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いよいよ夢の技術が普及へ! ホンダが安全運転支援システム「Honda SENSING360」と「Honda Elite」の新技術を発表! ハンズオフ機能などテストコースで体感試乗! 

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いよいよ夢の技術が普及へ! ホンダが安全運転支援システム「Honda SENSING360」と「Honda Elite」の新技術を発表! ハンズオフ機能などテストコースで体感試乗! 

 2022年12月1日、ホンダは全方位安全運転支援システム「「Honda SENSING360(ホンダセンシングサンロクマル)」とHonda SENSING360のフラッグシップである「Honda SENSING Elite」の次世代技術を公開した。

 11月下旬、メディア向けの「Honda SENSING取材会 2022」が、本田技研工業栃木プルービンググラウンドで行われ、高速道路上でのハンズオフ走行を含む、新たなシステムを体験することができた。他社のハンズオフ機能と何が異なるのか、その模様をご紹介しよう。

いよいよ夢の技術が普及へ! ホンダが安全運転支援システム「Honda SENSING360」と「Honda Elite」の新技術を発表! ハンズオフ機能などテストコースで体感試乗! 

文/吉川賢一
写真/ホンダ、ベストカーWeb編集部

■「Honda SENSING360」「Honda SEMSING Elite」はどういうものか?

ホンダは2030年までに死者半減から2050年までに全世界でホンダの二輪車、四輪車に関与する交通事故の死者をゼロにすることを目指している

 ホンダは、2022年12月の中国市場向け新型CR-Vへの採用を皮切りに、新しい「Honda SENSING360(ホンダセンシングサンロクマル)」(以下360)をグローバルに展開すると発表した。360は、交差点での車両や歩行者、二輪の検知、カーブ減速支援などが追加された、全方位安全支援技術だ。

 360は、2021年に世界で初めて量産車として自動運転レベル3を実現した、レジェンドのホンダセンシングEliteで培った技術を活かしつつ、センサー類を廉価に構成したもので、2030年には、先進国で販売するクルマに100%展開する計画だという。

 ここで改めてホンダセンシング360とホンダセンシングEliteをご存じない方のためにおさらいしていこう。

●Honda SENSING 360 
 ホンダセンシング360に次世代技術として、ドライバー異常や周辺環境を検知し事故のリスクを減らすことで、ドライバー運転負荷をさらに軽減する新機能を追加。これらの新機能を2024年よりグローバルで順次適用開始
●Honda SENSING Elite
 ホンダセンシングEliteの次世代技術として、ホンダ独自のAI技術を活用した認知・理解技術により、従来の高速道路に加え、一般道路も含めた自宅から目的地までシームレスな移動を支援する技術を新開発。これらの技術を2020年代半ばから順次適用開始

 ホンダは、道を使う誰もが事故に遭わない社会の実現を目指し「Safety for Everyone」のスローガンのもと、ハード・ソフトの両面で安全技術の研究開発に取り組んでおり、現在量産車で展開をしている安全運転支援システム「ホンダセンシング」は、日米で99%、グローバルで86%の新車に搭載され、累計販売台数は1400万台に上っている。

 また、2021年には、自動運転レベル3に適合するトラフィックジャムパイロット(渋滞運転機能)を搭載したホンダセンシングEliteを発売。さらに、この技術の研究開発で培われた知見を生かし、2022年には車両周辺の死角をカバーし、交通事故の回避やドライバーの運転負荷軽減をサポートする全方位安全運転支援システム、ホンダセンシング360を、中国から展開を開始するなど、機能を進化させ続けてきた。

 今回発表した技術は、ホンダセンシング360の次世代技術として、ドライバー異常や周辺環境を検知し事故を未然に防ぐことで、ドライバー運転負荷をさらに軽減する新機能を提供するもので、2024年以降、従来のホンダセンシング360に追加され、順次グローバルでの適用を始める。また、ホンダセンシングEliteの次世代技術として、ホンダ独自のAI技術を活用した認知・理解技術により、従来の高速道路に加え一般道路も含めた自宅から目的地までシームレスな移動を支援する機能を新開発した。

