クラウン、アリオン、セレナ、レガシィ……etc。街中には、私たちが気づいていないだけで、意外に多種多様な覆面パトカーが走っている。すぐあなたの前を走っているクルマだって、実は警察車両かもしれない。覆面パトカーなのだから、一般の人が気づかないのは当たり前。むしろ警察のほうからしたら、気づかれないほうが望ましいところだろう。
しかし、隠密行動をとっている覆面パトカーにもかかわらず、警察マニアの方々は、次々とそれが覆面パトカーだと言い当てていく。まるで、それが白黒パトカーのごとく「○○県警」とボディサイドに書いてあるかのように。そして、ツワモノのなかには所属する部隊まで言い当ててしまうのだ。
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なぜ、そんな芸当ができてしまうのだろうか。本稿では、マニアさんたちの鋭い観察眼を参考に、街中を走る覆面パトカーをあぶり出す方法を紹介しよう。なお、さまざまなパトカーについては『平成~令和新時代 パトカー30年史』も参照いただきたい。
『平成~令和新時代 パトカー30年史』はこちら
文・写真/外江彩
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■これはヤミツキ! 見抜けた時の快感がさらなる深みへと誘う
覆面パトカーと一口に言っても、さまざまな種類がある。一般ドライバーが一番お世話になりたくないのは、交通取り締まり用の覆面パトカーだろう。読者の中にも、不本意な取り締まり経験がある方も少なくないだろう。しかし、交通取り締まり用の覆面パトカーは、交通用の制服を着用した隊員が乗務していることから、隠密性という意味では、それほど高いわけではない。むしろ捜査用に代表される覆面パトカーこそが、真の覆面パトカーといってもいいだろう。こうした車両は見分け方が難しく、確実に判別ができるようになるには、それなりの慣れと経験が必要になってくる。
本稿では、おもに捜査用覆面パトカーの見分け方について紹介しよう。もちろん見分けができたからといってトクすることはほとんどないだろうが、見抜けた時の成功体験(?)がヤミツキになり、皆さんをさらなる深みへといざなうことだろう。
なお、覆面パトカーに「絶対」はない。ここで紹介するのはあくまで代表的な例であって、例外も多数存在する。また、都道府県によって多少偏りや特例がある場合もあるので、ご了承いただきたい。
■覆面パトカー率がバツグンに高い車種がある
意外に思われるかもしれないが、警察マニアが「これは覆面かもしれないな」と感じるきっかけの多くは、車種からである。決め手にはならないが、要注意の車両として頭の中のレーダーが反応するのである。
交通取り締まり用の覆面パトカーではトヨタのクラウンが圧倒的多数であるが、捜査用車両にも代表的な車種がある。順番に紹介しよう。
1.トヨタ「アリオン」
クラウンが交通用覆面パトカーの雄であるとするならば、アリオンは捜査用覆面パトカーの雄といえる。初代の240系前期型から2代目の260系後期型(2021年3月生産終了)まで、2002年頃から現在まで長く捜査用車両として多数導入された。巷でみかけるアリオンが覆面パトカーである可能性が高い理由のひとつに、人気車種ではなかったという点が挙げられる。つまり、一般車の台数に対して、覆面パトカーの割合が高いのだ。マニアの間では「アリオンを見かけたら、覆面と疑え」という言葉がある。なお、姉妹車のプレミオと外観が似ているので、各世代の特徴をよく覚えておきたい。
260系アリオン後期型。少なくとも昨年度まで捜査用車両として多数導入されている。アリオンはこの型を最後に生産終了となったため、今後アリオンに代わる捜査用車両の導入が進むと思われる
2.日産「セレナ」「エルグランド」
