ダウンサイジングはもうお腹いっぱい
昨今の自動車業界では、エンジンを小排気量化するダウンサイジングが主流となっている。小型・軽量化することで無駄を減らし、燃費を向上させるのが目的で、性能維持のためにターボやスーパーチャージャーを追加するのが常だ。
【画像】驚異の大排気量エンジン搭載車【ランボルギーニやベントレーを写真で見る】 全81枚
巨大なシリンダーにより多くの空気を採り入れ、ひたすらパワーを追求する大排気量のエンジンは、もはや過去の遺物となりつつある。今回は、そんな史上最大のエンジンを搭載したクルマを紹介したい。
ランボルギーニ・アヴェンタドール(6.5L)
ランボルギーニのフラッグシップモデル、アヴェンタドールには排気量6498ccのV12エンジンが搭載されている。ターボもスーパーチャージャーも使わず、自然吸気にこだわり、アヴェンタドールSVJでは770psにもなる驚異的なパワーを発揮する。
ランボルギーニがV12エンジンを設計するのは、これで2度目。先代のV12エンジンは350 GTに搭載され、その後ムルシエラゴまで使われ続けた。アヴェンタドールのV12(バンク角60度)は、アヴェンタドールのためにすべてが新設計となっており、「L539」というコードネームで呼ばれる。ジョット・ビッザリーニが設計した先代のユニットとは異なる点火順序を採用しているが、回転数が高く、可変バルブタイミングも備えている。
ロールス・ロイス・シルバーシャドー(6.75L)
ロールス・ロイスのLシリーズV8エンジンは、1959年のシルバークラウドIIに搭載された6230ccのものが最初だった。1968年に6750ccに拡大され、つい最近までベントレー・ミュルザンヌに採用されていた。推定では、これまでに製造されたロールス・ロイス車の70%に使われてきたと考えられている。
およそ60年に渡る長寿の秘訣。それは、当初こそ低出力であったものの、1982年以降、多くのモデルでターボチャージャーが追加され、時間をかけて徐々に出力を上げてきたことにある。オールアルミ製で、クラウドIIの細長いエンジンルームに収まるように設計されている。そのため、各バンクの「V」は非常に深くなっているのだ。
メルセデス・ベンツ 450 SEL 6.9(6.8L)
車名にある「6.9」は置いておいて、450 SEL に搭載されたM100型V8は6.8Lである。当時のドイツ車では最大級のエンジンであり、フラッグシップのSクラスに搭載したのは英断といえる。この6.8L V8は、Sクラスの信頼性を守るために、1基あたり4時間半のベンチテストを行ってから車体に積まれる。
エンジンブロックは鉄だが、シリンダーヘッドはアルミニウムで、ナトリウム封入バルブが使われている。また、当時としては非常に珍しいボッシュのKジェトロニック燃料噴射装置が搭載され、最高出力290ps、最大トルク56kg-mを発生し、最高速度は225km/hに達する。7380台が生産された。
リスター・ストーム(7.0L)
1993年に英国のリスターが開発したストームは、1971年にEタイプでデビューしたジャガーのV12を採用。ル・マン24時間レースに参戦するため、排気量を7.0Lに拡大するなど、ポテンシャルを極限まで引き出している。
排気量拡大のために、ボアとストロークを大きくし、公道向けモデルでは最高出力562psを発揮した。その結果、0-97km/h加速は4.1秒をマークしている。こうした性能やハンドリング、高回転型エンジンが高く評価されたストームだが、5000万円を超える価格が敬遠され、公道モデルはわずか4台しか製造されなかった。
プリムス・バラクーダ(7.2L)
群雄割拠のマッスルカー競争の中で、プリムスは7.2Lの440スーパーコマンドーV8をデビューさせ、ライバルを圧倒した。当時このクラスのどのモデルよりも大きく、標準の状態でも375psを発生。ドラッグレースで活躍することが出来た。
しかし、これには代償があった。あまりにも大きいためエンジンルームを完全に埋め尽くしてしまい、パワーステアリングを搭載するスペースがなかったのだ。また、暴れ狂うバラクーダを止めるためのブレーキサーボを積めていない。それでも、最大最速のマッスルカーを求める米国の消費者を魅了するには十分だった。
ダッジ・チャージャーR/T(7.2L)
ダッジは1967年、440立方インチ(7.2L)のビッグブロックV8をオプションとして初めてチャージャーに設定した。マグナムと呼ばれるこのエンジンは、シングルバレルキャブレターで380psを発揮し、その燃焼室がくさび形だったことから「ウェッジ」という愛称がついた。
2代目チャージャーが登場すると、ロード/トラックの略であるR/Tモデルもデビュー。7.2Lエンジンを標準とし、小型の426ヘミV8(7.0L)を選択することも可能だった。426は425psを発揮するなど、小型ながらパワーがあった。
アストン マーティンOne-77(7.3L)
