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トヨタbZ4X 詳細データテスト 及第点だが花マルなポイントはなし 本命はステア・バイ・ワイヤか 

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トヨタbZ4X 詳細データテスト 及第点だが花マルなポイントはなし 本命はステア・バイ・ワイヤか 

はじめに

EV投入合戦の初期段階において、トヨタはほぼ様子見に徹していた。結局のところ、高効率のハイブリッドを幅広く揃えているトヨタは、メーカーに課されるCO2排出量規制をクリアするのに、EVを必要としなかったのである。

【画像】写真で見るトヨタbZ4Xとライバル 全16枚

それどころか、コンペティションモデルのようなGRヤリスや、自然吸気V8を積むレクサスLC500といった高性能エンジン車を売り続ける余地さえあった。それはたいしたものだ。

しかし、内燃エンジン廃止への流れや、次期排気規制のユーロ7は、厳しい状況をもたらすことになるだろう。そこでトヨタは、ついに市販EVのbZ4Xを発売するに至った。それも、この上なくライバルがひしめいているミディアムSUVセグメントでだ。

競合モデルを上げていけば、このセグメントの過密ぶりがわかる。同郷の日産アリアをはじめ、アウディQ4 E−トロンやBMW iX1、メルセデス・ベンツEQB、フォルクスワーゲンID.4といったドイツ勢、テスラ・モデルYやフォード・マスタング・マッハEといったアメリカ勢、EV攻勢をかけるボルボのXC40リチャージ、ヒョンデ・アイオニック5やジェネシスGV60、キアEV6といった韓国勢など。欧州では、スコダ・エンヤックiVも強力なライバルだ。

ここで存在感を際立たせるには、印象に残るネーミングがほしいところだが、bZ4Xという車名はどうだろうか。ロジカルに読み解いていくと、bZはビヨンド・ゼロの略称で、トヨタのバッテリーEVの総称的なものとなるようだ。

4はだいたいのサイズを示す数字で、RAV4と同じくらいの大きさであることを示唆し、XはSUV的なものを指す。なお、中国専売のEVセダンであるbZ3も、このルールに従えばアウトラインが想像できる。同様の命名規則に従うモデルは、今後も続くようだ。

長く待ち望まれたトヨタの本格量産EVだが、まったくもってトヨタらしからぬ不具合が発生し、さらに長く待たされることとなった。発売直後、ホイールハブに問題が見つかり、最悪の場合はホイールが脱落することが判明したのだ。

解決策は単純なものではなく、3ヶ月を要することになった。その間、納車済みのオーナーはクルマを走らせることができず、トヨタは生産をストップせざるを得なかった。

そうして時間をかけて、不備を克服したクルマがここにある。はたしてトヨタは、その対策も含めた長い準備期間を有効に使ってきたのか、それとも、単純に他社に遅れをとっただけなのか。じっくり見極めていきたい。

意匠と技術 ★★★★★★★☆☆☆

厳密に言えば、bZ4Xはトヨタ初のEVではない。1997年に初代RAV4をEV化したことがあり、数年後には2代目が登場している。量産モデルとしても、すでにレクサスブランドでUX300eが販売中だ。とはいえ、本格的にEVの量販市場へ切り込むという点では、やはりbZ4Xがはじめてのことだと言っていいだろう。

トヨタの大規模なEV計画は、新開発のe−TNGAプラットフォームが基盤になっている。その名がほのめかすように、内燃エンジン用のTNGAと多少は関連性がある。しかし、それが設計面で妥協を強いるほどには近くない。

このe-TNGA、前後モーターの位置と、フロント寄りになる運転席の位置、そしてバッテリーの全幅は規定されているが、それ以外のほとんどの要素は変更できる。bZ4Xはスバルが開発に協力し、スバル版のソルテラともども得意の4WD関連技術が生かされている。

バッテリーは、長いホイールベース内のフロア構造部にうまく組み込まれ、容量は71.4kWh。競合の多くが70kWh台後半なのに比べると、やや小さい。今回はbZ4Xもソルテラもバッテリーは1種類のみの設定だが、将来的には容量の異なるものを積んだモデルも登場する見込みだ。

結果として、航続距離もやや物足りない。前輪駆動のエントリーグレードであるピュアは510kmを謳うが、20インチホイールや追加装備が加わるヴィジョンは446kmに落ち込む。テストした2モーターのヴィジョンは417kmで、競合するキアEV6のAWD GTラインSが480kmほどなのには及ばない。

