かつては主流だったマニュアルトランスミッション(MT)ですが、現在ではスポーツカーをはじめとするごく一部のモデルに設定されるだけとなってしまっています。MTはこのまま絶滅してしまうのでしょうか?
●MT派はわずか1%? 日本のトランスミッション事情とは?
マニュアルトランスミッション(以下MT)は、エンジンの回転数に合わせてシフトチェンジを行い、両手両足を駆使して運転することで、クルマと「人馬一体」になれることが大きな魅力です。
MTは、オートマティックトランスミッション(以下AT)に比べて、仕組みが簡単であることなどから、かつてはトランスミッションの主流となっていました。ATは1939年にアメリカで発売されたものが世界初と考えられていますが、国産車に導入されたのは1963年に登場したトヨタ・クラウンが最初です。つまり、その時点では、ほとんどすべてのクルマがMT車だったということになります。
しかし、自動車販売協会連合会(自販連)の統計データによると、1985年時点には新車販売におけるMT車比率が51.2%と約半数だったのに対し2000年には8.8%と激減、2019年には1.4%となり、絶滅寸前という状態です。MT比率の減少は世界的な傾向ではありますが、その中でも日本は、CVTも含めて最もAT化が進んだ国のひとつとなっています。
これほどまでにAT車が優勢となった現代において、あえてMT車を選ぶメリットはあるのでしょうか? ATの技術が十分ではなかった時代には、構造がシンプルなMTの方が故障しにくい、あるいは故障しても修理が簡単という傾向がありました。また、同じモデルでもMTの方がATに比べて価格が安く、燃費も良いことが少なくありませんでした。
しかし、ATの技術が進歩した昨今では、そうしたMTのメリットは薄れつつあります。つまり、耐久性や修理のしやすさ、燃費性能や価格といった理由でMTが選ばれることはほとんどなくなってしまったのです。
そのため、現在新車でMT車を購入する人のほとんどが、両手両足を駆使して「人馬一体」となりながら運転する楽しさを求めてMTを選択しているようです。つまり、「MTが好きだから」というシンプルにして究極の感情が、いまあえてMTを選ぶ強い理由になっていると言えます。
●絶滅危惧種となっているMT、新車で買えるのはどんなクルマ?
そうした背景もあり、現在MT仕様が設定されているのは、走りを楽しむことに主眼を置いたスポーツモデルが多くなっています。例えば、2021年に新型へと生まれ変わったスバル・BRZの新型モデルや兄弟車のトヨタ・GR 86、日本を代表するライトウェイトスポーツのマツダ・ロードスターなどはその代表例です。
また、いわゆるスポーツカーではありませんが、ホンダ・シビックやトヨタ・C-HR、マツダ・CX-5のような、スポーティな走りが魅力のモデルにもMT仕様が設定されています。
特に、「人馬一体」を重視しているマツダでは、ほとんどのモデルでMT仕様を選択することができ、また、ディーゼルエンジン×MT仕様が設定されている点も特徴的です。
そのほか、MT仕様を選択できるおもなモデルとして、スズキ・スイフト/スイフトスポーツやトヨタ・ヤリス/GRヤリス、カローラスポーツといったハッチバックや、オフローダーのスズキ・ジムニー、軽自動車の中でもスポーティな走りが魅力のホンダ・N-ONEなどがあります。
ちなみに、スズキ・キャリイやダイハツ・ハイゼットトラックといった軽トラックにもMT仕様が用意されています。これについては、走りを楽しむことが目的というよりも、積み荷に応じてトラクションをコントロールできる点から選ばれることが多いようです。
●電動化でMTはついに絶滅か?一方でEV用MT開発中との噂も
これからのクルマを語る上で絶対に欠かすことのできないキーワードが「電動化」です。広い意味ではハイブリッドカー(HV)やプラグインハイブリッドカー(PHV)、燃料電池車(FCV)などを含み、狭い意味では電気自動車(EV)のみを指す言葉として用いられますが、日本とはじめとする世界各国が現在、電動化を強く推進しています。
電動化が進めば進むほど、MTは絶滅に向かうと考えられています。そもそもトランスミッションは、エンジンが生み出した力を、走行環境に応じた適切なトルクへと変換するためのものです。しかし、EVなどに搭載される電気モーターでは、発進時から最大級のトルクを引き出すことができるため、トランスミッションによってトルクを調整する必要がありません。
実際に、現在日本で販売されている国産MT車はすべてガソリンもしくはディーゼルエンジン車であり、MT仕様が選択可能なEVやPHV、FCV、HVはありません。
特にEVでは、原理上トランスミッションを必要としないため、MTという概念自体が無用のものとなります。そのため、電動化が進めば進むほど、MTは絶滅に近づいていくと考えられています。
一方、電動化の時代になっても、MTによる運転の楽しさを味わいたいというニーズに答えようとしている自動車メーカーもあります。例えば、トヨタが米国特許庁に提出した資料からは、EV用のMTの研究開発が行われていることがわかります。
資料によると、このEV用MTシステムは、クラッチペダルやH型のシフトゲートを備えているなど、ドライバーが両手両足を駆使して操作するものとなっています。加えて、まるでエンジンの回転数を表しているかのような擬似的なタコメーターが用意され、シフトチェンジの際の変速ショックまでもが再現されているようです。
つまり、このEV用MTシステムは、機械的な仕組みはまったく異なるものの、ドライバーの体験としては現在のMTとほとんど変わらないものとなることがうかがえます。
現時点では、いつどんなモデルにこのシステムが採用されるのかは明らかになっていません。また、あくまでも特許申請をしただけであるため、実用化されない可能性もあります。それでも、電動化の時代になってもMTによる運転が楽しめる可能性が示されたのは、MTファンにとっては朗報と言えるでしょう。
ただし、すでにMTが絶滅の危機に瀕していることに変わりはありません、もしMT車に興味があるのであれば、いまのうちに購入を検討しておくのがよさそうです。
文:ピーコックブルー
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みんなのコメント
…ホンダのバモスっていうんだけどね。
小さくてエンジン非力だけど 乗っていて
楽しいです 新型はMT設定ないから残念
今のアルトくんを大事に乗ります。