ランクル、ハイラックス、トライトンなど最近、日本でも注目が高まっているクロスカントリー車が、飛んで跳ねてぐいぐい曲がる!「XCRスプリントカップ北海道」を初観戦。乗用車系ラリーイベントとはまたひと味違う、迫力満点の激走ぶりはなかなかに見ものです。(写真:原田 淳 圭rallyproject、神原 久 Webモーターマガジン編集部)
カテゴリー、サイズ、搭載エンジンなど多彩なバリエーション
はじめに白状しておきますが、観戦の主たる目的は三菱トライトンで参戦している自動車評論家 竹岡 圭さんのチーム「圭 rallyproject」の「個人的」応援です。おかげで、メディアパスなし仕事抜き。思い切りふらりと訪れた今どきのラリー観戦でしたが、十分楽しむことができました。
●【くるま問答】ガソリンの給油口は、なぜクルマによって右だったり左だったりするのか
2022年から始まった「XCRスプリントカップ北海道」は、JAF規定に則って開催される競技会です。そのイベントタイトルどおり参加車両は最近、日本でもとみに注目を集めているクロスカントリー(略してXC)車が中心となります。
シリーズの参加車両規定で定義される「XC車両」とは、「シャシーにラダーフレーム構造を持つ⾞両およびモノコック構造でも同様のシャシー剛性を持つと本シリーズ事務局が認めた」車両です。
全高が160cmを越える車両が基本で、タイヤについても指定された銘柄のものしか使えません。しかもMT(マッドテレーン)とHT(ハイウェイテレーン)は禁止されています。
ちなみに今回、観戦した第4戦(ラリー北海道と併催)に参加した車両は、ランドクルーザー1台、トヨタハイラックス4台、三菱トライトン2台、さらにスズキ ジムニーとジムニーシエラというラダーフレーム勢に加え、マツダ CX-5、トヨタ ライズ など、よく見れば今どきかなり人気のSUVたちが17台も揃っていました。
さらに三菱勢としてはエクリプスクロスとアウトランダーのPHEVまで激走するということで、パワートレーンひとつとっても驚くほどバラエティ豊か。総計17台の顔触れだけ見ても、そうとう面白くなりそうな予感があったわけです。
お目当ての竹岡 圭さんが駆る三菱トライトン(正式マシン名:圭 rp×TOYOTIRE×三菱トライトン・通称モモ//トン号)はと言えば、XC-2クラス(カタログ表⽰の⾞両重量が2,000kg を超えるXC ⾞両、および気筒容積2,000ccを越えるSUV⾞両)で参戦しています。直接的なライバルはランクルとハイラックス、CX-5になるようです。
タイヤは、トーヨータイヤの「オープンカントリー R/T」(サイズは265/70R17)をチョイス。こちらは、「R/T:ラギッドテレーン」という比較的新しいカテゴリーに属しています。
基本性能は、ラフロードでのトラクション性能をやや重視したオールテレーン:A/T的特性といったところでしょうか。オンオフ問わない優れたバランスの良さが魅力で、都会派だけど時にはオフロードも楽しみたい、というクロカンユーザーにお勧めしたい「遊び心」に富んだタイヤ、と言えそうです。
インパクトたっぷりのカラーリングで人気の「モモ//トン号」
仕事&プライベートの都合が立て込んでいために、帯広に入ったのはラリーイベントDAY1の夜となってしまいました。本当は、帯広駅前の平原通り(西2条通り)と駅北多目的広場で開催されたラリーショーや、セレモニアルスタートも観たかったのですが、残念!
