車の歴史 [2025.03.21 UP]
軽ハイトワゴンのスタンダード、スズキ ワゴンRヒストリー【名車の生い立ち#11】
ここ最近、軽自動車の話題といえばスーパーハイトワゴンが目立ちます。でも、販売台数のデータを見ると、昔ながらの軽ハイトワゴンであるワゴンRやムーヴも10位以内にランキングされていることが多いことをご存知でしょうか。特にワゴンRはモデルチェンジが近いと噂されており、いま注目すべき1台だと言われています。そこで今回は、軽ワゴンのパイオニア、スズキ ワゴンRのヒストリーを振り返ってみましょう。
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『名車の生い立ち』時代の移り変わりとともに変わりゆく自動車だが、一時代を築いた車は後世まで語り継がれ、やがて「名車」と呼ばれる。ここではそんな、いつの時代も色褪せることなく輝きを放つ名車にスポットライトをあて、歴史を振り返りつつ魅力に迫っていく。www.goo-net.com
軽ハイトワゴンのパイオニア、初代ワゴンR
初代:1993年 スズキ ワゴンR
1980年代の軽自動車といえば、スズキ アルトワークスダイハツ ミラなどターボエンジンで武装したピリ辛スポーツモデルがブームとなっていました。しかし、当時の軽自動車といえばボディパネルは薄く、衝突安全性や高速安定性は本当に心許ないものが多く、頑丈な車体構造が望まれていました。それを受けて1990年には軽自動車の規格が改定され、全長は3.30m、排気量は550ccから660ccへと拡大。軽自動車は我慢して乗るものから、より快適で便利なものに進化していったのです。
そんな背景のなか、1993年9月にスズキ ワゴンRが発売されました。名称の「R」は、革新を意味する「REVOLUTUON」とくつろぎを意味する「RELAXATION」から採られたもの。当時、軽といえばアルトのようなハッチバックボディが主流の時代ですが、ワゴンRは1640mm(2WD)というハイトな車高のボディを採用し、広々とした室内空間を確保したことで大ヒット。アルトよりも圧倒的に広くて快適なワゴンRは、軽ハイトワゴンという新ジャンルを築き、一大ムーブメントを引き起こしました。
最も特徴的なのは、一部グレードには運転席側にリアドアを設定せず、1+2ドアにしたことでしょう。コストと利便性を両立し、新車価格79万8000円からという低価格を実現したのも話題となりました。この恩恵を受けたのは、主に地方のドライバーたち。地方では一家に複数台所有するケースも珍しくなく、車両価格と維持費の安い軽自動車は日常の足として不可欠な存在。毎日の買い物から遠出まで広く使えるワゴンRは、地方ユーザーの生活を支える存在となったのです。
初代:1997年 スズキ ワゴンR ワイド
なお、1997年2月には、小型乗用車仕様のワゴンRワイドが登場。軽自動車のワゴンRをベースとしつつ、全幅を1575mmに拡大して室内空間にゆとりを持たせたのが特徴です。パワートレインは1.0Lまたは1.0Lターボを搭載し、動力性能もアップ。以降、ワゴンRは同様のリッターカー仕様もリリースされることになりました。
軽自動車の新規格に合わせて生まれ変わった2代目
2代目:1998年 スズキ ワゴンR
1998年10月、ワゴンRはフルモデルチェンジ。この年は再び軽自動車の規格が変更され、全長は3.30mから3.40mに、全幅は1.40mから1.48mへと拡大。この規格改定のタイミングでメーカーは一斉に軽自動車をフルモデルチェンジし、ワゴンRも同タイミングでリフレッシュしたのです。この時代、ライバルであるダイハツ ムーブも販売台数を伸ばしており、ワゴンRと人気を二分。それゆえ、2代目は大きな冒険はせずキープコンセプトのフルモデルチェンジとなりました。
2代目:1998年 スズキ ワゴンR RR
90年代は各メーカーから個性豊かなモデルがたくさん登場し、まさに軽自動車のカンブリア紀といえる時代。そんな時代だからこそ、安価ながらも使いやすさにこだわったワゴンRは多くのファンから高く評価されました。特に注目すべきは、「RR」と呼ばれるスポーティ仕様。初代ワゴンRにも限定車として設定されていましたが、2代目からはカタログモデルに昇格し、エアロパーツをふんだんに盛り込んで若年層にもアピール。以降ワゴンRの看板モデルになっていきました。また最小回転半径が4.6mから4.2mに縮小されたことも見逃せない改良点。さらに1999年には天然ガス(CNG)対応のモデルも登場し、低CO2車として注目されました。
新開発プラットフォームで生まれ変わった3代目
3代目:2003年 スズキ ワゴンR
2000年代に入ると、クルマは環境性能や安全性、そして実用性が一層求められるようになりました。それは軽自動車の世界でも同じこと。各メーカーが21世紀に相応しいクルマ造りを目指しているなか、2003年9月に3代目ワゴンRが登場。新しくなったワゴンRは、プラットフォームを一新してサスペンションも新開発に。それにより良好な乗り心地と静粛性、そして走行性能を高めたのが特徴です。特に屋根を長く、広くしたことで室内空間を広げつつ、軽量設計としたことで燃費性能も高まりました。また、運転席と助手席エアバッグが全車標準装備となったほか、歩行者へのダメージを軽減する設計も取り入れられ、安全性も見直されています。
3代目:2007年 スズキ ワゴンR スティングレー
パワートレインは、従来通り自然吸気とターボが設定されましたが、3代目では軽自動車の市販車として初となる直噴ターボ搭載モデルも登場。スポーティな「RR-DI」グレードとして設定されました。さらに2007年2月には、専用エクステリアを採用した派生モデル「ワゴンR スティングレー」もデビュー。ブラックを基調としたインテリアと組み合わせることで、実用車としてのワゴンRから、自分だけのこだわりのクルマとしても選ばれるようになりました。