トヨタが用いるバッテリー技術は革新的ではないかもしれないが、それとは別の領域でイノベーションが導入されている。今年後半には、レクサスRZとともに、ステア・バイ・ワイヤを全面導入する初の量産車になる予定だ。

インフィニティ、すなわち日産はこの技術を8年前に実用化しているが、バックアップとしてのステアリングコラムは残されている。トヨタのワンモーショングリップはそこもカバーして、機械的なリンクの必要がなくなっているようだ。

また、インフィニティは一般的な丸いステアリングホイールを使用するが、トヨタは操縦桿のような形状を採用。テスラも同様のデバイスを用いるが、トヨタのものはロックトウロックがたったの150°なので、取り回しの際に丸いリムがなくても切りにくい思いをしなくて済む。

内装 ★★★★★★☆☆☆☆

カローラにしろ、RAV4にしろ、C-HRにしろ、トヨタ車のインテリアには一貫した傾向がある。質感は申し分ないというわけではなく、ドイツ車に比べるとデザインの統一感がやや欠ける。しかし、機能性重視の形状がもたらすエルゴノミクスや、文句なしの製造クオリティには頼もしさを感じる。

驚いたのは、bZ4Xは多くの点で、そのトヨタらしさの逆を行っていたことだ。

トヨタのデザイナーは、比較的地味な形状ながらも個性的で、好ましい未来的なデザインに仕立てた。ダッシュボードのファブリックや質感の良い合成皮革のおかげで、第一印象は高級感を覚える。

しかし、しばらく時を過ごすと、マテリアルがまちまちであることが見えてくる。硬いプラスティックが多いことや、ほかとの統一感がないテクスチャーも見つけてしまう。それで不快になるようなものではないが、日産アリアやスコダ・エンヤックiVと張り合えるようなものでもない。

また、トヨタ車といえば完璧な製造クオリティやエルゴノミクスが持ち味だが、それがbZ4Xには見られない。計器盤やドアハンドルなど一部のコンポーネンツは、露骨に薄っぺらい感じがするし、ボタン類のほとんどはグロスブラックのタッチパネルに置き換えられている。また、プジョー風の小径ステアリングホイールは問題を解決するより、むしろ増してしまっている。

ドライビングポジションは、明らかにドライブ・バイ・ワイヤのステアリングを前提としたセットアップだ。どんなに高く座っても、ステアリングホイールの頂点がメーターにかかることはないように、ステアリングコラムはかなり低くする必要があり、心地よく直観的に操作できるようにはできていない。

また計器盤の高い位置は、トヨタが劇的な効果を狙ったのだと思われるが、それ自体はきわめてベーシックなメーターで、カスタマイズの選択肢は少なく、グラフィックも最新とは言えない。鮮明さは十分だが、バッテリー残量のパーセンテージは表示されない。残りの走行距離が表示されるのみだ。

後席に移っても、状況はそれほど好転しない。スケートボードタイプのプラットフォームを用いるEVがえてしてそうであるように、大人でもニールームに不足はなく、ヘッドルームもそこそこある。

ただ、もしも前席がトヨタ水準以上の高級感を感じさせたとしても、後席は5万ポンド(約800万円)のクルマだとは感じられない。2口のUSB−Cポートや送風口はあるものの、すべてが暗くて味気なく、チープに見える。

後席スペースではほかに負けていないが、荷室に関しては残念なことになっている。使いやすいフックやスクエアなシェイプも、狭い総容量を補うことはできない。

452Lというのは、スコダ・エンヤックiVばかりかキアEV6にすら届かない。床下には実用的な収納スペースがあり、ケーブル置き場も用意されているが、ボンネットの下はメカが埋め尽くしていて、フロントトランクはない。

走り ★★★★★★★☆☆☆

スペック表によれば、4WDのbZ4Xは、108psのバッテリー2基で、2tのクルマを走らせる。このサイズの電動SUVとしては、2023kgは比較的軽い。しかしそれでも、馬力荷重比は108ps/tということになる。

キアEV6は、シングルモーターが116ps/t、デュアルモーターが156ps/t。トヨタのスペックは、とくに元気なパフォーマンスを予感させるものではない、ということだ。

路上では、予想したより速く感じられる。テストコースでは、昨年計測したシングルモーターのEV6を0-97km/hで0.5秒凌いだ。トヨタが使用するモーターの出力を低く見積もっているのかもしれないが、リダクションギアの減速比が13.8と、キアの10.7より低いことも理由のひとつだろう。

