ルノー アルカナ 「走りと燃費に優れる「ちょっと洒落てるファミリーカー」」の専門家レビュー ※掲載内容は執筆日時点の情報です。

走りと燃費に優れる「ちょっと洒落てるファミリーカー」

2024.11.26

年式

2024年10月〜モデル

総評

1.3Lターボのマイルドハイブリッド車もラインナップするが、主には1.6Lフルハイブリッド車が中心となるフランスのクーペSUV。いかにもルノーの車らしく派手な部分は少ないが、ハンドリング性能の高さと高速巡航時の安定感などから「しみじみいい車だなぁ」と感じられるタイプの一台。Cピラーが大きめに傾斜しているさほど大柄ではないSUVだが、車内の広さは十分。そしてフルハイブリッド車は燃費も良好であり、「ちょっと洒落てるファミリーカー」が欲しいと考える人には積極的におすすめできる。

満足している点

昔から多くのルノー車に共通してきた「特に強力なパワーユニットや凝った足回りを採用しているわけでもないのに、妙によく走る」という美点を、2022年に登場したこのSUVも備えている。ドライバーのイメージや生理に忠実に必要十分な力が湧き上がり、そしてドライバーのイメージと寸分たがわぬラインで曲がることができる。そして乗り味もしなやかで心地よい。

不満な点

インパネまわりの質感は車両価格500万円弱の車に見合っているとは言い難い。全体としては非常に良い車なのだが、そこだけがもったいない。

デザイン

3

エクステリアは、全長4570mm×全幅1820mm×全高1580mmというさほど大きくはないボディサイズの範囲内で、Cピラーを傾斜させたクーペSUV特有の色っぽさが上手に表現されている。2024年10月のマイナーチェンジで追加された新グレード「エスプリ アルピーヌ」のホイールデザインもセンス良好。インテリアのデザインはおおむね悪くないが、もう少し素材の高級感が欲しい。

走行性能

4

ハイブリッド車の場合、EV走行とエンジン走行のつなぎめはきわめてシームレスで、洗練されている。またドグクラッチ（一般的なシンクロナイザーを備えない、歯車と歯車が噛み合う方式のクラッチ）もなめらかだが、それでいてDCTのようなダイレクト感もある。ハイブリッド車のシステム最高出力はわずか143psだが、動力性能に不満を覚えるシーンはほとんどなく、走行時の安定感も強い。「シャシーはエンジン（パワーユニット）よりも速く」という、車のあるべき姿を体現できている。

乗り心地

4

基本的な乗り心地はややソフトでしなやか。お尻と背中をしっかりホールドしてくれるシートの恩恵もあって、きわめて快適だ。ただし「エスプリ アルピーヌ」の19インチホイールは少々の硬さも感じさせる。

積載性

4

荷室容量は480Lで、荷室の床面は2段階に調整可能。クーペ的フォルムのSUVであるため「荷室が広大」ということはないが、普通に広めではある。また床面を上段にセットすれば、荷室開口部と荷室、そして前方に倒した後席背もたれはほぼフラットになるため、大きな荷物の出し入れも容易になる。

燃費

4

フルハイブリッド車の場合、WLTCモード燃費は22.8km/L。そして筆者が試乗した際の実燃費も約18km/Lだったということで、CセグメントのSUVとしてはまずまず良好と言える。

価格

3

「エスプリ アルピーヌ E-TECH フルハイブリッド」の場合で499万円という車両価格は、直近の輸入SUVとしては妥当な範囲。とはいえインパネまわりの質感がもう少し高ければ、この価格にももっと納得がいくのだが。