米国でのJDM人気に火をつけたのはR32スカイラインGT-R
JDMとはジャパニーズ・ドメスティック・マーケットの頭文字で、直訳すると『日本国内市場』となるが、意味としては、日本仕様の車両または日本独自の装備を持つクルマとなる。
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その最たるものが右ハンドルで、このほかオレンジ色のリアウインカー(米国では赤が主流)やディーラーオプションで選択できるサイドバイザー、80年代に流行した水中花シフトノブ、旧車スポーツカーのお約束である小径ハンドルなど、日本独自の装備やカー用品もJDMと呼ばれている。
アメリカでは一般的に、25年ルールによってアメリカへの輸入が解禁となったクルマそのものをJDMと呼んでいる。25年ルールの正式名称は『H.R.2628 – Imported Vehicle Safety Compliance Act of 1988』というアメリカ合衆国の法律である。
基本は自動車の安全規則に関する法律だが、1960年代から米国安全基準に適合しない並行輸入車の扱いについても議論が進められきた。60年代に新車並行のメルセデス・ベンツがアメリカで大量に販売され、正規ディーラーにとって大きな損失となったことを契機に、ドイツ車メーカーが共同して『並行輸入車排除』のロビー活動を行った。
この活動によって、一時期は新車も中古車も並行輸入はほぼ全面禁止されたこともあったが、その後1987~88年に自動車安全法に関する新たな動きが起こり、結果的に1988年10月に当時のアメリカ大統領ロナルド・レーガン氏が署名をし、新たな法律が成立した。
基本は自動車の安全に関する法律だが「25年経過したクルマはクラシックカーとみなされ、FMVSS(米国保安基準)への準拠を免除する」という内容も含まれている。これが、いわゆる25年ルールの始まりである。
その後90年代からアメリカ西海岸でホンダ車を中心とした『スポコン(スポーツ・コンパクト)』が花盛りとなり、日本車への注目が高まってきた。2001年に映画『ワイルド・スピード』が公開されてからは日本製スポーツカー人気に火が付き、日本車が多数登場するゲームやアニメの世界的な拡散も日本車人気を後押しした。
2008年リーマンショック後の暗黒時代を乗り越えて、2014年にJDM人気の火付けとなった日産スカイラインR32GT-R(1989年発売)がついに米国への輸入解禁となった。
日本から米国への中古車輸出台数も、この10年で1000台以下から1万6000台前後と、16倍に膨れ上がっている。(日本中古車輸出業協同組合調べ)
2025年に解禁となって米国輸出される日本車は
ちなみに、25年ルールはあくまでも『輸入』のルールである。昨今はカリフォルニア州を筆頭に排ガス検査が強化されておりその数値も厳しくなっている。
25年ルールで輸入解禁となった日本車の中には排ガス基準などを理由に州によっては販売や登録が困難となっている車種もある。熱狂的なJDMファンは排ガス規制が緩い地域に引っ越す例も珍しくない。
それでは、2025年に輸入解禁となる魅力的なJDMを4車種紹介してみよう。
WiLL Vi(ウィル・ヴイアイ)
アサヒビール、花王などとの異業種合同プロジェクトの統一名称『WiLL』というブランド名(車名)をつけ、トヨタの名前もエンブレムもつかない初のトヨタ車として2000年1月から販売が開始された。
走行性能、環境性能などはベースとなるトヨタヴィッツと同等のクラストップレベルを確保し、『WiLL』シリーズ統一コンセプトである「遊びゴコロと本物感」を具現化した内外装は非常に個性的で、かぼちゃの馬車を連想させる個性的な外観はとくに若い女性から注目を集めた。
エンジンは1.3Lのみで4速ATが組み合わせられる。ボディ形状はノーマルルーフとキャンバストップの設定があるが、アメリカではキャンバストップに支持が集まりそう。
以前、AUTOCAR JAPANの記事で紹介した日産パオやフィガロのように、こちらもトヨタ製JDMパイクカーとして高人気となるかも?