それならば、0-161km/hや48-113km/hでキアに後れをとったことも説明がつく。

前輪駆動モデルの0-100km/hは公称7.5秒で、4WDモデルとの差はほんの0.6秒。つまり、4WDモデルはハイパフォーマンスよりも、四輪駆動の必要性を求めるユーザーに向けたものだといえる。

スペックだけを見ると、残念な思いもあるのだが、ファミリーカー向けSUVとしては、bZ4Xは必要十分以上の速さを備えている。

ブレーキとエネルギー回生に関しては、トヨタはシンプルに仕立てている。標準的というべきか、スロットルを抜くと穏やかに減速し、回生を強めるセンターコンソールのボタンを押せば減速が強まる。

しかし、チョイスはそれだけだ。コースティングや本当の意味でのワンペダル運転は設定されていない。完全停止にはペダル操作が必要だ。アダプティブな作動をするモードもない。ドライバーによって好みの回生スタイルがあり、それに対応しているメーカーもあるので、トヨタがそれを用意していないのは不思議だ。なにしろ、兄弟車のスバル・ソルテラにはパドルがあるのだから。

ブレーキシステムはバイ・ワイヤで、バックアップは機械式。フィールはかなり硬く、やや不自然だ。しかしながら、じつにうまく設定されていて、普通に運転していて制動力を調節するのもスムースに停止するのも非常に簡単だ。

ただし、フルブレーキテストでは、bZ4Xより安定しているクルマのほうが多いくらいだ。前輪がロックしやすく、ABSのポンプ音はかなりうるさい。サスペンションのピッチもかなり多く出る。

113km/hからの制動距離が48.1mというのはなかなか優秀で、コントロールを失って危険な目を見ることは一切ない。だが、もっと安心感を高めることはできるはずだ。

使い勝手 ★★★★★☆☆☆☆☆

インフォテインメント

グレードによって、8.0インチか12.3インチのタッチ式センター画面が装備されるが、どちらもトヨタ車共通のソフトウェアを使用する。8.0インチでも機能に不足はないが、12.3インチと同じベゼルにはめ込まれているので、いかにも廉価グレードといった見てくれになってしまう。

この新型インフォテインメントにわれわれがはじめて触ったクルマはアイゴXで、それは賞賛に値するものだったが、それはベーシックなシステムがベーシックカーにマッチしていたからだ。これが5万ポンド(約800万円)のクルマとなると、話は違ってくる。

bZ4Xには、アイゴにあるような、車載インターフェイスとスマートフォンのミラーリングを切り替えるハードスイッチは存在しない。それが扱いにくさを生んでいる。

さらに問題があったのは、ワイヤレスのApple CarPlayだ。車載システムのメニューは十分にロジカルで、スクリーンのレスポンスも上々。音声操作は驚くほど賢い。しかし、ナビゲーションはオーソドックスでないルートを選ぶことがあり、渋滞への反応はあまりよくない。

オーディオは、ベースやバスドラムの音が圧倒的に際立っている。低音を弱めても、音楽のそのほかの部分が痩せてしまうことになる。

燈火類

LEDマトリックスライトは標準装備。パワーは問題ないが、光源の数から判断するに、自動調整機能は対向車に十分な防眩性能を発揮できるか気がかりだ。

ステアリングとペダル

オルガンタイプのスロットルペダルと、吊り下げタイプのブレーキペダルは、一般的なポジション。ステアリングはコラムのテレスコピック幅がもう少し広く、リム径がもう少し大きければ、快適でメーターの視認性を妨げない。

操舵/安定性 ★★★★★★★★☆☆

bZ4Xのシャシーチューニングは、カローラのように、おとなしいが有能だ。どちらもスポーティでダイナミックというほどではなく、運転に夢中になるようなものではないが、念入りにチューニングされていることは間違いなく感じられる。

はっきりわかるのは、重心の低さが、必要以上に乗り心地を硬くせずにタイトなロールコントロールを可能にしていることだ。リアに荷重がかかっていないと、穏やかにコーナーへ入り、オーバーステアに転じるような劇的なところは見せない。

トラクションコントロールとスタビリティコントロールは、素早くスムースに作動するが、でしゃばるものではない。とはいえ、ハイグリップタイヤではないブリヂストン・アレンザを履いていることを考えると、ほかのクルマよりもう少し強めにシステムを効かせてもよかったのではないだろうか。

ステアリングの手応えはほどほどの重さだ。リアルなフィードバックはないが、この手のクルマにとってそれは致命的なものではない。ラックのギア比は、最近のクルマとしては比較的スローだ。ほかのトヨタ車なら、ほどよく穏やかで直感的になるところだ。