日産の人気車、セレナおよびエルグランドは、多数覆面パトカーとして導入されている。ミニバンならではの室内の広さが便利なのであろう、近年特によく見かける。しかし売れ筋の車種ゆえに、一般車両のほうが圧倒的に多く、アリオンのように簡単に疑ってかかることはできない。そこで後述のアンテナなどの見抜きポイントに注目をしたい。なお、セレナのOEMであるスズキ「ランディ」も導入されているが、こちらは一般車両の台数が極めて少ないので、見分けやすい。
C25系セレナ捜査用車両。警察車両は原則入札で調達されるため、純正オプション装備が付いていないのが特徴のひとつである。このセレナの場合、バックモニターがなく(リアビューミラーがある)、鉄ホイールである点が「イカニモ」な特徴である
3.スバル「レガシィ」
レガシィも(途中断絶があるが)長年にわたって覆面車両として導入されている。人気車種なので一般車が多いが、現在もよく見かけるBM型レガシィの覆面パトカーは、リアワイパーレスなのが特徴である(例外あり)。もちろん一般車でもリアワイパーレス仕様にできるので、絶対的な見分け方とはいえないが、一般ユーザーであえてリアワイパーレス仕様を選ぶ人はまれだろう。
BM型レガシィの警察車両の特徴は、リアワイパーが無いこと(例外あり)。レガシィは捜査用車両だけでなく、交通用や幹部用としても導入されたが、比較的早く姿を消しつつある
4.スズキ「キザシ」
キザシと聞いてその姿を克明に思い浮かべることができるのは、かなりのクルマ好きか、覆面パトカーマニアではないだろうか。一般車は受注生産であったため極端に台数が少なく、「キザシを見たら覆面と思え」と言われるほど覆面率が高いのだ。あまりにも一般車が少なすぎて目立ちすぎるということで、フロントグリルのスズキのエンブレムを外して使用しているケースも多く見られるようになったが、そうした改造がよりいっそう覆面パトカーとしての存在感を押し上げてしまっている。
「キザシを見たら覆面と思え」と言われたキザシ。フロントグリルが社外品に交換されていることで余計に独特のオーラが際立ってしまっているように感じられる
さて、捜査用覆面パトカーの代表格ともいえる4車種を紹介したが、覆面パトカーにはこのほかにもさまざまな車種が導入されている。すべてを紹介することは難しいが、この4車種を中心に、何度も見ているうちに、捜査用車両が醸し出す独特の雰囲気に気づくようになることだろう。
■これぞ覆面の決め手! アンテナは沼の入り口だ
覆面パトカーを警察車両たらしめているもっとも特徴的な装備といえば無線機と無線用のアンテナだろう。警察の職務において、無線での通信は欠かせない。逆に言えば、無線機を積んでいない場合は、第一線で活動する車両ではない可能性がある。それほどまでに大事な装備なのだ。ただし、無線用アンテナはどうしても目立つ存在になりがちだ。そのため、秘匿性向上のために、これまで様々なアンテナが導入されてきた。ここでは代表的な4つを紹介したい。
1.ユーロアンテナ
近年最も多くみかける、ラジオ用アンテナに擬装したタイプの無線用アンテナ。車種によっては、元々ラジオ用としてこのアンテナを標準装備している場合もあるので、ノーマル時の仕様をよく頭に入れておく必要がある。例えばアリオンの場合、240系前期型は元々ルーフ後端にこのタイプに似たラジオ用アンテナを装備しているが、それ以降のモデルでは装備していないので、見抜くポイントとなる。セレナやエルグランドもこのタイプのアンテナは元来装備されていないので、見抜きのポイントとなる。ミニバンでは、ルーフ後端の中央ではなく端に装備されることも多い。
ラジオ用アンテナに擬装したユーロアンテナタイプの無線アンテナ。クラウンはこの位置にユーロアンテナが付いている仕様もあるが、長さが異なるので見分けが可能。アリオンとスカイラインはこのタイプのアンテナは本来付いていない
また、元来ラジオ用として標準装備されているが、それとは別の位置に無線用として装備されている、という例もある。例えば日産のエクストレイルの場合、ルーフ先端にこの形状のラジオアンテナが装備されているが、ルーフ後端には無線用ユーロアンテナを付けて運用しているという事例がある。
