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実用的なのに見た目も良い欧州ミニバン 10選 奥が深すぎる合理的なMPVの世界

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実用的なのに見た目も良い欧州ミニバン 10選 奥が深すぎる合理的なMPVの世界

欧州ミニバンの奥深い世界 ベスト10

ファッション性と機能性は、必ずしも幸せに両立できるわけではない。無礼を承知で、大抵のミニバンを見ればそれがわかるだろう。欧州では「MPV」や「ピープル・キャリア」などと呼ばれるミニバンだが、近年のSUVの人気やライフスタイル志向の高まりによって、販売は後退しつつある。

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しかし、まだ忘れ去られたわけではない。大家族にとっては特に、人と実用性を第一に考えたミニバンに代わる合理的な選択肢はないのだ。スペースの有効活用により、同サイズの他車よりも人やモノを載せる場所が広く取れており、さらに家族の移動にストレスを与えないような、驚きと喜びのある機能が満載されている。

ミニバンといえば7人乗りというイメージも強いが、比較的小型の5人乗りモデルもあり、人を乗せる必要はないけれど、広さと気の利いたデザインが欲しいという人にはぴったりである。さらに、商用車をベースにしたモデルも多数存在し、その箱型ボディと無骨なエンジニアリングは、家族が持てる究極の実用車として注目されている。

今回は、英国編集部お気に入りの10台を紹介したい。なお、本稿で記載のスペックや価格は英国仕様に準ずる。日本未導入もモデルも複数含まれるが、あらかじめご了承いただきたい。

1. ダチア・ジョガー

英国における生活費の高騰は、多くの家庭を苦しめている。だからこそ、ダチア・ジョガーの存在は大きい。1万5000ポンド(約255万円)以下で購入できる7人乗りの本格的なファミリーカーであり、まさに現代にふさわしいクルマと言えるだろう。しかし、ジョガーの魅力は価格だけにとどまらない。

ジョガーは、ルーマニアの自動車メーカーでルノー・グループ傘下のダチアが最近投入したばかりの新型車。決してハイテクなマシンではないが、子育て中の家族が本当に必要とするすべての要素が備わっている。5つの大人用シートと、後部にはさらに子供用のシートが2つ用意されているが、大きな荷物を積むときも簡単に折りたたむことができる。競合他社からはもっと高性能で速い、最新技術を満載したモデルも出ているが、ジョガーに乗れば、そのような余分なものは一切必要ないことに気づくだろう。むしろ、無いほうがいいくらいだ。

ダチア・サンデロという小型ハッチバックとプラットフォームを共有し(サンデロは最新のルノー・クリオがベース)、最高出力110psの1.0L 3気筒ガソリンエンジンを搭載する。倹約的なエンジンで、中速域で適度なトルクを発揮し、ギア比の高いトップギアによって経済的な長距離ドライブを実現する。7人乗りで荷物を満載にすると、どうしてもパワー不足は否めないが、交通の流れに乗ることはできる。

また、1.6Lガソリンをベースにした最高出力140psのハイブリッド車(基本的にはルノーのEテックと同じ)も選択できるようになり、燃費向上を達成している。パフォーマンスはやや強化されるが、それより多くの人にとって魅力的なのはAT車のみという設定だろう。しかし、実走行では1.0Lガソリン車と比べてやや速く、やや低燃費といった程度なので、どうしても必要でなければ標準車にこだわりたい。

乗り心地とハンドリングは期待通りの性能で、ロングトラベルのサスペンションが路面の凹凸をうまく吸収してくれる。ステアリングは正確で、激しく攻めるとコミカルなまでにボディロールが発生するものの、路面には粘り強くしがみついている。ダチア車は本国ルーマニアで製造されているが、ジョガーに関しては、親ブランドのルノーを思わせるような、ゆったりとした気楽な雰囲気が漂っている。