ところが、bZ4Xが用いる小径ステアリングホイールは、ほかの部分のリラックスした感じと不釣り合いに感じられてしまうだけ。ケータハムであれば、超過敏なレスポンスをもたらしてくれるから歓迎できる。しかし、ロールがそこそこあり、ステアリングがスローな大きいSUVには、不似合いなアイテムに思える。

本命はステア・バイ・ワイヤのワンモーショングリップで、今回の機械式ステアリングはやや気乗りしていない仕様に思えてしまう。それは、以前に少しだけワンモーショングリップを試した経験を踏まえても言えることだ。

バイ・ワイヤの常時可変式システムは、きわめて二面的なフィールを持つ。低速ではアグレッシブなターンインでタイトな取り回しを可能にする一方で、速度域の高いゆるめのコーナーではもっとリラックスした動きを見せる。

どちらも最初は奇妙に感じられるが、すぐに慣れるはずだ。そのときは、まだシステムのファインチューンが必要だと思ったが、多くの可能性を感じさせるテクノロジーであることは間違いない。

快適性/静粛性 ★★★★★★★★☆☆

ハンドリングに明らかに見られる穏やかな有能さは、乗り心地にもあらわれている。トヨタは、万能性を求めたSUVのサスペンションをいたずらに硬くすることはしなかった。また、20インチホイールにさえ、ハイトのある50扁平タイヤを履いている。

結果として、最悪の路面不整でも、車内へは伝えてこない。完璧とはいえないし、バンプによってはわずかながら跳ねるように感じられることもある。しかし全体的には、このクラスでも乗り心地がいいほうだ。

ステアリングコラムを、メーターが見えるように低くセットして運転している限りは、ドライビングポジションも快適だ。着座位置は比較的高い。シートは幅広く、かなりソフトで、調整位置も数多い。

静粛性は、とくに強みとはいえない。ロードノイズと風切り音のミックスは、スコダ・エンヤックiVと比べ、80km/hで1dBA、113km/hで2dBA大きい。ありがたいことに、不快な反響はしない。そこは荷室が反響室のようになってしまうテスラ・モデルYとは異なる点だ。

購入と維持 ★★★★★★★☆☆☆

前輪駆動のエントリーグレードであるピュアの価格は4万5710ポンド(約731万円)で、装備が拡充された中間グレードのモーションは4万9510ポンド(約792万円)。これはそび内容の近いキアEV6と、オプションのヒートポンプを装備したスコダ・エンヤックiVとの中間に位置する。なお、トヨタはヒートポンプを標準装備している。

このヒートポンプ、抵抗式ヒーターよりも効率よく、冬の冷えたクルマを暖めてくれる。ところが、ヒーターをオンにすると予想される走行距離が平気で60km以上も落ち込むことがあるのには戸惑いを覚える。トヨタによれば、これは最悪のケースだとはいうのだが。

同時に、航続距離計は現状、充電量が8%残っていても、走行可能距離をゼロだと表示する。今後のアップデートで、距離の試算がより正確になり、バッテリー残量のパーセンテージ表示も加わるという。

バッテリー容量は公称71.4kWhだが、これがネットがグロスかは明言されていない。テスト中の平均電費は5.0km/kWhで、冬季の2モーターEVとしてはかなりいい数字だ。

航続距離は335kmで、そこから推測される実用容量は67kWh。比較的小さいキャパシティで走った距離としては悪くないが、競合車たちのほとんどはこれより遠くまで走れるのも事実だ。

歯がゆいところも見受けられるbZ4Xだが、トヨタ車といえば信頼性には定評があるところだ。昨年から盛んに宣伝されているのが、最高10年の16万km保証だ。しかし実際には、当初は3年/9.6万kmで、トヨタディーラーで点検を受けるごとに1年/1.6万kmずつ延長される形式だ。

バッテリーは、最低8年/16万km、最高10年/100万kmというとんでもない距離を走行した後でも70%の容量を確保できることが保証されている。たいしたものだが、正規ディーラーより個人店を使いたいユーザーにはうれしくない話だ。

点検は1年もしくは1.6万kmごとで、交換すべきエンジンオイルやフィルターのないEVとしては間隔が短い。

スペック

レイアウト

bZ4Xはスバル・ソルテラとともに、トヨタが新開発したEV専用プラットフォームのe-TNGAを使用する最初のモデル。インバーターやコントロールユニットはほぼフロントにまとめられ、シングルモーターモデルは前輪駆動だ。

