■日本市場では不人気車となった輸入コンパクトカーを振り返る
2022年2月8日に、韓国最大の自動車メーカーである「現代(ヒョンデ、かつてはヒュンダイと表記)」が、12年ぶりに日本市場で乗用車を販売すると発表しました。
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今回の発表に際して、まずは電気自動車(EV)の「IONIQ 5(アイオニック 5)」、燃料電池車(FCEV)の「NEXO(ネッソ)」の2車種から展開することも明らかになっています。
ヒョンデは2001年に初めて日本市場に参入し、コンパクトカーの「TB」や大型セダンの「XG」など、輸入車ながら低価格だったことから好調な滑り出しだったものの、次第に販売は低迷し、2010年に日本での乗用車販売から撤退してしまいました。
一般的に高額な輸入車は、販売台数も国産車と比べて少ないのは当然のことです。しかし、安価なコンパクトカーならば十分に売れそうですが、そう簡単な話ではなく、過去にも日本へ投入されたコンパクトな輸入車で、ヒットすることなく消えていったモデルが存在します。
そこで、日本市場へ投入されるも販売が低迷した輸入コンパクトカーを、3車種ピックアップして紹介します。
●フォード「Ka」
アメリカのビッグ3のひとつであるフォードは、古くから世界進出を果たしており、欧州でも半世紀以上前から開発と生産の拠点を置いていました。
そして、欧州フォードは独自の車種を展開してきましたが、そのなかの1台が1996年に誕生した「Ka(カー)」です。
Kaはコンパクトな3ドアハッチバックのベーシックカーとして開発され、曲面と曲線によって構成された台形のフォルムを採用し、個性的なデザインが特徴のモデルでした。
発売当初に搭載されたエンジンは、最高出力60馬力の1.3リッター直列4気筒OHVと、当時としてもかなり時代遅れでしたが、後にSOHCエンジンに換装されました。
日本では1999年に右ハンドル仕様のみが発売され、国産コンパクトカーと同等のサイズで装備も充実し、価格も150万円(消費税含まず)からと輸入車ながら戦略的な価格設定でした。
ところが、トランスミッションは5速MTのみの設定で、これが致命的な問題だったことから販売は低迷し、発売からわずか2年後の2001年に日本での販売を終了しました。
英国でKaは大ヒットを記録し、高性能バージョンである「スポーツKa」や、オープン2シーターの「ストリートKa」が追加されるなど、バラエティ豊なラインナップが展開されました。
その後、2008年に比較的オーソドックスなデザインの2代目へとバトンタッチし、2014年には3代目の「Ka+(プラス)」が登場しましたが、欧州でも2021年に生産を終了しました。
●スマート「フォーフォー」
ダイムラー・ベンツ(当時)とスイスの時計メーカーのスウォッチが共同で、1994年に新たな自動車メーカーとしてMCC(マイクロカーコーポレーション)を設立しました。
その後、1998年に「スマート」ブランドから、2人乗りのマイクロカー「シティークーペ」(日本では「スマート クーペ」)が登場。非常にコンパクトなサイズのシティコミューターながら、強固なモノコックシャシ「トリディオンセーフティセル」の採用によって高い安全性を確保し、優れた経済性も相まって欧州で大ヒットを記録。
日本では2000年から正規輸入され、日本の道路環境や駐車場事情にマッチしたサイズと独特な乗り味などから人気を集めました。
そして、シティークーペの成功に続く次の一手として、2004年に5ドアハッチバックで5人乗りの「フォーフォー」を発売。同時にシティークーペも「フォーツー」へ改名されました。
フォーフォーは、提携関係にあった三菱のコンパクトカー「コルト」のプラットフォームをベースに開発され、日本でも同年に販売を開始。
ボディサイズはコルトと同等ながら、スマートならではのポップなデザインと配色が特徴的で、エンジンはRRのフォーツーとは異なりフロントに搭載するオーソドックスなFFを採用し、日本仕様は三菱と共同開発した1.3リッターと1.5リッターの2タイプがラインナップされました。
実用的なコンパクトカーとして発売されたフォーフォーでしたが、フォーツーが登場した時ほどのインパクトはなく、価格も同クラスの国産車よりも30万円から50万円ほど高額でした。
さらに独特の変速フィーリングを伴う6速ロボタイドMTのトランスミッション(欧州仕様では通常の5速MTも設定)も、フォーツーでは受け入れられたものの、フォーフォーでは評判が悪かったこともあり、販売は極端に低迷しました。
欧州でもまったく人気とはならず、登場からわずか2年後の2006年にフォーフォーは生産を終了し、短命に終わりました。
その後2014年に、スマートとルノー、日産の共同開発で、RRを採用した2代目フォーフォーが復活。ルノー「トゥインゴ」の姉妹車として開発され、どちらもヒット作となりましたが、フォーフォー(ガソリン車)は2019年に生産終了となりました。
●シボレー「ソニック」
米GMが展開しているブランドのひとつに、シボレーがあります。シボレーというと「コルベット」や「カマロ」といったスポーツカーを真っ先にイメージしますが、かつてはミニバンの「アストロ」が日本で展開され人気となり、ほかにもスズキと提携してシボレーブランドで販売した「スイフト」ベースのコンパクトカー「クルーズ」や、「ワゴンRソリオ」ベースのトールワゴン「MW」が存在しました。
さらに、スズキのOEM車ではないシボレー独自のコンパクトカーとして、「ソニック」が2011年に日本で発売されました。
日本に導入されたソニックはGM韓国で生産された2代目で、5ドアハッチバックのボディはグローバルカーだけあって全長4050mm×全幅1740mm×全高1525mmと、日本では3ナンバーサイズでしたが、現行モデルのホンダ「フィット」とほぼ同サイズです。
外観は安定感を強調したロー&ワイドなフォルムで、特徴的な丸目4灯のヘッドライトを配置したフロントフェイスが斬新かつワイルドな印象でした。
内装もアナログの大型タコメーターとデジタルのスピードメーターを組み合わせたコクピットによって、スポーティさを演出。
日本仕様のエンジンは最高出力115馬力を発揮する1.6リッター直列4気筒のみで、トランスミッションは当時の同クラスでは珍しい6速ATを設定し、装備も充実していました。
しかし、日本市場では1.6リッターエンジンだと自動車税が高くなり、価格(消費税5%込)も189万円からと比較的高めの設定だったことから人気とはならず、2016年1月に日本での販売を終了。グローバルでは2020年まで生産されましたが、後継車はありませんでした。
なお、前述のとおり日本人がシボレーに抱くイメージはスポーツカーであり、現在はコルベットとカマロの2モデルのみが日本で販売されています。
※ ※ ※
日本の自動車市場ではコンパクトカーがトップセラーに位置するほど人気で、輸入コンパクトカーにとってかなりの強敵が迎え撃つことを覚悟しなければなりません。
日本のコンパクトカーは経済性や安全性に優れ、「かゆいところに手が届く」ような装備も充実しているので、単にボディサイズや価格帯が同じだったとしても、輸入車ならではの特色がないと日本で成功するのは厳しいでしょう。
冒頭にあるとおりヒョンデが再上陸しましたが、今回はEVとFCEVという日本ではまだまだニッチな市場を狙っており、今後の動向に注目が集まりそうです。
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みんなのコメント
輸入車は、よっぽどきちんとしたブランドが構築されないと厳しいよね。
韓国車は、車の出来、不出来の問題ではなく門前払いの心境。
日本人の価値観を調べて、顧客目線の売れる車種に変更、開発しなかった、戦略ミス。