怒った顔のクルマ 近づきがたい?
最近よく言われることの1つに、クルマがかつてないほど「怒っている」ように見えるというものがある。確かにそうかもしれないが、一部の例外を除けば、大抵のクルマは友好的な顔をしているわけではない。
【画像】「ど迫力」の怒り顔! 目を引く国産ホットハッチ【トヨタGRヤリスを写真で見る】 全20枚
クルマの使用環境は過酷なものだ。怒り顔のクルマは、厳しい天候に耐えながら何年も、何万kmも走り続けられるように我慢強く見える。また、周囲の怒りっぽいドライバーから乗員の安全を守ってくれそうにも見える。不機嫌そうな表情を浮かべるクルマは、意外にもわたし達を安心させてくれる。
人間の脳は無生物に対しても「顔」を認識するようにプログラムされている。ライトやグリルの形状、あるいはボンネットのラインの角度などから、クルマが怒っているのか、笑っているのかを認識するのにそれほど時間はかからない。
今回は怒っているように見えるクルマの中から、個人的に特に優れていると考える20台を紹介したい。一部は現在も販売されているが、多くは何年も前に生産終了したものだ。あなたのお気に入りのデザインはこの中にあるだろうか。
原文:アイサル・ガッサン
トヨタGRヤリス
自動車メーカーが世界ラリー選手権(WRC)にエントリーするためには、公道向けの市販バージョンを作らなければならない。これが、3ドアのGRヤリスが存在する理由である。エンジンはトヨタ・ガズー・レーシングのラリーチームが設計し、そのハンドリングは4度のWRCチャンピオンに輝いたトミ・マキネン選手の協力を得て開発された。
標準のヤリスよりも幅が広く、車高も低い。また、たくましくせり出したフェンダー、鋭角的なライト、フルワイドのグリルにより、標準車よりもはるかに獰猛に見える。
三菱デリカ・ミニ
軽自動車は今や、日本における新車販売台数の約3分の1を占めるほどの人気ぶりだ。黄色いナンバープレートをつけた軽自動車は日本独自の文化(規格)であり、海外のファンも多くいる。
小さいとはいえ、決して個性に欠けるものではない。三菱デリカ・ミニのエッジの効いたラインと無骨な雰囲気、ニヒルな表情が見事なまでにまとまっている。このデイタイム・ランニング・ライトが一体何を見て、何を考えているのか、想像を膨らませてしまう。
スズキ・アルト・ターボRS
スズキは1979年からアルトを生産しているが、第8世代(2014年~2021年)のフェンダー造形と角度のついたリアピラーからはスズキの “本気度” がひしひしと伝わってくる。中でも、一番目を引くのはヘッドライトだ。
つり上がったヘッドライトがフロントフェイスの大きな面積を占め、特にアルト・ターボRSに厳しい表情を与えている。しかし、その後アンガーマネジメントの社内研修でも受けたのか、最新モデルでは(ライトを含む)特徴の多くが柔らかい印象となった。
ルノー8
1960年代、ルノーは各モデルに番号を割り振って区別するようになった。1962年から1973年まで生産された「8(ユイット)」は、全長4mのセダンで、大半はブルガリアの工場で作られている。リアエンジンのため、フロントエンドには冷却用のグリルが必要なく、代わりに円形のライトとボンネット中央の鋭い折り目によって顔が形作られている。
後者は市販車になかなか見られない珍しい特徴で、「ムッ」と眉をひそめているような印象を受ける。ドライバーたちはルノー8を陽気なキャラクターだと評していた。ブーランジェリー(ベーカリー)の外でおしゃべりする姿が目に浮かぶようだ。
シムカ1000
第二次世界大戦後、シムカはフランス最大級の自動車メーカーとして一世を風靡したが、1978年までに完全に消滅した。1961年に発売された1000は、同社で最も成功したモデルの1つである。今となっては普通の形に見えるかもしれないが、1950年代当時としては画期的なデザインだった。
小柄ではあるが、存在感は大きい。その表情からは「これから行くべき場所がある」という強い意思が感じられ、目的地へたどり着くためには他人を押しのけてでも行くだろう。ライトの上にある「眉」の形が、そうした雰囲気を醸し出している。
ダイハツ・コペン
ダイハツ・コペンは、フルモデルチェンジで “態度” が大きく変わった。初代コペンは明るくにこやかな性格のスポーツカーで、日本では660ccの軽自動車だが、英国仕様ではパワフルな1.3Lエンジンを搭載している。現行型コペンは、突き出るようなショルダーラインと大きな台形グリルを獲得した。