■目玉技術は、ハンズオフ付高度車線内運転支援機能とハンズオフ付高度車線変更支援機能

本田技研工業本田技研工業栃木プルービンググラウンドで行なわれた。左は本田技研工業経営企画統括部安全企画部部長・エグゼクティブチーフエンジニア・高石秀明氏。右は事業開発本部ソフトウェアデファインドモビリティ開発統括部執行職・玉川裕氏

ホンダセンシング360がさらに進化したホンダセンシング350NextConcept

 今回の試乗会で体験できた機能は、「ハンズオフ付高度車線内運転支援機能」「ハンズオフ付高度車線変更支援機能」「カーブ車速調整機能」「ドライバーの状態と前方リスクを検知、回避支援を行う技術」「ドライバー異常時対応システム」の5つだ。

 どの技術も名称がかなり長いが、簡単にいえば、高速道路上でハンズオフができる走行支援と、ハンズオフのままレーンチェンジ(以下自動LC)ができる機能、コーナー手前で自動減速する機能、ドライバーのよそ見を検知して、リスク回避を支援する機能と、万が一意識を失ったときに自動停車をする機能だ。

ハンズオフ機能付き高度車線変更支援機能は、走行中に先行車を検知すると、追越し可能かシステムが判断。可能と判断すると、ドライバーに告知をしたうえで、ウインカー操作や加減速、ハンドル操作を行う。(※補足:ナビで設定した目的地へ向かうための分岐、出口付近での車線変更や、車線数が減り、自車の走行車線が無くなる場合の車線変更もシステムが支援)

ハンズオフ機能付高度車線変更支援機能スイッチをONにすると一定の条件下でシステムが状況を判断し、自ら車線変更や追い越しなどの操作を支援。車速の遅い先行車を検知すると、ドライバーに告知したうえで追い越しや車線復帰を支援

 走行中のハンズオフは、日産のプロパイロット2.0やスバルのアイサイトX、トヨタのアドバンスドドライブでもお馴染みなので、目新しさは少ない。

 ただ、自動レーンチェンジ(LC)に関しては、他メーカーの一歩先をいく部分がある。他社車ではレーンチェンジの際、システムからの提案に対して、ドライバーがスイッチを押すか、ウインカーを操作するなどで、最終承認をする必要がある。

 ただ、次世代360は、「右車線を確認してください。車線変更します」とクルマからアナウンスがあるだけで、そのまま何もしなくとも自動でレーンチェンジが行われる。レジェンドで搭載されていたホンダセンシングEliteと機能は同じだが、他社車のハンズオフ自動LCではまだやっていない(やろうと思えばすぐにできるだろうが)。

 今回のデモ走行では、前走車に追いつく前に自動減速をして、自動で追い越し車線へレーンチェンジをして、自動で設定速度まで再加速、自動で走行車線へ戻る、といった一連の流れを、極滑らかに行っていた。

 スイッチを押すことやウインカーを操作するというのは、たったワンアクションではあるが、次世代360はそれすら必要ないことで、また一歩、完全自動運転に一歩近づいたような印象を受けた。

 もちろんカメラがドライバーの状態を監視しているので、レベル3のようにアイズオフをすることはできない。だがアイズオフには慣れが必要であり(体験したが、かなり怖かった)、ドライバーが前を向き安心できる状態でハンズオフ、しかも自動LCまでしてくれるのは、アイズオフの時代へ移行するまでの前段階として最適だと感じた。

 ホンダによると、次世代360は、ステップワゴンやシビック、ヴェゼル、そしてN-BOXなどの量販車にも、標準機能として2024年以降に導入(2030年には先進国で全車導入)していくという。

カーブの手前で車線の曲率を読み取り、車速調整をする。試乗では、100km/h巡行走行の状態から、75km/hまで緩やかに減速してコーナーへと侵入、ステアリングも自動で操舵される

■ドライバー異常時対応システム

ドライバー異常時対応システムは、ドライバーモニタリングカメラによってドライバーの異常を検知するとシステムが操作を要求。音声で一旦警告し、それでも操作がないとハザードと警笛で周囲へ知らせ、減速・停車する

 ドライバー異常時対応システムは、システムからの操作要求に対してドライバーの反応がない場合、同一車線で減速・停車を支援する機能。ドライバーがシステムからの操作要求に応じなかった場合、警告音を強め、ドライバーに操作要求に応じるよう、さらに促す。

