かつてはそれぞれが独立した存在だった自動車メーカー。現在では多くのメーカーが提携を行い、場合によっては買収されて別のメーカー傘下となったというケースもある。エンジンやプラットフォームの共通化によるコストダウン、流通の効率化など、メリットの多いグループ化だが、あるメーカーがどのグループに属しているのがわからないこともあり、さらに意外なグループの傘下となっていて驚かされるブランドもある。
このシリーズではそうした「自動車メーカーグループ」に注目し、紹介していくことにしたい。ステランティスとフォルクスワーゲン(VW)グループに続く連載第3弾は、フランス企業のルノーと日本の日産自動車&三菱自動車を中心にした「ルノー・日産・三菱アライアンス」にスポットを当てる。
EV先駆者 日産に勝ち目はあるのか? 怒涛の全15新車投入計画発表!
文/長谷川 敦 写真/ルノー、日産、三菱、Favcars.com、Newspress UK
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グループ中核のルノーはフランスの誇り
大衆車メーカーというイメージの強いルノーだが、写真のメガーヌR.S.トロフィーのように300psの高出力エンジンを搭載したスポーツモデルも販売している
19世紀末にフランスのルノー兄弟によって創設されたのが「ルノー・フレール」。フレールとは「兄弟」を意味するフランス語であり、中心となったのは5人兄弟の4番目にあたる技術者のルイ・ルノーだった。ルイが造り出す自動車は高く評価され、ルノー・フレールは瞬く間に業績を上げていった。特にタクシー用車両の生産で実績を高め、ルノーのタクシーは第一次世界大戦においてフランス軍兵士の輸送車として活躍している。
順調に思えたルノーの経営だったが、第二次世界大戦でフランスがドイツに降伏したのをきっかけにドイツの圧政下に置かれることになり、戦争終結でフランスが解放された後には国有化。新体制の「ルノー公団」になった。
ルノー公団は1947年に大衆向け小型車の4CVを発売するが、この4CVがヒットモデルとなったことで躍進を開始。そして「クルマのジーンズ」と呼ばれるほどの記録的売り上げを残したルノー4(1961年発売)で大衆車メーカーとしての名声を確立した。その後も大衆向けの車両がルノーの中核車として販売されている。
1973年にはそれまでルノーベースのスペシャルティカーを製作していたフランスのアルピーヌを傘下に収め、アルピーヌ・ルノーのブランドで展開。アルピーヌ名の車両は1995年のA610をもっていったん終了するが、2012年のA110-50で復活。2021年にはF1チームもそれまでのルノーからアルピーヌに改名され、スポーツカーブランドのイメージを強化した。
国有企業で再スタートを切ったルノーだったが、1990年に株式会社となり、1996年には完全民営化された。以降はフランスを代表する自動車メーカーとしてさまざまなモデルを作り続けている。
個性派モデルで進撃を続けた日産の歴史
国産EV(電気自動車)のリーディングモデルとも言うべき日産リーフ。写真は現行の2代目モデルで、バッテリーの改良により航続距離が延ばされている
1911年、日本国内での自動車生産を目的に橋本増治郎が中心となって設立されたのが改進社自動車工場。その第一号は資金協力者のイニシャルを合わせてDAT号と呼ばれた。しかし改進社の業績は悪化してしまい、1925年にはダット自動車商会に社名を変更する。
1926年には大阪で創立されていた実用自動車製造を改名したダット自動車製造と合併され、1931年に部品会社である戸畑鋳物の傘下に入った。戸畑鋳物自動車部をベースに誕生した会社が自動車製造で、1934年に自動車製造は日産自動車に社名変更された。これが現在に続く日産のルーツである。
1930年代から製造が開始された日産製モデルの多くにダットサン(「ダットシリーズの息子」の意。ただしの息子のSonが「損」をイメージさせることからSunに変更された)の車名が与えられ、このDATSUNは海外でも知られるブランド名に成長した。
そして1966年にはプリンス自動車を吸収合併し、スカイラインなどのプリンス製モデルも日産から販売されることになった。
日産にはスポーツ志向の強いモデルも多く、前出のスカイラインをはじめ、フェアレディZやシルビアなどの人気車種がリリースされた。そして1980年代末には「シーマ現象」と呼ばれるほどのブームを巻き起こした高級セダンのシーマを発売。個性溢れるモデルが幅広い年齢層から支持されていた。
このように、日産はトヨタに次ぐ国内第2位の生産台数を誇るメーカーとして存在感を示していたが、1990年代に入るとクルマ作りの迷走やマーケティング戦略のミスにより大きく経営状態が悪化してしまい、創業以来最大の危機を迎えることになる。
窮地に陥った日産の救世主
1980年代末~1990年代初頭の国内バブル景気を象徴するモデルの日産初代シーマ。当時の日産には勢いがあったが、バブル崩壊とともに経営不振へと向かってしまう
1990年代後半、さまざまな要因により2兆円を超える有利子負債を抱えて倒産寸前の状態あった日産は、それまで交渉を進めていたルノーとの提携を1999年3月に発表した。表面上は提携という体裁をとったが、実際にはルノーの出資によって日産の株式36.8%を取得する買収合併と言えた。
日産を事実上買収したルノーは、自社の経営も立て直したらつ腕経営者のカルロス・ゴーンを日産に送り込み、経営改善を実行。大規模なリストラを中心とした徹底的なコストカットと合理化により2000年には黒字化に成功した。2兆円の負債も3年後には解消するなど、日産の経営は劇的に改善された。
時には非情であり、強引な側面はあったものの、日産を復活させたゴーンの手腕を評価する声は多い。ゴーンはこの実績もあって2005年にはルノーの取締役会長兼CEOも兼任することになった。なお、その後のゴーンがどうなったかはご存じのとおり。
日産と三菱の提携は何をもたらしたか?