テストしたデュアルモーターモデルは、リアにもモーターを積む四輪駆動。前後重量配分の実測値は、54:46だった。

パワーユニット

駆動方式:フロント/リア横置き四輪駆動
形式:永久磁石同期電動機×2
駆動用バッテリー:リチウムイオン・355V・71.4kWh(グロス値)/67.0kWh(ネット値)
最高出力:217ps/-rpm
最大トルク:34.4kg-m/-rpm
最大エネルギー回生性能:-kW
許容回転数:-rpm
馬力荷重比:108ps/t
トルク荷重比:17.3kg-m/t

ボディ/シャシー

全長:4690mm
ホイールベース:2850mm
オーバーハング(前):915mm
オーバーハング(後):925mm

全幅(ミラー除く):1860mm
全幅(両ドア開き):3600mm

全高:1600mm
全高:(テールゲート開き):2200mm

足元長さ(前):最大1080mm
足元長さ(後):最大780mm
座面~天井(前):最大960mm
座面~天井(後):最大860mm

積載容量:452L

構造:スティールモノコック
車両重量:2000kg(公称値)/2023kg(実測値)
抗力係数:0.29
ホイール前・後:7.5Jx20
タイヤ前・後:235/50 R20 104V
ブリヂストン・アレンザ・エンライテン001
スペアタイヤ:なし(パンク修理キット)

変速機

形式:1速リダクションギア
ギア比
リダクション比:13.8:1
1000rpm時車速:10.1km/h
113km/h/129km/h時モーター回転数:11100rpm/12700rpm

電力消費率

AUTOCAR実測値:消費率
総平均:5.0km/kWh
ツーリング:4.2km/kWh
動力性能計測時:2.6km/kWh

メーカー公表値:消費率
市街地:-km/kWh
混合:6.4km/kWh

公称航続距離:417km
テスト時航続距離:335km
CO2排出量:0g/km

サスペンション

前:マクファーソンストラット/コイルスプリング、スタビライザー
後:ダブルウィッシュボーン+トレーリングアーム/コイルスプリング、スタビライザー

ステアリング

形式:電動機械式、ラック&ピニオン
ロック・トゥ・ロック:2.75回転
最小回転直径:12.2m

ブレーキ

前:328mm通気冷却式ディスク
後:317mm通気冷却式ディスク
制御装置:ABS
ハンドブレーキ:電動式(センターコンソールにスイッチ配置)

静粛性

アイドリング:−dBA
全開走行時(145km/h):76dBA
48km/h走行時:60dBA
80km/h走行時:65dBA
113km/h走行時:69dBA

安全装備

ABS/ESC/AEB(歩行者・自転車検知機能)/LKA/車線追従/死角モニター(モーションとヴィジョンの両グレードに設置)/センターエアバッグ
Euro N CAP:5つ星
乗員保護性能:成人88%/子供87%
交通弱者保護性能:79%
安全補助装置性能:91%

発進加速

テスト条件:乾燥路面/気温15℃
0-30マイル/時(48km/h):2.4秒
0-40(64):3.4秒
0-50(80):4.8秒
0-60(97):6.4秒
0-70(113):8.3秒
0-80(129):10.5秒
0-90(145):13.8秒
0-402m発進加速:15.0秒(到達速度:150.6km/h)
0-1000m発進加速:28.0秒(到達速度:168.7km/h)

ライバルの発進加速ライバルの発進加速
メルセデス・ベンツEQB 300 AMGライン・プレミアム 4マチック(2022年)
テスト条件:乾燥路面/気温15℃
0-30マイル/時(48km/h):3.1秒
0-40(64):4.2秒
0-50(80):5.8秒
0-60(97):7.7秒
0-70(113):9.9秒
0-80(129):12.7秒
0-90(145):16.3秒
0-402m発進加速:16.1秒(到達速度:144.4km/h)
0-1000m発進加速:29.8秒(到達速度:158.8km/h)

キックダウン加速

20-40mph(32-64km/h):1.9秒

30-50(48-80):2.4秒

40-60(64-97):3.0秒

50-70(80-113):3.6秒

60-80(97-129):4.1秒

70-90(113-145):5.5秒

80-100(129-161):7.1秒

制動距離

テスト条件:乾燥路面/気温15℃
30-0マイル/時(48km/h):8.9m
50-0マイル/時(80km/h):24.4m
70-0マイル/時(113km/h):48.1m
60-0マイル/時(97km/h)制動時間:2.61秒

