下半期は時代の潮流に合わせた新型モデルが続々登場した
2020年は新型コロナウイルス(COVID-19)にただひたすら翻弄された一年となりました。トヨタのように、この状況でもしっかり利益を出している自動車メーカーもありますが、それは例外的で、多くの自動車メーカーは厳しい状況にあります。
超話題の「GRヤリス」! エンジンも駆動方式も違うものもある「4グレード」展開の買いとは?
そのうえで、100年に一度といわれる自動車業界の変革はスピードアップしています。上半期の重大ニュースでは、2月にイギリスが2035年以降のエンジン車の販売禁止を宣言したことを取り上げましたが、気が付けば2030年に前倒しするという流れになっていますし、日本でも菅首相の所信表明演説において2050年までのカーボンニュートラル(実質的なCO2排出量をゼロにすること)を実現するという宣言がありました。
また、2021年には世界で初めて自動運転レベル3の機能を搭載した量産自動車としてホンダ・レジェンドが登場することが、国土交通省から発表されるなど日本政府は自動運転の分野においてもリーダーシップを発揮しようとしています。
そんな2020年下半期、自動車業界の重大ニュースを月別にピックアップしてみましょう。
7月:日産アリア発表、水冷バッテリーを新採用
あらためて振り返ると、日産自動車が7月に完全ブランニューの電気自動車「ARIYA(アリア)」を発表したのは、2020年の出来事として記憶しておくべきでしょう。写真で見ると大きくみえるボディでずが、実際には全長4.6m程度の身近なサイズのSUVで、そのなかに最大で90kWhものバッテリーを搭載しているというのは、パッケージのすごさを感じさせます。おもえば2020年12月には日産がリーフを発表してからちょうど10年になったのですが、そうした経験が活かされているのだとも感じます。
さらにアリアについては水冷バッテリーを採用することで、温度管理をしっかりとしているというのも注目点。バッテリーは適温を維持することがパフォーマンスの面でも、寿命においても重要なファクターとなります。バッテリー温度管理については“なりゆき”任せのリーフで苦労したであろう日産の知見がどのように入れ込まれているのか。第二世代の電気自動車の性能に注目です。
走りの面での注目ポイントは「e-4ORCE」とネーミングされた電動4WDテクノロジーです。前後独立モーターによる駆動力と回生ブレーキを、完全に個別にコントロールすることで姿勢制御に活用するということですが、これまた「アテーサE-TS」の進化形と考えると電動化時代の日産GT-R像が思い浮かびます。エンジン車がなくなるという未来が具体的に提示された2020年ですが、電動化によって走りの楽しさがアセンションすることは間違いなさそうだからです。
8月:スバル・レヴォーグの超絶ハンドリング
とはいえ、リアルタイムにいえばエンジン車の時代であることも事実です。そのエンジン車ではダウンサイジングターボが当たり前となっているのが現状ですが、完全新設計の1.8リッターターボエンジンを積むステーションワゴンとしてスバルから登場した新型レヴォーグは、走りの次元が上がっていたことに驚かされた一台でした。正式発表は10月でしたが、8月にはプロトタイプの試乗ができました。
じつは当初は新型アイサイト(スバルのADAS技術)の体験試乗という触れ込みでしたので、おそらく手放し運転の体験をするくらいなのだろうな、とさほど走りの本質には期待をせずに試乗会場となった日本自動車研究所を訪れたのですが、実際にはパイロンスラロームによって、そのパフォーマンスの片りんを味わうこともできたのです。
新型レヴォーグのSTI Sportグレードに設定された「ドライブモードセレクト」は、エンジン・トランスミッション・サスペンション・4WD制御といった走りに関わる要素を可変させるもので、開発者が「キャラ変を楽しんでほしい」というほど、実際のパフォーマンスが大きく変わるのがセールスポイント。そして、パイロンコースで味わったレヴォーグのキャラ変は、予想以上でした。乗り心地がよく、マイルドに走れる仕様からシャープなハンドリングが楽しめる仕様までワンタッチで切り替わるさまは、これまでの質実剛健的なスバルのイメージさえも大きくキャラ変させてしまうほどインパクト大。
ガソリンターボと多板クラッチのトランスファーという従来型のパワートレインであっても電子制御でここまで走りを切り替えることができるというのは驚きでした。もちろん、そこには微細な違いを再現できるしっかりとしたボディなどの基本骨格あってのことで、そうした生真面目な作り込みはスバルらしいものなのですが、いずれにしても、純粋なエンジン車の量産車として、この域に達することができるというというのは2020年の体験として記憶に残るものだったのです。
9月:トヨタ・ヤリスが日本一売れたクルマに!
