マツダ アクセラセダン 「「運転する楽しさ」と抜群のコストパフォーマンス」のユーザーレビュー

「運転する楽しさ」と抜群のコストパフォーマンス

2017.4.2

総評

納車して1年、通勤と週末ドライブなどで17,000km走行しての再レビュー。

元気よく走れば楽しく、落ち着いた走りではひとつ上のクラスかのように錯覚させる乗り心地で、コストパフォーマンスがとても高いです。
アウディA3、BMW4シリーズと並び、ワールドカーオブザイヤーのベスト3に入った実力は伊達ではありません。

とくにガソリン1.5Lは他エンジンモデルと比べて、カタログスペックでは語れない、五感に訴える部分がとても強いです。
持てあますことなく足りないわけでもない丁度良いパワーと、リニアな操作感。その「しなやかさ」と「車を自分が操ってる」感じがとても気持ちいい。

基礎技術から見直して車づくりを再設計した SKYACTIV 技術。ディーゼルばかりが注目されているけれど、ハイブリッド時代から他社が怠ってきた「ガソリンエンジン」を磨き上げたマツダの SKYACTIV-G。
ディーゼルのような派手さはなく、「これ！」といった特徴もなく、ややもすれば「普通」と捉えられかねない中に、基礎レベルの高さを感じさせる。だからこその「人馬一体」が、アクセラ1.5Gにはある。

アクセラはエンジンの選択肢が豊富ですが、この車体サイズと重量には不釣り合いとも思えるガソリン1.5Lがなぜラインナップされているか。乗ってみれば、その答えが分かる。
グレードとしてはガソリン2.0Lやディーゼルモデルよりも下、最廉価モデルではありますが、この気持ちよさというか、「洗練されている」というか、そういった感覚はガソリン1.5Lに一番強く感じる。
それくらい SKYACTIV-G 1.5 は良くできたエンジンだと感じます。


国産車で「走る楽しさ」を感じれる車はいまや希少。
車といえばファミリーカーであり、室内広々快適であり、エコであり、荷物をたくさん積めることという世の風潮の中、「走る楽しさ」を感じる車はほとんどありません。
そんな中、先進装備や現代の潮流を取り入れつつも「走る楽しさ」を重視し、しかも170万円からで買えてしまう抜群のコストパフォーマンス。
アクセラ1.5Gは、『現代の車の快適性は欲しいけれど、90年代のスポーツカーのような楽しさも忘れたくない…』っていうワガママな大人の心をくすぐります。

Be a driver !!

満足している点

魂動デザインのかっこよさ。

兄弟車のアテンザとも、似て異なります。
どこから見てもかっこいい風格あるアテンザと違って、アクセラは見る角度によっては恐ろしくダサい（笑）けれど、それを補って余りある魅力を持つアクセラの魂動デザインも優秀です。クセがあるぶん、飽きこない。

アクセラはハッチバックがダントツの人気で、セダンタイプは街中でもほとんど見ることはありません。
その理由は、単純にハッチバックのほうが物を積めて便利、人気のパワートレインを選ぶならハッチバックしかない、自動車全般にハッチバックが流行り、というあたりだと思います。

それらの利便性やエンジンの選択肢を捨ててでもあえてセダンを選ぶ人は、「アクセラ」というよりも「アクセラセダンのデザイン」に惚れ込んでのことだと思います。
私自身、購入検討を始めた時から契約するまで、一貫してセダン一択でした。

個人の好き嫌いは置いておくにして、アクセラのセダンとハッチバック、どちらが「デザインとしてまとまっているか」と訊かれると、私は迷うことなくセダンだと断言します。周りのデザイナー仲間たちに上記の質問をしても、満場一致でセダンでした。

なので、アクセラ購入を検討中で「セダンに惚れたけど周りはハッチバックばかりだしどうしよう…」という人は、自信を持ってセダンを選んでください（笑）

不満な点

エンジンブレーキにクセがあります。
とくにAT3速

減速中、2速に落ちる直前の速度で（大体17km/hくらい）エンジンブレーキが消えて3速を維持しようとするのですが、その消え方が唐突。

フットブレーキをしっかり踏んで急制動してやれば（3速維持をさせず速度を落とせば）気にならない程度ですが、しっかり車間距離をとったうえで、できるだけ穏やかに、静かに止まるような人（私）は気になると思います。