斜めのエッジを持つライトとボンネットの膨らみが力強い印象を与えている。ボディ色が気に食わないのか、雨を敵視しているのかはわからないが、コペンは明らかに腹を立てている。
MG3
態度の変化といえば、MG3にも思い当たる節がある。以前のMG3はとても穏やかな印象だったが、新型はハッチバックの実用性とスポーティなスタイリングをミックスしている。ショルダーラインとリアの鋭角的なハンチ、そして鋭いライト。また、グリルの幅を大きく広げ、左右にもグリルを追加している。
新型MG3は熱を帯びた表情をしており、スーパーマーケットの駐車場で最も怒っているように見えると言っても過言ではないだろう。
シトロエンC4
2004年にミドルサイズのハッチバックとして誕生したシトロエンC4は、(おそらく必然的に)SUVへと変貌を遂げた。シトロエンに求められるのは何と言っても個性だが、C4はその期待を裏切らない。フロントドアには大胆な縦のエッジが走り、シルやバンパーにはカラーアクセントが華やかさを添えている。
スリムなライトが最上部のシェブロン(ロゴ)に突き刺さり、グリルは唸り声を上げている。リアライトの形状はフロントライトを反映したようなもので、ランプも素晴らしく獰猛に見える。
MG ZT
2001年、MGローバーは中間管理職御用達のローバー75を大改造し、一種の強壮剤を打ち込んだ。こうして誕生したMG ZT(ZT-Tというステーションワゴンもあった)は、大径ホイール、強化されたサスペンションとブレーキ、そして突き抜けたデザインが特徴だ。
標準のローバー75のフロントグリルはクロームのアウトラインを持つが、ZTではボディ同色のトリムに変更された。これによってグリルからボンネットの斜めのエッジに焦点が移り、切り取られたライトがより威嚇的に見えるようになった。小さな変化が自動車デザインに大きな違いをもたらすのだ。
フォード・エスコート(初代)
1967年にフォード・アングリアの後継として登場したエスコートは、従来車をまさに前時代的に見せ、瞬く間にセンセーションを巻き起こした。ボディサイドは超スリックで洗練されており、キャラクターラインと蹴り上げるようなリアハンチの流れは、当時世界を席巻していたアメリカン・マッスルカーを彷彿とさせる。
角ばったフロントエンドとリアエンドがパンチの効いた外観に拍車をかけ、特にこの写真のメキシコモデルでは、ワイドにセットされたダンベル型グリルが険しい表情を与えている。
シボレー・ロンディーネ・コンセプト(1963年)
シボレーは1960年代初頭、伝説的なイタリアのデザイン会社ピニンファリーナに、第2世代コルベット(驚異的な分割リアウィンドウを備えたスティングレイ)のシャシーをベースに「ロンディーネ(Rondine)」というワンオフ車を製作するよう依頼した。
スティングレイはフェンダーに波打つような筋肉を備えているが、ロンディーネは非常にスマートで、攻撃的な印象はほとんどない。ただし、フロントエンドを除いて。ロンディーネのボンネットの縁はスティングレイよりも角度がつけられ、前傾したグリルは獲物を引き裂くかのようだ。流麗なボディととらえどころのない顔の組み合わせは、不穏な美しさを生み出している。
VLFフォース1
2016年に登場したVLFフォース1(VLF Force 1)は、アストン マーティンの元デザイナーであるヘンリック・フィスカー氏によって設計された。ベース車がロングボンネットのダッジ・ヴァイパーであることから、獰猛な外観になることは運命づけられていたのかもしれない。
巨大なリアフェンダーとウィンドウラインの激しいフリックが圧倒的なパワーを感じさせ、フロントのアングルと極端に小さなライトが相まって、この上なく不敵な笑みを形成している。
50台の生産が計画されたが、実際に生産されたのは5台だった。フィスカー氏はその後、新企業フィスカーを立ち上げ、オーシャンをはじめとするEVラインナップの展開を目指したが、現在は厳しい状況に直面している。
BMW 1500
1950年代、BMWのデザインは流行遅れになり、危機的な状況を脱するために先進的なデザインが必要とされた。それが「ノイエ・クラッセ」(英語ではニュー・クラス)という形で登場した1500である。
その伸びやかなボディラインは、印象的なフロントエンドと同様にBMWのトレードマークとなった。ボンネットは前方に突き出し、スピード感を演出している。ここにサメのようなデザインが誕生し、BMWは世界を席巻することになった。
