中国ではいまだに特別なクルマとして認識されている
2021年4月、上海モーターショー会場にて、一汽トヨタ クラウン クルーガーと、一汽トヨタ クラウン ヴェルファイアがデビューし、話題となった。クラウン クルーガーは広州トヨタで生産され販売されている、ハイランダーの一汽豊田製造版の兄弟車。クラウン ヴェルファイアは言わずとしれたアルファードの兄弟車であり、中国での現地生産はされていないものの、アルファードが広州トヨタのラインアップであり、ヴェルファイアは中国市場では一汽豊田のラインアップとなっていた。そして今回クラウン ヴェルファイアと改名して、いわば再デビューを果たしたといっていいだろう。
全店扱いでも「クラウン」は売れず! 「ステイタス」の高さゆえに悩める「王冠マーク」のゆくえ
セダンのクラウンは12代目(ゼロクラウン)が、2005年から中国で現地生産され販売されていたのだが、その後モデルチェンジを行いながら2020年に生産を終了している。
筆者の経験からすれば、華南地区となる広州市内で8代目クラウンセダンを大切に、きれいに乗っているひとを結構な頻度で見かけることがいまもできる。聞いた話では、鄧小平が進めた、中国の改革開放経済のなかで、いち早く経済開放を進めた華南地区で成功した企業経営者がこぞって、クラウンセダンに乗ったという。そのため一定年齢以上の中国の人にとっては、“クラウン=成功の証”のような存在となっており、ゼロクラウンの現地生産開始は歓迎のなかで始まり、非常によく売れたとのこと。
その後も中国が経済成長を続けたことは周知の事実だが、その過程で、経営者も世代が若返っていき、“クラウンブランド”もだんだん弱まっていくこととなった(どちらかといえばレクサスへシフトしていったようだ)。それでも今回あえて、クラウン クルーガーやクラウン ヴェルファイアとしたのは、やはりいまでもなお、それなりの“クラウンブランド”が中国では大きいことがあったからなのではなかろうか。
中国におけるトヨタの現地合弁会社は、広汽豊田(広州トヨタ)と、一汽豊田(FAWトヨタ)の2社。たとえば、今回のクラウンクルーガーは一汽豊田製造・販売となるが、一方で広州トヨタでは、アメリカなどでもお馴染みのハイランダーを現地生産し、販売している。ほかにも、カローラは一汽豊田で現地生産され、その広州トヨタ版の兄弟車としてレビンがラインアップされている。
また、RAV4は一汽豊田で生産されているのだが、広州トヨタではそのライバル車としてワイルドランダーを生産し販売。カローラに対しレビンというのは少々違和感があるし、グローバル戦略車でもあるRAV4に対してワイルドランダーでは、どうしても名前負けしてしまう。その意味でも今回は“クラウン”と名乗り、名前負けしないようにしたのかもしれない。
正規輸出などされていない国でもクラウンは人気だった
以前、韓国ソウル市内の新車ディーラーをアポなし訪問で取材したことがある。その時ソウル市内のレクサスディーラーも訪れたのだが、過去に新進自動車というところで、クラウンが韓国国内でノックダウン生産されていたという話を聞いた。そのため年配のひとで企業経営をしているような、いわゆる富裕層からは、「過去にクラウンに乗っていた」という郷愁のようなものがあるという。そして若手経営者のなかにはアメリカ留学の経験があるひとも多く、アメリカで人気が高いということで、韓国国内でもレクサスの人気は高いといった話を聞いた。
また、これはだいぶ前の話になるが、大学3年生の夏休みに2カ月弱ほどアメリカ大陸をひとり旅した際に、絶対やりたいこととして、アメリカの自動車ディーラーでカタログ交換することを計画した。
日本からは、R32GT-RやフェアレディZ、エディマーフィが載っているセリカ、そしてクラウンなどの“日本的な”カタログをアメリカに持って行き、サンタモニカ通りにある(ビーチに結構近い所)トヨタディーラーを訪れ、カタログ交換したい旨を伝えると大歓迎された。
そのとき、数名のセールスマンが日本のカタログを見て盛り上がっているなか、「オレの家でクラウン乗っていたんだよ」と話しかけてくれた。じつは1955年に国内デビューした初代クラウンは、1958年から対米輸出を行っていた。そして、まだカリフォルニア州トーランスにあったころ、米国トヨタ博物館を訪れると、3代目後期型のクラウン(北米仕様)が置いてあった。
話は変わり、10年ほど前にドバイへ行ったときのこと。現地のクルマ事情を取材している際に、思いがけない出会いもあって、砂漠のど真ん中にある、アルカイダもアフガニスタンからクルマを買いに来る“闇マーケット”(詳しいことは聞かない約束で連れていってもらった)へ行けることになった。マーケット近くで、筆者の乗っているランクルにふたりの中央アジア系の男性が乗ってきて、筆者が日本人だとわかると「ランクル2台売ってくれ」と訳の分からないことをいいながら握手してきた。あとで聞くと「アフガニスタンからきたというから、たぶんあのふたりはアルカイダだよ」との説明を受けた。
マーケットの入口には自動小銃を構えた警備員がおり、敷地内には日本から輸出された、ありとあらゆる車種の中古車が置いてあった。そのなかで、砂漠の砂を被ったクラウン(マークII、チェイサー、クレスタもあった)が置いてあった。聞くところによると、「中東ではイラク人だけが直列6気筒エンジンが好きなんだよね」と説明してくれた。当時はイラク戦争の真っただ中ということもあり、取り引きが滞り売れ残ってしまったとのことであった。
ロシアのモスクワでは、「日本のVIPセダンが大好きだ」という、声をかけてきたかなりの親日派ロシア人が、日本から中古車としてロシアに輸出されたと思われる、紺色の8代目クラウンセダン(右ハンドル日本仕様)に乗っていた。
あちこち海外をブラブラしていると。クラウンのことを良く知っている外国人や、クラウン自体に意外なほど出会う。いまでも香港のタクシーはクラウンコンフォートばかりである。国内専売車のイメージの強いクラウンであるが、意外なほど海外での知名度は高い。ただ、ここ最近は中国で現地生産して販売されていた以外は、国内専売に近い状態であったので、過去に販売されていた国において、クルマ好きの間では“ミステリアス”な存在となり、神格化されているようにも見えてくる。やはり、クラウンは特別な存在だと、海外に出かけたときのほうが強く感じることが多いのだ。
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