なお、ラジオ用アンテナの場合、ケーブルがルーフから直接車内に引き込まれているため、配線が見える位置に出ていることはない。それに対して、無線用アンテナの場合は、マグネットなどで取り付け、ケーブルをリアガラスの縁を沿わせてトランクやリアゲートの端から引き込ませているケースが多い。このため、アンテナの基部に尻尾のように「ちょろっ」と配線が露出している。これも見抜きポイントのひとつである。なかには、リアガラスの縁から外れてしまい、配線が丸見えになっているダラシナイものも見かける。
アンテナ基部から出ている尻尾のような配線。純正のラジオ用アンテナではこのような配線露出部はない。マグネットで後付けされているアンテナの特徴である
2.TAアンテナ
一昔前のテレビ受信用アンテナに擬装したアンテナである。2本のエレメントがV字に開くいわゆる「ダイバーシティアンテナ」タイプで、地デジ化以降はテレビ用としては用いられていない(現在はワンセグまたはフルセグ用のフィルムアンテナが一般的)ので、現在も使用されている場合はほぼ無線用と言ってもいいだろう。代表的なのはセイワ製「T35 CITY ROAD」とPanasonic製「TY-CA39DA」である。
V字型に開くダイバーシティアンテナタイプのテレビ用アンテナに擬装した無線用アンテナ。ミニバンではルーフに、セダンではリアガラスに取り付けられていることが多い
元来のテレビ用アンテナは、2つのエレメントをもつダイポールアンテナなので、2芯ケーブル(2本のケーブルがひとつにまとまったもの)であるが、無線用はモノポールアンテナ(つまり、エレメントの片方は用いられておらず、ただの飾り)であるので、ケーブルが1芯であるという特徴がある。また、エレメントの長さも、使用周波数帯域に合わせるためテレビ用より少し長く設計されており、エレメント収納時の長さ調節用スリーブが付いているという特徴がある。
3.TLアンテナ
昔の自動車電話用アンテナに擬装したアンテナである。携帯電話の普及に伴い、自動車用電話は廃れて久しいため、現役で見かけるこのタイプのアンテナは無線用かあるいは飾り(アンテナを装飾品として装着する方もいるため)である。秘匿性はもはやゼロなので、今では捜査用車両ではなく、幹部用車両や移動用車両に用いられていることがほとんどだ。
自動車電話用アンテナに擬装した警察無線用アンテナ。この車両は幹部用車両である
4.アマチュア無線用アンテナ
アマチュア無線用のモノポール(針金型)アンテナ。元々無線用アンテナなので「擬装」ではなく本来の使い方というべきなのだが、車種や設置方法次第では秘匿性が高いものもある。サガ電子や第一電波工業のものが多く用いられている。
アマチュア無線用アンテナを流用した警察無線用アンテナ。細くてコンパクトであるため、案外目立たない
アンテナによる見分けは、たくさん観察し、数をこなすほどにその精度はアップする。画像ギャラリーのサンプルも合わせてご覧いただきたい。
さて、細かすぎる覆面の見分け方、今回はその沼の入り口部分を紹介した。次回は、赤色灯の脱落防止ピンや内装装備(クリップやサイレンアンプなど)を紹介し、さらなる沼の深みへとご案内したい。それまで、今日の見分け方を実践してみていただき、覆面パトカーウォッチの楽しさを体験していただければと思う。
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もっとパトカーについて知りたい方は『平成~令和新時代 パトカー30年史』もご覧ください。『平成~令和新時代 パトカー30年史』はこちら
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みんなのコメント
でも、大体水色の制服を着た奴が2人乗ってたら覆面
後は必要以上にスピードを出さないのが一番
アンテナからの配線が、リアウインドウの溝を這っていたり、なぜかアンテナがトランクに貼り付いていたり…。
アリオンのA20エンブレムを敢えてつけて、0の部分にカメラが埋め込まれている公安仕様なんてのも東京では見られました。
何より、年式の割に車体がきれいなので、変なオーラを放ってますね。