三菱ランサーエボリューションVI トミ・マキネンエディション(CP9A型)
ランエボシリーズ初の特別仕様車であるこちらは2000年1月発売だが、1999年12月に生産開始されているので、すでに25年ルール適用で米国へ輸入された個体もあるかもしれない。
TMEは1996年から4年連続でWRC世界ラリー選手権ドライバーズチャンピオンを獲得したトミー・マキネン氏の偉業を記念した特別仕様車で、日本での中古車価格相場は1000万円を超えている。
WRCワークスカーをイメージしたスペシャルカラーを設定し、ワークスカーと同デザインの17インチアルミホイールを装備。Tommi Makinenの刺繍入りRECARO製バケットシートも要注目だ。
もちろん見た目だけの単なる『デカールパッケージ』ではない。車高を10mm落とした設定のサスペンションはターマック(舗装路)仕様のハンドリングに調整されており、チタンアルミ合金製ターボチャージャーを採用したエンジンは最大トルクを2750rpmから発生。
変更点が非常に広範囲に及ぶため『エボ 6.5』とも呼ばれている。
トヨタ・オリジン
スポーツカーではないが、コンセプトもビジュアルも『Origin』という車名もアメリカのトヨタファンにはたまらない1台となりそうなのが、こちらのオリジンである。
トヨタ・プログレをベースに初代トヨペット・クラウンをイメージして2000年11月にデビューした。
トヨタ自動車生産累計1億台を記念した限定車で、約1000台が生産されている。クラウンではなくプログレをベースにしたのは、初代クラウンのサイズに近いことが主たる理由。
初代クラウンと同じ観音開きドアや後方に傾斜したCピラー、ジュエルテールランプなど、現代の車両では珍しい多くの特徴が採用されている。
全車3L 2JZエンジンを搭載し、4速ATと組み合わせている。オリジンもいわゆるパイクカーの一種となるが、1000台という限定台数であるため価格高騰も十分予想できる。
スバル・インプレッサ S201(GDB型)
GC8型インプレッサをベースにした初の『STI』モデル。スバル『S20X』シリーズはここから始まった。
STIによってオンロードスポーツを追及してチューニングされたEJ20エンジンは、最高出力300psを発生する。
車高調整式強化サスペンション、シャシー性能は極限まで高められRAYSとの共同開発で誕生した16インチ鍛造アルミホイールを採用。グリル一体式フロントエアロバンパーやサイドスカート&リアドアスパッツ、ダブルウィングリアスポイラーなど、迫力あるフォルムが際立っている。
走り、アピアランスとも、スパルタンな印象に仕上げられており、JDMインフルエンサーである著名写真家のラリー・チェン氏いわく、「ノーマルで320psを発揮する22Bより速い! 外観も素晴らしい。特にリアバンパーは、F&F(映画『ワイルド・スピード』)のセットから飛び出してきたかのようだ」と絶賛。
なおS201は300台限定として発売されたが、当時はそれほどまで人気が出ず、実際の生産・販売は87台にとどまった。STIシリーズ唯一、完売しなかったモデルであるが、25年経ちその価値が北米で非常に高く評価されはじめている。
アルファ147、ロータス・エキシージなど、『日本車以外』にも注目!
25年ルールによってアメリカへの並行輸入が解禁となるのは、何も日本車だけではない。
もちろん、欧州からアメリカに輸出される中古車もあるが、実は日本を経由した(つまり日本で登録して使用されていた)輸入車も高い評価を受けている。
横浜在住の中古車輸出業者B氏が以下のことを教えてくれた。
「数はもちろん少ないのですが、日本で使われていた欧州車が海外で高い評価を得ているんですよ。日本で欧州車に乗る人はクルマに対して高い付加価値を求める人が多く、ほとんどは保証やトラブル対応もしっかり行う正規ディーラーで購入されています。
法律で定められている車検や法定点検もしっかりしているので、新車時から日本で長年乗られてきた欧州車に対する評価は高いのです」
2000年にデビューして日本でも人気の高かった車種にアウディRS4 、ロータス・エキシージ、アルファロメオ147などがある。特に正規輸入車両の価値が高いとされており、アメリカでの人気によっては日本の中古車相場も上がるかもしれない。
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みんなのコメント
新車は…ではなく新車も強烈な保護主義で閉め出されている。
かといって、EUは開かれているかといえば全くそんなことはなく、偽善をまくしたて超閉鎖的市場。
アメリカがジャイアン的な知能の低い力業で、EUは知能犯罪者。