■国内で市場拡大中の「コンパクトミニバン」に参戦せよ!
日産が2024年3月25日に発表した中期経営計画「The Arc」は、2026年度までに16車種の電動車両を含む30車種の新型車を投入し、内燃機関(ICE)車の乗用車ラインナップの60%を刷新することを目標としています。
その後同社はホンダとの協力関係などを模索するも実現できず、いまもなお厳しい経営状況が続いています。起死回生の策はないのでしょうか。
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2025年2月13日の決算発表において日産は、さまざまな新型車の導入計画を明らかにしました。
なかでも国内向け軽自動車の刷新を予定していることを発表し、シルエットを公開しています。
また2025年には3代目となる新型EV(電気自動車)「リーフ」をグローバルに投入する計画があり、8年ぶりの全面刷新となる見込みです。
2026年度には年間60万台の販売を目指し、電動車の割合を70%へ向上させるとしていたThe Arcですが、2026年度末まであと2年となりました。
これまでの状況を振り返ると、The Arcで掲げた高い目標に対する進捗は非常に困難なもので、なかでも足元の国内市場は非常に厳しく映ります。
そんな日産に、現在ラインアップにない「コンパクトミニバン」が新たに投入されれば、起死回生のチャンスとなるかもしれません。
The Arcでは、新型車群のシルエット映像が公開され、日産ファンらに対し将来に向けた期待をもたせました。
その中にはクロスオーバーミニバン風のモデルが含まれており、これが新型コンパクトミニバンに相当する可能性も考えられます。
もし日産が新型コンパクトミニバンを投入するならば、ミドルサイズミニバン「セレナ」のデザインを継承した「セレナミニ(仮称)」のようなモデルが有力候補となるでしょう。
日本自動車販売協会連合会(自販連)調べによる、2024年の軽を除いた新車販売ランキングを見ると、コンパクトミニバンやコンパクトハイトワゴンの強さが際立ちます。
トヨタのコンパクトミニバン「シエンタ」は11万109台を販売し、「カローラ」シリーズ、「ヤリス」シリーズに次ぐ3位にランクイン。単一モデルでは登録車トップとなりました。
5位にはホンダのコンパクトミニバン「フリード」(8万5368台)も入るほか、トヨタのハイトワゴン「ルーミー」(6万7698台)も12位に位置しています。
ルーミーはダイハツ製で、同社の一連の不正問題のため2024年は一時販売が中断しており、2023年の同時期には10万800台もの台数を記録していました。
こうした状況を考えると、日産がこのカテゴリーに新型車を投入することは理にかなっています。
■手ごろなスライドドア車が「セレナ」と「ルークス」しかないのはヤバい!
現在、日産の国内ラインアップには、両側スライドドアを備えたコンパクトミニバンやハイトワゴンがなく、軽スーパーハイトワゴン「ルークス」とミドルクラスミニバン「セレナ」の間を埋めるモデルが不在というお寒い状況です。
このギャップを埋めるためにも、特にシエンタやフリードなどと競争できるコンパクトな3列シートミニバンが求められているといえるでしょう。
かつて日産にも、3列シートのコンパクトミニバン「ラフェスタ」や「キューブキュービック」、2列シートのハイトワゴン「キューブ」がありました。
しかし現在はいずれも販売終了してしまい、コンパクトクラスのファミリー向けミニバンやハイトワゴンはラインナップされていません。
ボディサイズは、シエンタ(全長4260mm×全幅1695mm×全高1695-1715mm)やフリード(全長4310mm×全幅1695-1720mm×全高1755-1780mm)と同等の寸法が適していると考えられます。
このサイズは都市部での取り回しと室内空間の広さを両立し、日本市場に最適なバランスといえます。
デザイン面では、セレナのスタイリングを踏襲しつつ、「サクラ」や「ノートオーラ」のような質感の高い内装を取り入れることで、ライバル車との差別化を図ることができるでしょう。
これによりファミリー層だけでなく、上質なデザインを求めるユーザーにもアピールできるはずです。
また、日産の得意とするe-POWERを採用すれば、力強い加速と低燃費を両立し、シエンタやフリードのハイブリッドモデルと競争できるでしょう。
ただし、廉価なガソリン車の設定も欠かせません。
シエンタやフリードは、200万円台前半から中盤という手頃な価格帯でガソリンモデルをラインアップしています。
現行型セレナでもe-POWERだけでなくガソリンモデルが用意されていますが、日産の担当者は「リーズナブルなガソリン車を求める声が多いため」と説明しています。
これはコンパクトミニバンにも当てはまるはずで、セレナミニにもガソリン仕様が設定されることが期待できます。
※ ※ ※
キューブキュービックがそうだったように、ショートホイールベース版として2列シート車も用意すれば、キューブの後継モデルとなるコンパクトハイトワゴンを同時に作り分けることも可能です。
ライバルのルーミーは2016年11月のデビューというロングセラーモデルであり、ここに新型車を投入すればシェア逆転も十分にあり得ます。
いずれにせよ、日産が2026年度に向けて販売台数を拡大するためには、コンパクトミニバンとコンパクトハイトワゴン市場への参入が重要な鍵となるでしょう。
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