ベースモデルもスタイリッシュに。さらに魅力を高めた4代目
4代目:2008年 スズキ ワゴンR
福田首相が辞任し、麻生内閣が発足した2008年、ワゴンは国内累計販売台数は300万台を超え、軽自動車をリードする存在でした。ちょうどこの頃、ダイハツ タントやスズキ パレットのようなスーパーハイトワゴンが台頭し始めてきた時代。それでも、ジャストサイズのワゴンRはセカンドカーや地方の足として重宝されていました。同年9月にはフルモデルチェンジを受けて4代目ワゴンRが登場。「快適 スタイリッシュ ワゴンR」をコンセプトに開発された新型は、ひと目でワゴンRとわかる親しみやすいデザインとしつつ、ホイールベースや室内長を拡大して室内空間はより広くなりました。
4代目:2008年 スズキ ワゴンR スティングレー
パワートレインは、従来通り自然吸気とターボを設定。前者のCVT車は10・15モード燃費23.0km/Lを達成しています。一方、ターボエンジンは新開発され、こちらも10・15モード燃費で21.5km/Lと優秀な値を実現。なお、この世代からスポーティグレードの「RR」シリーズは消滅し、ワゴンR スティングレーがその役割を担うことに。生まれ変わったスティングレーはターボ車に7速変速可能なCVTを組み合わせ、走りを積極的に楽しみたいユーザーにもアピールしました。
エネチャージでエコカーとしての性能を高めた5代目
5代目:2012年 スズキ ワゴンR
2000年代後半になると、以前にも増してクルマには環境性能が求められるようになりました。2009年にはエコカー減税制度が始まり、ハイブリッドカーや電気自動車、さらには低燃費なクルマは税制優遇されるように。2010年代に入ると電気自動車の日産 リーフ、新型ハイブリッドカーのトヨタ アクアなど多くのモデルが生み出され、世はエコカー戦国時代に入っていったのです。エコという観点でいえば、燃費に優れた軽自動車もその範疇に入り、スズキもこの戦乱に突入する必要に迫られました。そんななか、2012年9月に新世代のワゴンRがデビューしたのです。
5代目:2012年 スズキ ワゴンR
5代目となった新型ワゴンRが目指したのは、軽ハイトワゴンNo.1の燃費性能です。そのために取り入れたのは、エネチャージ、アイドリングストップ、エコクールという先進的な技術。特にエネチャージは、リチウムイオン電池と高出力のオルタネーターを併用した減速エネルギー回生機構で、ワゴンRは軽自動車で初めて採用されました。アイドリングストップ機構は以前から存在したものの、ワゴンRにはアクセルを離した瞬間に燃料をカット、さらにブレーキを踏んで13km/h以下になるとエンジンを停止する「新アイドリングストップシステム」を導入。ほかにも軽量化や高効率化を推し進めることで、JC08モード燃費は最大28.8km/L(自然吸気/2WD)を達成、当時話題だったエコカー減税にもきちんと適合したのです。また、2013年にはスズキ初の衝突被害軽減ブレーキを採用し、安全性も高められました。
マイルドハイブリッドで燃費を追求した6代目
6代目:2017年 スズキ ワゴンR ハイブリッドFX
2010年代に入ると軽スーパーハイトワゴンの人気が高まってきましたが、依然としてワゴンRの販売は好調に推移しており、2016年12月末までに国内累計販売台数は約440万台を達成。その人気ぶりは健在でした。そんななか、2017年2月には6代目ワゴンRがデビュー。
6代目:2017年 スズキ ワゴンR ハイブリッドFX
新型は、ワゴンRとワゴンRスティングレーの2モデル構成なのは先代と変わりませんが、「ハイブリッドFZ」グレードには専用のフロントデザインを与えることで、3つのスタイルから選べるようになったのがトピック。また、軽量化と高剛性を両立した新しいプラットフォーム「HEARTECT(ハーテクト)」や、発進時にモーターのみで走行できるマイルドハイブリッドシステムを採用したことで、軽輩とワゴンで発売時トップレベルの燃費33.4km/L(JC08モード)を達成しています。
2021年 スズキ ワゴンR スマイル
さらに2021年には、ワゴンRファミリーに「ワゴンR スマイル」も登場しています。これはスライドドアを導入して利便性を大きく高めたモデル。また、車名のとおりファニーなフロントフェイスも見どころで、ワゴンRに新しいユーザー層を取り込みました。
モデルチェンジサイクルが伸び、6代目はすでに8年を超える長寿。そろそろ新型の足音が聞こえてくる頃ですが、これからも身近で経済的なピープルムーバーとして、私たちの生活を支えてくれるに違いありません。
以前の記事はこちら
https://www.goo-net.com/magazine/contents/history/251302/https://www.goo-net.com/magazine/contents/history/249180/
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みんなのコメント
ずっと乗り続けているのはカネが無いというより
逆にカネと手間を掛けてでも、そのモデルに
乗り続けたいという気持ちの方が大きい。
だから結果として古いワゴンRの場合は
無頓着で壊している人がいる一方で、ちゃんと
必要な整備を行って長持ちさせていたりと
クルマの扱い方が表に出やすいクルマでもある。
アルファード
ヴェルファイア
ノア
ヴォクシー
セレナ
D5含まれるけど!