ニュースの発表自体は10月でしたが、9月の出来事として取り上げたいのは、トヨタ・ヤリスが軽自動車を含めた新車販売において総合トップとなったこと。ご存じのとおり、日本で一番売れている新車といえばホンダN-BOXの独壇場といった状況で、ここ数年の新車販売において登録車は軽自動車の後塵を拝してきました。しかり、9月にスポーツモデルであるGRヤリスの発売がはじまり、クロスオーバーSUVのヤリスクロスも含めた「ヤリス」ファミリーがそろうと、その状況は変わりました。
ヤリス・ファミリーをあわせた9月の新車販売台数は2万2066台。同月のN-BOXは1万8630台でしたから、圧勝でトップを奪いとったのです。もっとも集計が通称名別となっているため、実質的には3モデルの合計とであって、それをもってトップ奪還というのは少々ズルいと感じるかもしれませんが、それにしても「軽高登低」といわれて久しい国内市場においてはインパクトのある出来事だったのは間違いありません。
ちなみに、9月のヤリス・ファミリーの販売比率はヤリスが66%、ヤリスクロスが31%、GRヤリスが3%となっていました。GRヤリスの販売台数は700台程度、じつはGRヤリスの販売はランキングへの影響はほとんどなかったりします。
カーボンニュートラルに向けた新たな動きもみられる
10月:ホンダがF1参戦終了を発表したが……
10月2日、ホンダが突如「F1参戦終了」を発表しました。ホンダのF1活動というのは、だいたい10年程度で区切りをつけるという歴史をたどってきているので、このタイミングでの参戦終了にそれほど驚きはありませんでした。F1にかけていたリソースを「2050年のカーボンニュートラル実現」に向けるというのも、本田宗一郎氏が社長だった時代の第一期F1活動の終了目的がCVCCという環境エンジンの開発だったことにも通じるという意味ではホンダの伝統芸とも感じます。
それにしてもホンダが2050年のカーボンニュートラルを目指すと発表したのちに、菅首相が所信表明演説で同じ目標を掲げるとは予想の範囲外で、そちらのほうが驚きでした。そして、個人的には参戦終了の発表があった同日の午前中にホンダの電気自動車Honda eの試乗をしていたという偶然も重なって、自動車メーカーにおける従来型モータースポーツ全般の価値が下がっていくのを感じた日になりました。カーボンニュートラル、ゼロエミッションといった要素が不可避になっている未来に向けて、いつまでも内燃機関にこだわっていることは逆にブランド価値を下げるのではないかとも思ったのです。事実、電気自動車専業メーカーであるテスラの時価総額がトヨタを超えているというのは社会の期待があるからといえます。
また、リヤ駆動の電気自動車であるHonda eの走りが想像以上にスポーティで、走りを楽しむという点においては内燃機関にこだわる必要がないということを実感したことも、F1参戦終了を自然に受け止められた理由のひとつだったかもしれません。100年に一度という変革を一日で感じることができたのが10月2日だったのです。
11月:マツダの直列6気筒エンジンはどうなる?
こうして電動化へ向かっているわけですが、内燃機関にこだわっているのがマツダです。11月に実施した2021年3月期の第2四半期決算発表のプレゼンテーションにおいて、開発中という直列6気筒エンジンの全景とヘッドの画像を公開したのです。詳細は未公表となっていますが、ガソリン仕様とディーゼル仕様の6気筒エンジンが用意され、それぞれSUVへの搭載を前提に4WDにも対応する設計となっているようです(画像ではオイルパンを貫通する駆動系らしきものが見えます)。
それにしても、これほど急速に電動化、それもゼロエミッション化が進んでいるタイミングで、6気筒エンジンの新設を発表するというのは時代に逆行しているようにも思えます。とはいえ、マツダの「2%戦略(シェア2%でロイヤリティの高いユーザーを取り込む戦略)」からすると、逆張りともいえるタイミングでの6気筒エンジンを発表することは、それがブランド価値を高めるといえるのかもしれません。果たして、6気筒エンジンによってマツダ・ブランドはどうなっていくのか。要注目です。
12月:三菱エクリプスクロスに見る電動化時代の走り
7月のトピックスとして「e-4ORCE」を新採用する日産の電気自動車「アリア」を取り上げました。前後独立モーターによる姿勢コントロールも気になるポイントのひとつなのですが、まさか2020年内に前後独立モーターによる気持ちいいハンドリングを味わうことができるとは思ってもいませんでした。それが12月に発売された三菱自動車の新型エクリプスクロスです。
フロントマスクやテールゲートを一新するほどのビッグマイナーチェンジではアウトランダー譲りのPHEVシステムが採用されたことが話題の中心ですが、そのシステムは2.4リッターエンジンと発電用モーター、前後独立モーター(前60kW後70kW)を組み合わせたという内容になっています。このパワートレインは高速走行以外モーターだけで駆動するというフル電動といえるシステムとなっています。
そして、新型エクリプスクロスでは、その駆動力を制御することで走りを変化させる「S-AWC」を進化させたことが注目点。もっともスポーティな走りが楽しめる「ターマック」モードでは、驚くほどドライバーの意思に忠実なライントレース性能を見せてくれたのです。2tに迫ろうという重量級ボディが左右にヒラヒラと動くさまは、SUVという外観から想像できないものでした。たしかに歴代ランサーエボリューションで培ってきたノウハウが活かされていることを感じます。
しかも、電子制御によってクルマが勝手に動いているのではなく、あくまでもドライバーのイメージどおりに走るというのがポイントで、あくまでもドライバーファーストな作り込みは電動化時代であってもメーカーの知見が生きる部分であって、電気自動車だからだれでも簡単につくれるなんてことはないと実感することもできたのです。
長くなってしまいましたが、以上2020年下半期の記憶に残ったニュースを月ごとに紹介しました。CO2削減効果へ疑問を投げかけるなど、エンジン車が消えてしまうことへあらがう動きもありますが、事実として世界的なトレンドとしての電動化はますます加速するでしょう。しかし、それでもクルマを操り楽しみは存在すると実感できたのは、2020年下半期の貴重な体験だったといえそうです。自動車業界の変革が、ユーザーファーストで進化していくことに大いに期待しましょう。
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