地球環境保全の一環として乗用車の排出ガス中の二酸化炭素削減が、世界の自動車メーカーの大きな経営課題となっている。その解決策がパワートレーンを電動化する次世代車だが、どうにも普及率が低調なままだ。その理由は何なのだろうか。
“次世代車”という言葉は長く使われてきたが・・・
「次世代自動車」とひと言で言ってもどんなクルマを指すのか、自信を持って答えられる人は少ないかもしれない。購入補助金の交付やインフラ整備の促進など、次世代車の普及事業を行う次世代自動車振興センターによれば、ハイブリッド車(HV・HEV)やプラグインハイブリッド車(PHV・PHEV)、電気自動車(EV)や水素自動車(FCV)を次世代車としている。
●【くるま問答】ガソリンの給油口、はて? 右か左か、車内からでも一発で見分ける方法教えます(2020.01.21)
いずれも走行用の動力源に電気駆動のモーターを採用し、駆動用バッテリーの大きさ、外部からの給電機構の有無、発電用燃料の違いといえる。
日本ではHV、EV、FCV、PHEVを次世代車として、このうち堅調に売れているのはHVだ。2018年の新車販売台数が約527万台で、そのうちHVは約146万台となり市場シェアは27.6%に上る。新車の4台に1台がHVという計算だ。だがHV以外の販売台数は少なく、EVで約2.3万台(登録車と軽自動車)、PHEVで約2.1万台、FCVで約600台と大きく差をつけられている。
EV、FCV、PHEVの販売台数の少なさは、主に車両価格の設定、車種の少なさ、電気や燃料補給場所の少なさなどが考えられる。
次世代車の車両価格は高価だ。例えば2018年8月発売の三菱 アウトランダーPHEV Gグレードの車両価格は418万2840円で、2.4Lエンジンを搭載したアウトランダー 24Gグレードの価格は307万7460円と、その差額は約110万円にも及ぶ。この差額だけ見ると高価に感じるが、筆者とすれば性能面以外にも、移動できる電池「給電機能」を持つアウトランダーPHEVの魅力は差額以上と考える。しかし、この機能・性能を一般ユーザーに訴求するのはなかなか難しいのかもしれない。
いずれにせよベース車より高価な価格設定が、購入の足かせになっていることは想像に難くない。もちろん国や自治体から購入補助金を受け取れる制度があるので、差額は小さくなる。次世代車の購入を検討しているのなら、一度ディーラーに足を運んで、実際の支払金額を確認してみると良いだろう。
次世代車の車種の少なさも、普及を阻害する原因のひとつだった。HVは1997年のプリウスにはじまり、ミニバンやラグジュアリーセダン、SUVなどへと広まり、それこそ数え切れないほどの車種数、価格レンジの広さを誇るにまで成長したジャンルだ。これに対してEVやPHEV、FCVは、日産 リーフやトヨタ プリウスPHV、ホンダ クラリティフューエルセルなど、2018年時点で国産乗用車は限られたモデルだけだった。
ところが、この状況は2020年に入ってから大きく変化してきた。2020年5月にトヨタ RAV4 PHVが、8月にEVのホンダeが発売され、マツダ MX-30のEVや日産 アリアの登場も予告されている。輸入車の動向も活発で、すでに発売されているテスラ モデルXやジャガー Iペイス、メルセデス・ベンツEQCなどに加え、ポルシェ タイカンやプジョー e-208、DS3 クロスバック EテンスなどのEVが発売された。FCVにおいてはトヨタ ミライもモデルチェンジを予定している。韓国の現代自動車がSUVタイプのFCV、ネッソを導入するのではないかというウワサもあり、いずれにしても次世代車の車種展開は拡大してくるだろう。
次世代車の普及の進まなかった原因のひとつとして、需要に対して供給が追いついていない点も挙げられる。5月に発売されたトヨタ RAV4 PHVは人気のあまり、2020年生産予定台数を1カ月弱で売り切り、2020年11月現在では受注を停止している。この原因は、搭載するためのバッテリ—が足りないからだと言われているが、その生産能力増強のための投資は難しい事情があるようだ。
駆動用バッテリーの研究開発が進み、現在の主流であるリチウムイオン電池の先の技術として全固体電池の登場が控えている。数年以内に実用化されると目論まれているため、いくら現行モデルの受注が好調でもリチウムイオン電池のための投資は難しいのだろう。今後、生産能力を高められた全固体電池の実用化にめどが立てば、次世代車の拡販にもつながると考えられる。
次世代車のエネルギーは電気や水素だが、その補給ポイントが少ないことも要因のひとつだ。
近年はガソリンスタンドの閉店が相次いでいて、資源エネルギー庁の統計によると2019年3月時点で約3万カ所にまで落ち込んでいる。
対する充電スタンドはGoGoEVの最新データによれば普通充電、急速充電を合わせて約2万カ所に上る。しかも設置場所はカーディーラー、コンビニ、道の駅、大型ショッピングセンターなどドライブ先であることが多く、充電スタンドを探す手間はかなり少なそうだ。ただし急速充電スタンドは8000カ所弱と少なく、EVに満充電をするには自宅に充電設備を設置する必要があるだろう。
FCVの水素ステーションの設置数は全国的にもまだ少なく、一般社団法人次世代自動車振興センターの統計によれば2020年8月時点で133カ所に留まり、内訳は首都圏で51カ所、中京圏37カ所、関西圏16カ所、北部九州圏13カ所、ほか地域16カ所だ。FCVは、大都市圏以外での運用が厳しい実態といえる。
次世代車のエネルギー供給地点として、数だけを見れば一番普及しているのは充電スタンドで、ガソリンスタンドの70%近くにまで設置数が増えている。今後の次世代車の主役はEVになるであろうと予測できる。(文:猪俣義久)
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