 それでもドライバーが操作要求に応じなかった場合は、ドライバーや同乗者、他の道路ユーザーを車両衝突による危険から遠ざけるために、ハザードランプとホーンで周辺車両への注意喚起を行いながら、減速・停車を支援する。昨今の心筋梗塞などドライバーの心肺停止に伴う事故が低減されることに期待したい。

ドライバー異常時対応システム ドライバーモニタリングカメラ

■降車時車両接近警報

降車時車両接近警報。前席ドア

 降車時車両接近警報システムは、駐停車中、後側方に接近する車両を検知すると、フロントピラーもしくはサイドミラー上のインジケーターを点灯させ、認知を支援。

 乗員が降車のために開けたドアが、自車側方を通過する車両と衝突するおそれがあるときは、インジケーターを点滅させると同時に警報音で注意を喚起し、ドアを開けることを留まるよう促す。

降車時車両接近警報。ドアミラー右側のインジケーターで表示

■ドライバーの状態と前方リスクを検知回避支援を行う技術

歩行者や自転車、停車中の車などに衝突する恐れがあり、かつ同じ車線内にスペースがあるとシステムが判断した場合、減速とともにハンドル操作をし、衝突回避。(補足:スペースがない場合には緊急ブレーキ、もしくはドライバーのハンドル操作をきっかけにシステムが操舵を支援)

 ドライバーの状態と前方リスクを検知回避支援を行う技術としては以下3つがある。

1:注意喚起、衝突注意警報
 ドライバーの状態を検知し、注意力低下時や漫然運転時に歩行者、自転車、停車中のクルマや前走車などに衝突の可能性がある場合、減速し、未然に注意喚起するとともに、車線をはみ出さないようにステアリング操作支援を行う。

2:車線内回避支援技術
 歩行者、自転車、停車中のクルマなどに衝突する恐れがあり、同じ車線内に十分な回避スペースがあるとシステムが判断した場合、車線内で減速し続けながら衝突回避を支援する。

3:緊急回避操舵支援技術
 歩行者、自転車、停車中のクルマなどに衝突する恐れがある状況で、ドライバーによるステアリング操作があった場合、減速し続けながらステアリング操作を支援する。

前方のクルマに衝突しような際、ドライバーの状態と前方リスクを検知、回避支援を行う

■廉価なセンサー構成でハンズオフを実現するホンダの技術

レジェンドにはライダーセンサーが5個、レーダーセンサーが5個、フロントセンサーカメラ2個、ソナーセンサーが12個が装着されていた

 技術的に注目したいのが、テストカーに搭載されているセンサー系統が、高価なライダーセンサー(クルマやバイクなどの金属物と、それ以外の非金属物の検知・測距に優れる、レーザー光を活用したセンサー。高性能だがコストは高くなる)ではなく、廉価なレーダーセンサー(金属物の検知と測距に優れる、ミリ波電波を活用するセンサー。機能は落ちるが廉価)を使用していること。

 レジェンドのホンダセンシングEliteには、ライダーセンサーが5個、レーダーセンサーが5個、フロントセンサーカメラ2個、ソナーセンサーが12個備わっているという「センサーオバケ」状態だったのに対し、今回試乗したアコードのテストカーには、ボディの4隅とフロントに計5個のレーダーセンサー、フロントウインドウのカメラの構成と、とてもシンプル。レーダーで目標物の検出と距離を検知し、ルームミラー裏側の2基のカメラで、検知物が何かを判別するシステムに置き換えているという。

アコードにはボディの4隅とフロントに計5個のレーダーセンサー、フロントウインドウにカメラが設置されていた

 現在ハンズオフ走行機能が搭載されているのは、どのメーカーも、ごく一部の上級車のみ。先日フルモデルチェンジとなった日産新型「セレナ」にも、ハンズオフが可能な「プロパイロット2.0」が搭載されたが、プロパイロット2.0が付くLUXION(税込478万円)は、e-POWERハイウェイスターV(税込368万円)に対して110万円の価格差となる(LUXIONには、プロパイロットパーキングやSOSシステムなど、50万円相当のセットオプションが含まれるため、プロパイロット2.0のコストは約60万円というところか)。