インテリアは寂しいもので、下位モデルの場合、スクリーンやオーディオなどは省略され、ナビゲーション用にスマートフォンホルダーが内蔵されているだけだ。しかし、上位モデルにはタッチスクリーンと純正ナビゲーションが標準装備される。さらに、自転車やルーフボックスの収納に便利な、ルーフラックとして使えるルーフバーも用意されている。

ここ10年以上、低迷する欧州ミニバンクラスを若返らせるような新型車はなかったが、ジョガーはそれを実現してくれるかもしれない。

2. シトロエン・ベルランゴ

20年以上前、約200万台の販売台数を誇るシトロエンは、商用車ベースのミニバンの先駆けとしてベルランゴを投入した。その最新モデルとなる3代目ベルランゴは、初代の風変わりな魅力と好感度を取り戻している。

さらに、英国仕様ではガソリン車とディーゼル車を廃止する(EVのみ)という決定が覆ったことで、その魅力はさらに増している。1.2Lガソリンと1.5Lディーゼルは、いずれも5人乗りのボディスタイルのみ。7人乗りが必要な場合は、ロング版のXLがあるが、こちらは最高出力136psの電気モーターと50kWhのバッテリーを積んだEVに限定され、実走行での航続距離は約180kmとなる。

動機が何であれ、従来のミニバンではなくベルランゴを購入する確かな理由がある。まず、室内は実に広々としており、至るところに合計186Lの収納スペースがあり、7人乗りでもトランクスペースは十分確保されている。リアサイドドアはスライド式で、狭い駐車場でも楽に乗り降りでき、小さな子供をチャイルドシートに乗せるのも簡単だ。

そして何より、ゆったりとした落ち着きのある乗り心地と直感的なステアリング操作で、どんな道でもリラックスして旅を楽しめる。英国仕様車の充実した装備、魅力的な価格設定、そして広々としたスペースがあれば、SUVに打ち勝つこともできる。もちろん、シトロエンというブランドがお好みでない場合(あるいは近くにディーラーがない場合)には、プジョーとヴォグゾールが同じ兄弟車を展開している。いずれも、日常使いの逸品である。

3. フォルクスワーゲン・トゥーラン

フォルクスワーゲン・トゥーランは、コンパクトなボディから大きな居住空間を提供するために生まれたクルマで、ミニバンの教科書のように感じられる。

高級感や走りにおいてBMW 2シリーズ・アクティブツアラーに及ばないし、デザインも少し魅力に欠ける。しかし、他のフォルクスワーゲンと同様、あらゆる点で機能的であり、家計を切り詰めることなく、多用途でかなり広い7人乗りのキャビンを提供する。

トゥーランは1.5LのTSI Evoエンジンを搭載している。最高出力150psを発生するが、十分満足に走らせることができ、洗練性と経済性を併せ持つ。ハンドリングはすっきりとしていて、落ち着きがあり、快適だ。

あらゆる科目で10点満点中8点を下回ることはなく、一貫性を持って教科書に書かれていることを正確に実行できる、強力なオールラウンダーとなっている。

4. フォード・トルネオ・コネクト

最近、フォルクスワーゲンと共同開発したピックアップトラックの新型レンジャーの登場が話題をさらっているが、実はフォードとフォルクスワーゲンによるコラボレーションの結果としては、トルネオ・コネクトが先である(もっと遡れば、90年代半ばのシャランギャラクシーもある)。

先代のフォード・コネクトの才能を引き継ぎ、ベルランゴ並みのスペースとユーティリティ、そして磨きのかかったダイナミクスを実現した。フォルクスワーゲンのMQBプラットフォームを、フォードの技術者が丁寧にチューニングし、驚くほど安定感のある豊かなフィールを作り上げた。エンジンは1.5Lガソリンと2.0Lディーゼルに限られるが、どちらも十分な立ち上がりと加速を実現している。

ボディスタイルは従来通り、標準的な5人乗りと、ロング版の7人乗りの2種類から選ぶことができる。どちらも広い室内空間と便利な収納を備え、スライド式のリアサイドドアが汎用性を高めている。7人乗り仕様では、2列目・3列目のリアシートを取り外すと、3100Lの大空間が生まれる。クライメートコントロールやアップル・カープレイをはじめ、上級モデルにはシートヒーターやキーレスゴー機能が追加されるなど、充実した装備も魅力だ。