三菱自動車を代表するクルマとして親しまれたRVのパジェロ。残念ながら、写真のファイナルエディション(2019年)をもってその歴史に幕を閉じた
三菱自動車の創立は1970年。三菱重工業から独立したのが創業のきっかけだが、その歴史はさらに古く、1917年には三菱造船により日本初の量産乗用車の三菱A型が開発されている。三菱グループは巨大な組織であり、その歴史において各グループ企業の分割や再編成などをくり返しているが、長年に渡って数多くのクルマを誕生させている。
三菱自動車にはランサーやパジェロ、ギャランなどの人気車種も多く、市販車だけでなくモータースポーツの世界でも活躍するなど、技術力の高さは認められていた。2005年には日産との合弁会社であるNMKVを設立し、同社との技術提携で軽自動車の開発・販売もスタートさせた。
しかし、折からの業績不振に加えて2016年に発覚した燃費試験の不正問題により経営状態が悪化。ここで提携企業であった日産が三菱自動車の株式34%を取得することで支援を行うことになり、すでに存在していたルノー・日産アライアンスの一員に加わった。
同年12月には当時の日産代表権取締役だったゴーンが三菱自動車の代表取締役会長に就任している。
日産との提携強化によって、三菱自動車の経営が立て直されるとともに、プラットフォームや技術の共用も進められることになった。そして現在のルノー・日産・三菱自動車アライアンスが成立した。
世界第3位の自動車メーカーグループ。その将来は?
自動車業界の中で最も長期間に渡り継続しているパートナーシップであるルノー・日産・三菱アライアンス。ゼロエミッション化が加速するなか、連携強化は必須と思われるが……
2021年の段階において、ルノー・日産・三菱アライアンスを構成する自動車メーカーは、ルノー、日産、三菱の3社に加えて韓国のサムスン(三星)自動車をルノーが買収合併したルノー・サムスン、ルーマニアのダチア、ロシアのアフトヴァースの合計6社。グループ全体の販売台数は1位のフォルクスワーゲングループと2位のトヨタに次ぐ第3位となる。これだけでもこのルノー・日産・三菱自動車アライアンスが巨大なグループであることがわかる。
一見安泰に思えるルノー・日産・三菱アライアンスだが、実際は微妙なバランスの上に成り立っているという見方もある。1999年には日産を救済したルノーだが、その後の日産の業績回復によって日産の販売台数がルノーのそれを上回るという状況になっている。この状態が両者の力関係に影響を及ぼさないわけはなく、ルノーからの干渉を嫌った日産が反旗を翻すとのウワサが流れたこともある。
とはいえ、プラットフォームの共用をはじめとするルノーと日産の結びつきはすぐに解消しにくいのもまた事実。金融商品取引法違反によるゴーンの逮捕をきっかけに始まったともいわれる両社の関係性の変化がどのように推移するのか、まだまだ目が離せそうにない。
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みんなのコメント
てっきり、三社アライアンスの今後についての分析・解析かと思いきや、、、
単にウィキペディア丸写しみたいなルノー、日産、三菱の歴史解説をダラダラ続けて、アラインアンスについては最後の最後の段落で、「一見安泰に思えるアライアンスだが、実際は微妙なバランスの上に成り立っているという見方もある」という、誰でも言えるようなまったく根拠ない曖昧な一文が書かれてるだけだった、、、orz