その希少性と140万ポンド(約2億円)という価格を考えると、アストン マーティンがOne-77とそのV12エンジンの開発に全力を尽くしたのも理解できる。エンジンマウントは無垢のアルミニウムビレットから削り出されたもの。ユニット自体はコスワースに開発・製造を委ねられた。コスワースの課題は、最低でも700psの出力と、ベースとなった標準的なV12エンジンよりも10%の軽量化を実現することであった。
結果的に最高出力760psを達成し、標準のシリンダーライナーをスプレーコーティングに変更することで15%の軽量化を実現した。DBSとは異なり、可変バルブタイミングを採用し、重量配分とハンドリングの改善のためにボディ後方、100mm低い位置に配置されている。
パガーニ・ゾンダS(7.3L)
パガーニは当初からメルセデスAMGのエンジンを調達してきたが、その中でも最大のものは7.3LのM297型V12である。これは1990年代初頭に登場したM120型V12を発展させたもので、SクラスやSLクラスといったトップモデルに搭載されたエンジンである。2002年にゾンダSとゾンダ・ロードスターに搭載され、555psを発揮したが、パガーニはさらなる高みを目指した。
ゾンダFクラブスポーツで650ps、チンクエでは678psにパワーアップ。これで終わりかと思いきや、2017年にHPバルケッタで800psまで到達している。ベースはすべて、1992年の400psのエンジンである。
リンカーン・コンチネンタル(7.6L)
1961年に登場したリンカーンの4代目コンチネンタルは、先代より小さいが重くなったため、大型エンジンが必要になった。そこでフォードは1966年に7.0L V8を7.6Lに拡大し、当時としては史上最大の自動車用エンジンを完成させたのである。
このエンジンはオハイオ州リマ工場で生産されたが、コンチネンタルで短期間使用されただけで、やがて新型の7.5L 385シリーズV8エンジンに取って代わられた。それでも、その希少性とコンチネンタル最大のユニットという魅力から、クラシックカーファンの間では高い人気を誇る。
ロールスロイス・ファントムII(7.7L)
1930年代初頭、高級車の頂点に君臨したロールス・ロイス・ファントムII。搭載された7.6L直列6気筒エンジンも同じく威厳のあるものだ。後に登場したファントムIIIの7.3L V12より気筒数が少ないが、モデルと客層にふさわしい、滑らかで洗練されたエンジンであった。
7つのメインベアリングを持ち、アルミ製の一体型シリンダーヘッドを採用することで、スムーズな回転を実現。また、ロールス・ロイスの航空エンジンの経験から、デュアルイグニッションが標準装備された。コンチネンタルモデルには、パワーアップのためにレーシーなカムシャフトがオプションで用意されていたが、いずれの仕様も出力は公表されていない。
ベントレー8リットル(8.0L)
ベントレー8リットル(または8リッター)は、1930年代初頭のハイパーカーである。わずか100台しか製造されなかっただけでなく、7982ccの巨大な直列6気筒エンジンが当時の主流車種とはかけ離れたものであったからだ。
鉄のブロックを一体化し、シリンダーヘッドを取り外せないようにすることで強度を確保。クランクケースもマグネシウム合金を使用するなど、すべてが最高級品であった。1気筒あたり4バルブで、ツインスパークイグニッションを採用したほか、当時としては珍しいラバーマウントが装着されている。最高出力220psを発揮し、1931年当時最もパワフルな市販車の1つとなった。
ブガッティ・ヴェイロン(8.0L)
ブガッティ・ヴェイロンが圧倒的な最高速を実現できたのは、他でもない8.0L W16エンジンのおかげである。基本的な設計としては、2基の狭角V8エンジンを共通のクランクシャフで結合したもの。これにより、珍しい「W」字型のレイアウトとなった。最高出力1000psを発揮し、最高速度407km/hを達成。ヴェイロンの名を自動車史に刻んだ。
64バルブ、4つのターボチャージャー、DSGデュアルクラッチ・トランスミッションを搭載したヴェイロンは、そのエンジンの大きさと同様に技術的にも非常に大胆なものであった。エンジンを最適な温度に保つために、エンジンとターボに合計10個のラジエーターが必要とされた。
シボレー・サバーバン(8.1L)
大型SUVを走らせるなら、大排気量エンジンは欠かせない。シボレー・サバーバンには、8.1Lのボーテック(Vortec)V8、シボレー流に言えば「L18」が搭載され、340psを発揮する。
2001年から6年間、低回転で発生する60kg-mという驚異的なトルクを活かし、船舶や大型モーターホームにも使用された。しかし、2007年に登場した10代目サバーバンでは、燃費の問題から廃止されてしまった。
キャデラック・エルドラド(8.2L)
エルドラドは1953年にキャデラックのラインナップに加わり、1960年代に入るとエンジン排気量が着実に増加していった。大型化は1970年に頂点に達し、500立方インチ(8.2L)のV8が登場。クランクシャフトを変えてストロークを増やすことで排気量アップを果たし、406psという比較的穏やかなパワーを発揮した。
しかし、1970年代の排ガス規制の影響を受け、370psまで徐々にパワーダウンし、1976年にはわずか193psに抑えられてしまう。オプションの電子制御燃料噴射装置で218psまでパワーアップさせることはできたが、もう全盛期は過ぎている。