 ハンズオフや自動LCはセンサー類にかかるコストが半端なく、とんでもなくお金がかかるため、コストアップをある程度受け入れられる上級車でなければ、搭載が難しいのだ。

 これを低価格帯のクルマにも採用するとなれば、コスト低減は必須。しかも、機能面は1ミリも落としてはならない。どのメーカーも必死で、コスト低減のための検討をしているはずであり、今回のホンダの発表を受けて、他メーカーは焦りを感じることになるかもしれない。

※補足
●ライダーセンサー:クルマやバイクなどの金属物と、それ以外の非金属物の検知・測距に優れる、レーザー光を活用したセンサー。高性能だがコストは高くなる
●レーダーセンサー:金属物の検知と測距に優れる、ミリ波電波を活用するセンサー。機能は落ちるが廉価

■「次世代Eliteはメーカーとしての生命線」とするホンダ

ホンダセンシングEliteは一般道も含めた運転支援の実現を目指している

 また、ホンダセンシングEliteも次世代へと進化するという。次世代Eliteでは、一般道でのACC、LKAS、ハンズオフ走行も視野に入れているそうだ。一般道での運転支援となると、複雑なシーンをクルマが理解する必要がある。

これからは無限にパターンが存在する対象物でも人のように理解できるAI技術がキモになる

 無数にパターンが存在するビル、ガードレール、交差道路など、ナビの地図情報以上に周辺情報を検知し、正確に理解しないと、期待されるような運転支援はできない。

 ホンダは、人のように理解できる「独自のAI技術」を、北米のスタートアップである「helm.ai」との協業によって構築中とのことで、ホンダ事業開発本部ソフトウェアデファインドモビリティ開発統括部統括部長の玉川裕氏によると、この独自のAI技術は、ホンダが生き残りをかけて全身全霊で取り組んでいるジャンルだという。

高速道路のっジャンクションでの合流および分流シーンにも対応するという

 Eliteはまた、2020年代後半をめどに、高速ジャンクションでの合流と分流を含む高速道路本線全域でのレベル3や、オートバレーパーキングの技術確立を目指しているとのこと。

 オートバレーパーキングには、速度は低くても、自動運転レベルは4(限定エリアでの完全自動運転)相当が必要であり、これが2020年代後半に実現すれば、実に夢のあるシナリオだ。

■2050年にホンダ製二輪四輪の交通死亡事故「ゼロ」が目標

ホンダの事故ゼロ社会実現に向けての取り組み

 ホンダは「2050年に全世界で自社の2輪4輪が関与する交通死亡事故ゼロ」という目標を掲げている。そのマイルストーンとして、2030年に交通事故死者を「半減」(2020年比)という目標を立てており、方策としては、「クルマの知能化」と「ネットワーク技術」によって達成させるとしている。

 現時点で自動運転レベル3を実現しているのは世界でホンダのみ、自動運転テクノロジー界では先頭を走っている状況ではあるが、他メーカーも指をくわえて見ているわけではない。

ホンダの安全運転支援および自動運転技術にかける意気込みには驚かされた

 他メーカーの動向をみると、日産のプロパイロット2.0は、スカイライン、アリア、セレナと、順次搭載されるクルマの価格を下げてきている。

 またトヨタも、高速道路上の渋滞時のみに絞ったハンズオフ機能を、新型ノア/ヴォクシーへ10万円代のメーカーオプションとして出している(現時点、高速道路で渋滞時に限らずハンズオフ走行ができるアドバンスドドライブの搭載は、ミライとレクサスLSのみ)。決して、ホンダは「安泰」というわけではなく、進化を続けないとあっという間に追いつかれて、追い越されていく。

 「2030年にホンダ車による交通事故死者を2020年比で半減」という途方もない目標を掲げ、社運をかけて自動運転技術の開発に取り組むホンダ。2020年代後半には、レジェンドやアコードなどの高級車以外のモデルにも、適用されるという。その日が非常に楽しみだ。

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みんなのコメント

3件
  • 早く一人後部座席でくつろげる自動運転作って
  • 自動運転になったら軽自動車で十分だ
    どうせ一人でしか乗らないから
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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