40」を投入した。XC40は全幅と全高を大きめに取ったボクシーな独自デザインを採用し、納車が追いつかないほどの人気だ。エンジンはガソリンの2L直4でFFも設定する。ベースモデルは上級モデルと同じ充実の安全装備を有しながら400万円を切るバリュープライスを実現した。
BMWもクーペライクな小型SUVモデル「x2」、DSからはプレミアム感のある「DS7クロスバッ」クが登場した。ポルシェカイエンやBMW X4、パサートオールトラックなどの新型移行も話題となった。
こうして見ると、もう出尽くしたのではと思えるほど2018年にニューモデルが多かったが、そんなこともない。2019年もちょっと見渡しただけでも、メルセデス・ベンツGLE、EQC、BMW X5、X7、アウディQ8、eトロン、フォルクスワーゲン Tロックなど、まだまだ新しい個性や魅力を持つモデルの登場が期待できそうだ。(文:石川芳雄)
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