全体的なインテリアデザインは、フォルクスワーゲンの風味が強すぎるのが気になるところ。確かに、スマートなスタイルと製造品質は悪くないが、タッチセンサー式のヒーターコントロールに照明がついていないのは、実に惜しい。夜は使いづらく、暗闇の中を手探りで温度調整するしかない。標準装備のレーンキープアシストに感謝することになるだろう。

とはいえ、実用的なフォード車の魅力を鈍らせるほどではない。また、やっぱり「VW」のエンブレムがいいという方には、兄弟車のキャディもある。

5. フォルクスワーゲン・マルチバン

商用車ベースのミニバンだが、フルサイズのマルチバンは大家族にぴったりのクルマだ。フォルクスワーゲンの新型T7をベースにしており、80年近いTシリーズの歴史の中で、最もスタイリッシュで乗用車らしいモデルであることは間違いないだろう。

プラットフォームは商用車専用ではなく、MQBを採用しており、ゴルフをそのまま大きくしたかのような安心感と快適性、洗練された走りを実現している。ステアリングは正確で、ボディコントロールは良好、乗り心地はしなやか。もし、助手席に座っていたら、バンに乗っていることは分からないかもしれない。

1.5Lガソリンと2.0Lディーゼル、そしてゴルフGTIの2.0 TSIというパンチの効いたエンジンラインナップが、マルチバンを強力に支えている。また、PHEVも用意され、電気のみでの航続距離は約50kmとされている。

室内は、他のミニバンが夢見るような柔軟性を備えた、広大な空間だ。7つのシートがあり(少なくすることも可能)、後部座席はスライド、回転、折り畳みが可能だ。シートを取り外せば(1脚15kgと決して軽くはない)、週末に引っ越しサービスを行えるほどの広さになる。また、収納スペースも充実しており、家事や育児に追われながら溜め込んでしまった小物や雑貨を隠すことができる。さらに、スライド式のサイドドアを採用したことで、乗り降りは自由自在だ。

問題があるとすれば、それはゴルフやID.3と同じように、照明のないタッチセンサー式のヒーター/ベンチレーションコントロールだろう。研究開発を重視する企業にとって、このセットアップは人間工学的に悪夢のようなものである。

それ以外は、広々として快適な、見事なピープル・キャリアである。しかし、価格は4万ポンド(約685万円)強から始まり、7万ポンド(約1200万円)という理解に苦しむ領域にまで踏み込んでいる。

6. フォードSマックス

フォードは、欧州で古典的なミニバンにこだわっている数少ないメーカーの1つだが、それは古いモデルを長く生産し続けることを意味する。現行型のSマックスは2015年から生産されており、旧式化しつつあるが、新しいハイブリッド・パワートレインとインフォテインメントのアップデートにより、新しさを保っている。

先代は驚くほど良い走りと風変わりなルックスをセールスポイントとしていたが、そうした個性は単調な2.5Lガソリンベースのハイブリッドによってやや薄れてしまった。しかし、それでも競争力のある、運転が楽しいファミリーカーであることに変わりはない。また、最高出力190psとパワーがあるため、不足を感じる場面は少ないだろう。

Sマックスを選ぶ理由は見つけづらくなっており、先代が持っていたダイナミクスや目を引くデザインはほとんど失われ、商用車ベースの他車の影に隠れている。しかし、この経済的に厳しい時代でも、フォードのディーラーは在庫を片付けるために積極的な販売をしたいと思うだろうし、それなりの割引があれば、快適で実用的なマシンとして大いに期待できる。

7. BMW 2シリーズ・アクティブツアラー

衰退しつつある分野で、高級車ブランドであるBMWがミニバンにこだわっているのは、いささか驚きである。実際、最新の2シリーズ・アクティブツアラーは、単なる先代のフェイスリフトではなく、現行の1シリーズをベースにしたまったく新しいマシンだ。その結果、上品で落ち着いたハッチバックでありながら、実用性も十分に備えている。