竹岡さんのレポートによれば、モモ//トン号は大変な注目を浴びていたそうで、即席で始めたサイン会では約200名に対応したということです。応援してくれるギャラリーの中からは「三菱自動車がラリーに帰ってきてくれて嬉しい」とか「RALLI//ARTの文字をラリー会場で見ることができて感動した」といった声が聴かれたようです。
そういえばなんで「モモ//トン号」なのかと言えば、写真まま。ご覧のとおり「ドピンクのトライトン」だから、に他なりません。
そうですね・・・もしもXCRスプリントカップに「インパクトクラス」みたいなカテゴリーがあったとしたら、文句なくクラス優勝でしょう。トライトンに限らず、エクリプスクロスとかアウトランダーにも似合いそうです。もしも愛車を同じカラーリングにデコレートしても竹岡さん&三菱さん的には大歓迎だと思いますので、興味のあるオーナーさんはぜひ。
XCRスプリントカップに限らず、全日本クラスのラリーイベントはプライベーターが思い思いにコンペを楽しむ、のんびりした雰囲気も魅力のひとつではないか、と思います。だからカラーコーディネイトで魅せるアピールだって、あり!なんです。あるいはたとえば昔のTTとかで参戦するような、カッコいい「物好きの道楽」ぶりには、心から拍手を贈りたいところです。
ちなみに「圭 rallyproject」は竹岡さんのプライベートチームです。ドピンクは、フォルクスワーゲン・ポロなど、歴代の「圭」マシンたちに継がれるアイコニックなカラーで、その理由は「好きだから」(竹岡さん)と極めてシンプル。まあ、女の子はたいがい好きですよね。
付け加えるなら、コ・ドライバーを務める山田政樹さんも、車体と同系ながら薄めなピンクのポロシャツがとても似合っていました。
マシン製作とメンテナンスを担当するのは、茨城県石岡市のレーシングガレージ「グローバルモータースポーツ」。代表の神田誠さんが、チーム監督兼チーフメカニックを務めています。さらに宮入友秀さん、小山尚二さん、小野寺徹さんというレース業界では定評のあるメカニック勢が強力にサポートします。
来シーズンは「観光」ついでの「応援観戦」もあり、かも
さて、スタッフブログなのに前置きだけでずいぶん長くなってしまいましたが、DAY2は、池田町の野球場?を利用したSSS(スーパーSS)で観戦することにしました。
広々としたフラットダートにくねくねタイトコーナーと360度ターン×2回転が設定された、トリッキーなハンドリングコースです。観客席はどこに座ってもコース全体を見回すことができるので、なかなか観やすいですね。
走行順はまずはラリー北海道参戦の国際格式カテゴリーの面々から走り、国内シリーズのJN-1クラスが続きます。併催となるXCRマシンたちは最後のセットということで、トップからほぼ1時間以上を待つことになります。
コースは短めだし間が空いて出走するので「退屈するかな」と思いましたが、そんなことはなし!全日本戦も多彩なマシンが参戦しているおかげで、それぞれの「特性を生かした」アタックを眺めていると、これが楽しいんです。
FFあり4WDあり、FRありということで、サーキットのような「ベストライン」はあまり追求されていない感じで・・・どちらかといえば、タイムを狙った堅実な走りよりも、「気持ち良ければそれでよし!」的な思い切りの良い攻めの姿勢のほうが、観ている方は興奮することができますね。
ただ途中からちょっと気になったのが、「こんなタイトなコースだと、全長5m超&ホイールベース長めのでっかいハイラックスとかトライトンは苦手なんじゃない?」ということ。デミオとかスイフトとかが気持ちよさそうに土煙を上げているシーンを眺めていると、だんだん心配になってきたりして・・・全部、杞憂でしたけど。
大柄&背高なXC-1/XC-2クラスのマシンたちの走りは、サイズの小さなクルマたちとは全く違った、ダイナミックな迫力に溢れていました。そもそもオシが強いマシンぞろいなので、当たり前と言えば当たり前なのですが。
軽快な身のこなしで・・・とはもちろん言えませんが、引き締まった剛性感あふれる走行姿勢で、タイトなコーナーを気持ちよくクリアしていきます。少なくともクローズドのコースにあっては、振り回す楽しさにサイズは関係ないみたいですね。
竹岡さんによれば、とくに林道コースでのトライトンはベストセッティングとは言えないまでも、そうとうなペースで攻めることができたそうです。対する池田SSでは、アンダーステアと格闘するシーンもあった、とのこと。いずれにせよトライトンが持つラリーフィールドでの「可能性」を、強く感じることができたようです。
トライトンに限らず、「XCRスプリントカップ」はスケール感の大きな北海道エリア限定のシリーズだからこその魅力も感じます。ヘビーデューティなマシンたちが目の前を生き生きと走り回っている姿に、ラリーの醍醐味を改めて実感することができました。
竹岡さん×モモ//トンは今後、来シーズンに向けての活動を開始する、とのこと。北海道旅行のついででもいいんです。もしもスケジュールが合うタイミングだったら来シーズンは、人気クロカンたちのちょっとした「冒険」を応援しに行ってみるのも楽しそうです。
[ アルバム : 圭rp×TOYOTIRE×三菱トライトン はオリジナルサイトでご覧ください ]
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