BMW XMレーベル
標準のBMW XMでは物足りないと感じる人のために、XMレーベルが作られた。最高出力748ps、0-100km/h加速3.8秒という速さを誇る。鼻孔から火を噴きそうなデザインは、多くの視線を集めるだろう。
しかし、BMWの最近の2台のコンセプトカー(ビジョン・ノイエ・クラッセとビジョン・ノイエ・クラッセX)では攻撃性を抑えている。XMレーベルを見た多くの人がやり過ぎだと考え、BMWも注意を払ったのかもしれない。XMレーベルは、BMWの過激なデザインの終着駅となる可能性がある。
ローバーP6
1963年から1977年にかけて生産されたローバーP6は、新しい世代のビジネスパーソンをターゲットにした初期のクルマであり、第一回ヨーロッパ・カー・オブ・ザ・イヤーに輝いた。
実にソリッドなボディを持つが、最大の特徴はボンネットの上に突き出た尖ったサイドライトだ。暗闇の中でも車幅を認識しやすいよう、このような配置となった。実用的で賢いアイデアだが、どことなく角のように見える。英国ではパトカーとしても採用されていた。
ランボルギーニ・ウラカンSTO
エンジンをボンネットの下からドライバーのすぐ後ろに移して以来、ランボルギーニは攻撃的なスポーツカーを作ることに特化してきた。そのウェッジシェイプには根源的な “何か” があり、まるでターマックと一体化しているように見える。
サーキット走行に特化したウラカンSTOは、「牡牛」と「盾」のロゴをつけたスーパーカーの中で最も攻撃的な外観に違いない。グリルのアウトラインはとてもシャープで、デイタイム・ランニング・ライトは網膜に刻み込まれる。フロントエンドには、純粋な怒りが表れている。
フェラーリ・ラ フェラーリ
フェラーリは必ずと言っていいほど驚異的なパフォーマンスを発揮してきたが、その歴史の大半において、特別に怒りに満ちた姿は見せてこなかった。その流れは2009年のフェラーリ458イタリアで一変し、フェンダーの奥まで伸びる細いライトが、フロントエンドに恐ろしい凝視感を与えるようになった。458イタリアのこのようなデザインは、FFやGTC4ルッソにも採用された。
この世代で最も華やかだったのは、2013年に登場したミドエンジンのラ フェラーリだ。バタフライドアを開き、6.3L V12が吠えれば、怒れる伝説のドラゴンのように見える。
ゴードン・キーブルGT
ゴードン・キーブルは、ジョン・ゴードン氏とジム・キーブル氏によって1960年代に設立された短命の英国自動車メーカー。世界的に有名なイタリア人デザイナー、ジョルジェット・ジウジアーロ氏が、同社唯一の市販モデルであるGTのボディスタイルを担当した。ジウジアーロ氏は、シボレー製5.4L V8エンジンを搭載したGTにふさわしい上品なボディを与えた。
ゴードン・キーブルは、フェラーリやアストン マーティンを打ち負かそうとした結果、資金を溶かしてしまい、わずか100台のGTを生産しただけで1967年に会社を畳むことになった。ゴードン・キーブルはまた、ロゴに「亀」をあしらった世界で唯一のブランドでもある。
プリムス・フューリー(1961年)
今はなきプリムスは、フォードやシボレーに対抗する入門車ブランドとして1928年にクライスラーによって設立された。プリムスはその歴史の中で、バラクーダ、チャンプ、フューリーなどの素晴らしいネーミングのモデルを生産してきた。フューリーは1950年代半ばから80年代後半まで生産されたが、1961年型がその名に最もふさわしいことは間違いない。
ウィングがフロントエンドを取り囲むように曲がり、勢いよくライトに突き刺さる様子は、何か恐ろしいものを感じる。贅沢に使われたクロームパーツと相まって、実に忘れがたい表情を作り出している。
カールマン・キング
道路を走っているとき、バックミラーにこのクルマが映るのを想像してみてほしい。カールマン・キングの価格は約3億円だが、「装甲」などを追加するともっと高くなる。中国のIATという企業が作り出したSUVのステゴサウルスだ。
6.8LのV10エンジンが搭載されているが、車両重量は5.9トン(一般的なSUVの2~3倍)という気の遠くなるようなもので、150km/h以上は出せない。しかし、急ぐために作られたクルマではない。世界一怒っているように見えるクルマは、カールマン・キングで間違いないだろう。
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