7人乗りのグランツアラーは廃止され、残るは5人乗りのアクティブツアラーのみとなった。1シリーズとさほど変わらないサイズで、子育て中の家族には十分なスペースが確保され、リアはスライドシートで荷物や足の置き場所を選べる余裕のある空間だ。また、深いドアポケットやフロントシートの間にある便利な蓋付きキューブなど、収納スペースも充実している。

さらに、2シリーズには、最新の洗練されたインフォテインメント・システムと先進運転支援が搭載されている。走りもBMWらしいフィーリングで、十分な軽快さとコントロール性を備えているため、ファミリーカーと言えども運転する楽しみを犠牲にしたくないという、熱心なドライバーを満足させてくれる。

スムーズでレスポンスの良いガソリンベースの48Vマイルドハイブリッドと、ディーゼルの218dに加え、PHEVの225xeと230xeも用意されている。後者は326psという驚異的なパワーを発揮する一方、電気航続距離は90kmに達し、税金面での優位もある。

8. フォード・ギャラクシー

フォードSマックスには、一回り大きく、より実用的なギャラクシーという兄貴分がいる。これは、フォードオリジナルのミニバンである。ぱっと見はSマックスとよく似ており、ハイブリッド・パワートレインも共通だが、ルーフラインが高く、キャビンが少し広くなっている。

さらに7人乗りが可能であり、大家族の貴重な移動手段となっている。Sマックスに比べれば運転はしにくいが、高速道路での快適性は高く、フォードが得意とするハンドリングも驚くほど優れている。

しかし、ギャラクシーに残された時間はわずかである。バンタイプの代替車が練されたものになっているため、フォードがこの種のミニバン開発をやめた理由もわからなくはない。でも、ギャラクシーにはまだ賞賛すべき点がたくさんある。もし、乗用車らしいドライビング・エクスペリエンスを求めていて、かつスペースを増やしたいなら、ギャラクシー(とSマックス)は素晴らしい選択肢となるだろう。

9. フォード・トルネオ・カスタム

スペースの広さと乗員の収納能力を最大化することを第一に考えるなら、中型バンの乗用車バージョンに注目したい。フォード・トランジット・カスタム、そしてトルネオ・カスタムも同じで、乗員を乗せるための居住性を高めたバンとなっている。

英国編集部のあるカメラマンはトルネオ・カスタムPHEVを6か月間使用してみたところ、その多用途性が彼のライフスタイルにぴったりで、走りの面ではフォーカスに敵わないものの、運転が退屈に感じることはなかったという。ただ、英国編集部としては通常のディーゼルをお勧めする。PHEVの電気航続距離は48kmとわずかで、長距離の移動にはディーゼルが向いている。

10. メルセデス・ベンツEQV

メルセデス・ベンツは、SUV系のEQBと、バン系のEQVによって、7人乗りのEVをうまく棲み分けしている。事実上、VクラスのEVバージョンであるEQVは、大きくて背の高い商用車のようなミニバンで、サイドドアはスライド式、2列目のキャプテンチェアは、回転して前方にも後方にも向くことができる。

最高出力207psの電気モーターを搭載し、航続距離は320km強とされる。また、エアサスペンションを装備しているため驚くほど静粛性が高く快適で、大きく重い割にはハンドリングも良好である。

空港の送迎ハイヤーでEQVに乗れればラッキーだ。充電の手間はかかるが、税制上の優遇措置を考慮すれば、タクシー運転手やプライベートハイヤーも喜んでEQVを走らせるだろう。

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みんなのコメント

7件
  • 日本車はいつまでたっても欧州車に追いつけません
    むしろ引き離されてます(笑)
  • 10台中7台が日本で買えない車
    こんな記事をわざわざ訳していったいいくらの儲けになるのか知りたいものだ
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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