ライバルの制動距離ライバルの発進加速
メルセデス・ベンツEQB 300 AMGライン・プレミアム 4マチック(2022年)
テスト条件:乾燥路面/気温15℃
30-0マイル/時(48km/h):8.8m
50-0マイル/時(80km/h):23.5m
70-0マイル/時(113km/h):47.3m

結論 ★★★★★★★☆☆☆

担当テスターのアドバイス

トヨタは、カローラやヤリスといった、実用車として最高レベルのクルマを生み出すいっぽうで、GRヤリスやGR86のような、エンスージアストを魅了するモデルも世に送り出してきた。

そうしたメーカーが、過熱している新たねセグメントへの参入に向け、じっくり時間をかけてきたとあれば、なにかスペシャルなものを期待したくなるのが人情というものだ。

だが、bZ4Xはそうではなかった。ほとんどの点で、出来はかなりいい。走らせてみてもじつにナイスで、運転支援機能のチューニングも上々。価格も競争力があるし、航続距離や充電性能もおおむね平均レベルに達している。ところが、そうした加点ポイントも、競合モデルたちに差をつけられているわずかなマイナスに足を引っ張られてしまう。

室内には、スコダ・エンヤックiVや日産アリアのようなうれしくなる雰囲気がない。また、岩から削り出したようなソリッド感や、ほとんどのトヨタ車に備わる落ち度のないエルゴノミクスは、このクルマには見出せなかった。さらに、このクラスとしてはとくに広いわけでもなく、車内テクノロジーでも後れを取っている。

どれをとっても許せないほどではなく、致命的というよりは小さな不満だ。それでもbZ4Xには、心に残るような本当に傑出した特長が見つけられなかったのも事実だ。

トヨタは、カローラやヤリスといった、実用車として最高レベルのクルマを生み出すいっぽうで、GRヤリスやGR86のような、エンスージアストを魅了するモデルも世に送り出してきた。

そうしたメーカーが、過熱している新たねセグメントへの参入に向け、じっくり時間をかけてきたとあれば、なにかスペシャルなものを期待したくなるのが人情というものだ。

だが、bZ4Xはそうではなかった。ほとんどの点で、出来はかなりいい。走らせてみてもじつにナイスで、運転支援機能のチューニングも上々。価格も競争力があるし、航続距離や充電性能もおおむね平均レベルに達している。ところが、そうした加点ポイントも、競合モデルたちに差をつけられているわずかなマイナスに足を引っ張られてしまう。

室内には、スコダ・エンヤックiVや日産アリアのようなうれしくなる雰囲気がない。また、岩から削り出したようなソリッド感や、ほとんどのトヨタ車に備わる落ち度のないエルゴノミクスは、このクルマには見出せなかった。さらに、このクラスとしてはとくに広いわけでもなく、車内テクノロジーでも後れを取っている。

どれをとっても許せないほどではなく、致命的というよりは小さな不満だ。それでもbZ4Xには、心に残るような本当に傑出した特長が見つけられなかったのも事実だ。

イリヤ・バプラートクルマの価格は上がり続けるばかりだ。『購入と維持』の原稿を書いている最中に、トヨタのコンフィギュレーターが使えなくなった。再開したと思ったら、すべての価格がほぼ2000ポンド(約32万円)上がっていた。

リチャード・レーンAWDバージョンを選ぶと、オフロード向けモードが使用できるようになる。発売直後の試乗では、500mmの最大渡河深度や、泥道のスロープで見せたトラクションの稼ぎ方に感銘を受けた。最終的には最低地上高の制限を受けるが、ほかのEVに比べれば、悪路走破性ははるかに高いといっていい。

オプション追加のアドバイス

とくに4WDが必要なわけでなければ、シングルモーターはいい選択だ。ピュアでは装備内容が手薄なので、出費に見合った価値を見出せるのはモーションだろう。

改善してほしいポイント

・バッテリー容量拡大と効率改善で、中間グレードでも楽に400kmは走れるようにしてもらいたい。
・ステア・バイ・ワイヤを持たないクルマには、一般的なサイズのステアリングホイールを付けてほしい。
・インフォテインメントなどはもっと新しいシステムを導入してほしい。

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みんなのコメント

9件
  • 流石にトヨタ信者も「トヨタが本気を出せばEVなんていつでも作れる」とは言わなくなったな。
  • うーん、クラスベストと評価されたアリアとは比較になりません。こんなんで大丈夫かトヨタ
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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