雨・雪にじむ3月の東京都心で開かれたトヨタの安全技術説明会。そこへ参加して見えた、2025年のトヨタが目指す「自動車事故ゼロ」に向けた取り組みを体験しました。
安心して使える安全技術にこだわるトヨタ
トヨタ自動車のクルマ開発センターでフェローに就任した御沓悟司(みくつ さとし)氏は、同社が行った安全技術説明会の場で「私たちトヨタは安全技術を必要な時に作動させる、言い換えれば、必要ではない時に作動する不要作動、これを無くすことにこだわっています」と説明しました。
●【くるま問答】ガソリンの給油口は、なぜクルマによって右だったり左だったりするのか
そう語る背景に、近年増加する予防安全技術がもたらすリアルワールドでの課題があるといいます。たとえばカメラやレーダーがモノの陰や道路のヒビ割れを歩行者と勘違いしてウォーニングを鳴らしたり、標識の誤認をしてしまったり・・・と、運転していて意図せずドキッとするこうした場面を経験したことがある方もいるのではないでしょうか。
そうした誤認識・誤作動でユーザーに迷惑をかけないこと=安心感と捉えるトヨタの安全思想は、リアルワールドにおいて200万kmに及ぶ走行検証を実施し、上記のようなトラブルを防ぐ取り組みを行っています。
その要となる予防安全技術や運転支援技術をこのほど、体験することができました。体験したのは3つ。
駐車時の運転を支援する「アドバンストパーク」、アクセルペダルの踏みすぎや踏み間違いを検知・抑制する「プラスサポート」、前方障害物を検知して緊急ブレーキを作動させる「パーキングブレーキサポート」です。
フレキシビリティに富んだ実用的な駐車支援
まず試したのはアドバンストパーク。現行型ヤリスで初採用されたこれは、いわゆる駐車支援技術のひとつです。目指す駐車位置を車両がカメラを使って認識、ハンドルやアクセル・ブレーキ操作をクルマが自動で行ってくれるという機能を司ります。
こうした機能自体は自動車メーカー各社が持ち合わせているものですが、トヨタのそれの凄いところは「正確性」と「柔軟性」です。
まずは実際に後退による駐車支援を体験しました。道路幅5m以上、駐車幅2m以上を条件に作動するのですが、その切り返しや「まっすぐ駐車できる」感覚は想像以上の仕上がりです。
そして驚いたのは、出庫支援を行ってくれること。センターディスプレイに右出庫/左出庫と選択できるアイコンが表示され、進みたい方向を選ぶとクルマが自動的に駐車位置から出発してくれます。
さらに、このアドバンストパークの柔軟さに痛感するのは「前向き駐車」にも対応していることです。上記のプロセスで駐車をしてくれるのはもちろん、前向き駐車の場合でも後退出庫サポートをしてくれます。
と、いやいや自分で駐車しなさいよ・・・と熟練ドライバーの方に言われてしまうかもしれませんが、旦那さんの大切な愛車を平日は奥さまが運転、けれど奥さまにとっては大きすぎて・・・みたいな場面においても有効的ですし、「ここ停められるかな」という不安を解消してくれるサポート技術と捉えれば、心強いことに越したことはありません。
トヨタ自動車 デジタルソフト開発センターでチーフプロジェクトリーダーを務める鯉渕 健氏によれば、同社の安全技術には「ガーディアン(=守護神)」という考え方があるといいます。
すなわち、クルマにとっての安全技術はドライバーの守り神としても機能できるということです。まさにアドバンストパークでは、その考え方を感じることができました。
緊急時だからこそ、慌てず、冷静に
続いてプラスサポートを試しました。こちらは走行中にアクセルペダルの踏み間違えてしまった際に、急加速を検知・抑制する機能です。
こちらで興味深いのは、この機能を作動させる「専用キー」があること。黄色にペイントされた専用のスマートキーで車両を解錠すると、本機能が使用できるというロジックになっています。
実際にその機能を試すと、クリープ走行時に急にアクセルペダルを奥まで踏み込むと「アクセルが踏まれています、アクセルが踏まれています、アクセルが踏まれています・・・」と、車内にアナウンスが響き渡りました。そして当然、クルマは加速しません。
トヨタの市場調査によると、ペダル踏み間違えによる事故のうち、もっとも多い要因が「慌て・パニック」だと言います。つまり踏み間違えたあと、パニック状態になり、さらに踏み込んでしまうというのです。
けれど本機能の場合、日本語でハッキリと踏み間違えたことをアナウンスしてくれるので、ドライバーが冷静になれる時間を与えてくれます。こうした実践的な予防安全は、とても「安心感」につながるものです。
この踏み間違い抑制機能ですが、さらに嬉しいのは「後付け」できるオプションがあるということです。つまり最新モデルに限らずとも、特定の車種(プレミオやウィッシュ、SAIやラクティスなど生産終了モデルも!)において、販売店で後付けできるというのです。前出の専用キーは用意されないものの、こうしたアフターキットを用意してくれる点は感心させられます。
最後にパーキングサポートブレーキ。こちらは、急なアクセルペダルの操作で障害物に接近した際に緊急ブレーキを作動させる機能です。
が、この機能のスゴいところはアクセルペダルの操作だけに限らず、クリープ走行時にも作動することです。たとえば、Pレンジに入れたと思い込んでDレンジにシフトが入ったままペダルから足を離してしまい、ソロソロと障害物へ・・・すると、強い衝撃とともに緊急ブレーキが作動するといった具合です。
そしてこの機能もまた、ブザー以外のウォーニングを出してくれる点が何より緊急時の安心感を生むと思います。「ピー!」というブザーだけでなく「ブレーキを踏んでください」とメーターやセンターディスプレイに表示してくれる、その心遣いからも前述の「守護神」の思想を感じとることができました。
自動車事故ゼロの社会を達成するのはトヨタかもしれない
さて、今回は2025年のトヨタにおける安全技術への取り組みについて説明してきました。
同社が世界に対してトップレベルの安全性を追求する取り組みを「GOA(ゴア)」で開始した1995年から30年が経ったいま、トヨタは多くの知見と技術を磨きながら実務的な安全実現を目指しているように思います。
適切なところで作動させ、不要作動は避け、作動時には正確性と安心感をもたらすよう勤しむ・・・という、いかにもトヨタらしい堅実な安全へのアプローチは、世界でもっともクルマを販売するトヨタだからこそ必要なプロセスです。
「私たちは、販売台数の多いトヨタだからこそ、地道に予防安全を普及させていくことが必要です」
御沓氏・鯉渕氏の熱くも冷静なメッセージは、今後さらに技術を磨いて自動車事故ゼロを達成する第一人者になろうとしている、そんな強い意志のようなものが感じられました。(写真:伊藤嘉啓)
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