ニュートラルに入れてドライブに戻すと、再びアクセルを踏むまではエンジンブレーキは弱くなりますが上記のクセもなくなるので、場面で使い分けできるといいですね。

デザイン

-

走行性能

-

アクセルを踏んでも、ハンドルを切っても、「思った通り」の走りをしてくれる優秀な子。

アクセラ購入前にすべてのグレードに試乗しましたが、1.5Gは驚くほど「しなやか」で、私にはそこがなにより気持ちよかったです。

ガソリン1.5Lなのでもちろんパワーはありません。
ストップ時からの出足はややもっさりしていて、急勾配の登りや高速道では、1.5Lなりの貧弱さを実感します。

ただし、そういったネガティブ面は「1.5Lだから当たり前」であり、むしろ「1.5Lとしては」とても優秀。そこらの1.5L車と比べるとその力強さ、しなやかさは頭一つ抜けています。世界一の高圧縮比を達成し、燃費と低中速トルクを従来比で15%改善した新世代高効率直噴ガソリンエンジン「SKYACTIV-G」は伊達ではありません。
ストップ時からの出足こそややもっさりしているものの、一旦走りだせば軽やかに伸びていき、ひと昔前の2.0Lと比べても遜色ないんじゃないかと思えるようなトルクもあり、上り坂も積極的にシフトダウンすればぐいぐい登ってくれる。

高速での合流や追い越しも、余裕はないけど実質不足もしていません。（法定速度内なら）

乗り心地

-

足回りは若干固め。
高速コーナリングでもそこまで沈み込まず、しかし固すぎずしなやか。常識の範囲内で程よく踏み込むにはとてもいい塩梅。

エンジンは2000回転くらいまでは静か。
平坦な道をATだと、1500回転を維持するような走り方をするので、普段は本当に静かです。
ただしそれ以上回せばエンジン音が元気よく響き渡ります。お世辞にも静かとは言えません。

ただこのエンジン音、「うるさい」というよりも、まさに「エンジンサウンド」と呼べるようなテンション上がる音。積極的に回したくなります。

ロードノイズはけっこうあります。
けれど、170万円の車体（アクセラのベースグレードの値段）と考えると、いたって普通の騒音。むしろ他が170万円の車としては優秀なので、普通なはずのロードノイズがかえって目立ってしまっているという印象。

なので、タイヤをコンフォートにするなりデッドニングするなりすれば、クラスを超えた上質さに。

積載性

-

トランクは、このサイズのセダンとしては普通。
セダンなので高さはありませんが、ゴルフバックはもちろん、後部座席を倒せばスノーボードや一般的な長さのスキー板も入るくらいの奥行きは確保できます。

居住空間は、使い勝手がいいとは言えないセンターコンソールを除くと、小物入れが一切ないに等しいです。ドアポケットもドリンク1本しか入れられず。（2016年のマイナーチェンジでドアポケットは改善された）
ひとりで乗る分には助手席に放り投げておけばいいけれど、助手席に誰かが座ると財布や携帯の置き場にすら困る有様。

見た目優先で、物を置くとかそういう快適さは考慮してないトンガリ方はある意味マツダらしいし、アクセラらしい。
そのぶん、運転席周りのデザインがなかなか質が高いので、それに合わせて自分が気に入るサードパーティーの収納アクセサリーをじっくり探すという楽しみも、それはそれで一興です。

燃費

-

渋滞やストップ＆ゴーを繰り返す市街地
13km～15km

郊外をドライブ
15km～18km

高速道
18km～20km


特にエコ運転を心がけるわけでもなく、普通に運転していてもカタログ通りの燃費を安定して出してくれます。13km以下になるとしたら、運転環境があまりよくないか、運転がよほど雑か、あるいはその両方か。

ハイブリッドやディーゼルと比べると見劣りはしますが、1.5Lガソリンエンジンでこれだけの燃費を「安定して出せる」のは実はけっこうすごいと思います。

また、燃費計と満タン法の誤差がほとんどないのも、燃費に直接影響はありませんが好印象。

価格

-

故障経験

初期不良だったのか、それとも納車して早々に壊れたのか（それも十分に初期不良か）分かりませんが、1年点検時にATの微妙な違和感を伝えて診てもらうと、コントロールバルブに異常が見つかりました。

ディーラーにはきちんと無償で対応してもらえましたし、致命的にどうこうということもないですが、一応。