ダッジ・ラム(8.3L)
ピックアップトラックにスポーツカーの8.3L V10エンジンを載せるという組み合わせは、できちゃった結婚のように聞こえるかもしれないが、ダッジでは誰も気にしなかったようだ。ヴァイパーのエンジンを搭載したラムSRT-10を迷うことなく完成させたのである。ピックアップトラックにふさわしく、エンジンは1気筒あたり2バルブという極めてシンプルなもので、ターボも搭載されていない。
2004年に登場したラムSRT-10は、500psを超えるパワーと最高速度248km/hを実現し、旋風を巻き起こした。このエンジンのポテンシャルをフルに活用すれば、軽量な標準キャブ仕様であれば、0-97km/h加速を4.9秒で走破することも可能だ。5人乗りのクワッドキャブ仕様では6速マニュアルを標準とし、4速ATがオプションで用意されていた。
ダッジ・ヴァイパー(8.4L)
ダッジ・ヴァイパーに繊細という言葉はまったく当てはまらない。V10エンジンが、4代目までに8.0Lから8.4Lに拡大されたのも当然である。このV10では、プッシュロッドエンジンとしては初めて可変バルブタイミングを採用。これにより、最高出力600ps、最大トルク77kg-mを発揮する。2015年に最終モデルのVXが登場する頃には、654psを誇っていた。
GT3レースでは、さらにパワフルなユニットが使用され、689psを発生したが、量産車では600ps近くにまで抑制された。レースチューンでも信頼性が高く、ヴァイパーは数々のレースやチャンピオン獲得に貢献した。
ブガッティ・ロワイヤル(12.7L)
6台という生産台数を除いて、すべてがビッグだったブガッティ・タイプ41(通称ロワイヤル)。12.7L直列8気筒のエンジンは、もともとフランス空軍のために設計されながら使われなかったものを、最高級車に流用したものである。
1気筒あたり3バルブで、約300psを発生。しかし、バルブは定期的な研磨が必要で、超富裕層オーナーにとっては大変お金のかかる所有物となってしまった。シャシーの中央には3速MTが取り付けられている。コーチワークによっては、最高速度160km/hを超えることもできた。
キャデラック・シックスティーン・コンセプト(13.6L)
キャデラックは2003年、華やかな1920年代からインスパイアされたシックスティーン・コンセプトを発表した。そのルックスもさることながら、搭載された13.6L V型16気筒エンジンこそ、キャデラックの真骨頂であった。V8を2基組み合わせたようなもので、正式な出力は公表されていないが、1000psはあったとされる。2270kgの車重の割には悪くない。
エンジンは32バルブで、4速ATを介して後輪にパワーを送る。キャデラックの燃料管理システムが搭載され、必要に応じて8気筒または12気筒を停止させる気筒休止システムにより、燃料消費を節約することができた。
ネイピア・レイルトン(23.9L)
23.9L W12の「ライオン」エンジンを搭載したネイピア・レイルトン。1936年に米ボンネビル・ソルトフラッツ(塩湖の跡にできた平原)で242km/hの24時間記録を樹立した英国車である。ネイピアはロールス・ロイスと並ぶ英国の自動車・航空エンジンメーカーで、現在はワブテック社の一部門としてターボチャージャーを製造している。
1933年に開発されたレイルトンのライオンエンジンは、2500rpmで594psを発揮。シリンダーを4本ずつ3つのバンクに分ける「ブロードアロー」レイアウトを採用することで小型化を図ったほか、デュアルイグニッションなどの航空エンジンのノウハウも生かされている。
65Lの燃料タンクがドライバーのすぐ後ろに置かれているが、燃費は約2km/lと、ハマーH2より悪い。第二次世界大戦後、ネピア・レイルトンは航空機用のパラシュートを高速で制動する実験に使用され、第二の人生を歩むことになる。
ザ・ビースト(27.0L)
1975年、英国人のジョン・ドッドは、27.0Lの航空エンジンを搭載したビースト(怪物)を製作し、多くの人々を驚かせた。巨大なボンネットの中には、ロールス・ロイス・マーリンエンジンが収められており、そのアンバランスさがやたらと目を引く。
ビーストのベースとなったのはフォード・カプリで、完成するや否やロールス・ロイスから苦情が寄せられる。ロールス・ロイス独自のラジエーターグリルとエンブレム、そしてマスコットの「フライングレディ」が使用されていたためだ。ドッドは譲らず、法廷闘争にまで発展したが(ドッドは「R」のロゴ付きセーターを着て出廷したという)、結果的に敗訴してしまう。
こうした騒ぎもあって、マーリンエンジンを搭載したビーストは大いに注目を集めた。スーパーチャージャーを取り外した状態でも1000ps以上を発揮し、当時最もパワフルなクルマとしてギネスブックにも載った。ドッドによれば300km/hまで加速でき、さらにその先も目指せたという。
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