ありふれた「普通のクルマ」にスポットライト
1970年代から1990年代までの一般的なクルマを称える英国の自動車コンクール「ハガティ・フェスティバル・オブ・ジ・アンエクスペクショナル」で、1982年式のトヨタ・ハイラックスが優勝した。
【画像】40年前のハイラックス、新車同様のコンディションで愛用【コンクールで優勝したトヨタ・ハイラックスを写真で見る】 全7枚
保険会社ハガティが主催するコンクールは、今年で10周年を迎えた。2021年からはリンカンシャー州のグリムストープ城で開催されている。高級車や希少車ではなく、1969年から1999年までに生産された、ごくありふれた車両にスポットライトを当てている。
今年優勝したのはミッチ・ルイスさんが所有するハイラックスで、イチゴ農園で使用されていたところを老婦人から購入した。購入時の走行距離は1万6000kmほどで、その後さらに同じ距離を走った。車体にはイチゴ運搬用の容器が当たってできた小さなへこみが残っているが、それ以外は「洗車だけ」でコンクールに参加したという。
ルイスさんは優勝を受けて、「最高でも下位の賞を期待していました。まさか1位になるとは。素晴らしいクルマだし、僕の誇りであり喜びでもある。とても気に入っています」と話す。
コンクールの審査員を務めたジョン・ベントレー氏は、「ほとんどのハイラックスは酷使され、最終的にはスクラップにされてしまいます。しかし、この1台は農場で使われる中でしっかり保存されてきました」と述べた。
「多くの仕事をこなしながら、とても優しく扱われてきた。同時代のクルマがすべて姿を消したにもかかわらず、このクルマは完璧で名誉あるコンディションを保っています。それゆえ、例外的(エクスペクショナル)なものが生き残り、例外的でなくなった(アンエクスペクショナル)のです」
審査では「間違いなく世界最高の1台」と総括された。審査にはAUTOCARのスティーブ・クロプリー編集長も参加している。
今年のコンクールには4000人以上が参加し、約2000台のクルマが集まった。優勝したハイラックスの他に、ザスタバ・ユーゴ、ボルボ145、ヴォグゾール・ノバなどが最終選考に残っていた。
2位はエイミー・ジェインさんのルノー・クリオで、レトロ・レップモービル賞はドイツのハノーバーからやってきた日産プリメーラに贈られた。また、フィアット・パンダ、シトロエン・ヴィザ、オースチン・メトロが優秀賞に選ばれた。
コンクールの意義について、ベントレー氏はこう語っている。「ショーのポイントは、ごく普通の日常的なクルマが保存されているということです。普通は保存しようとは思わないので、ひっそりと消えてしまいます。しかし幸運なことに、かつてごく平凡だったものを保存している熱心な人々がいます。フェラーリやランボルギーニのような、みんなが憧れるクルマではありません。ただ永く生きているだけなのです」
ハガティ・フェスティバル・オブ・ジ・アンエクスペクショナルは2014年にノーサンプトンシャー州ウィトルベリー・パークで初めて開催されて以来、パンデミックの影響を受けた2020年を除いて毎年開催されている。過去の受賞車には、日産チェリー・ヨーロッパGTi、モーリス・マリーナ、ヴォグゾール・アストラ、プロトン・サルーン、ダイハツ・アプローズなどがある。
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初めて手に入れた自分の車が46のダブルキャブだった