スバル車のXモードは、他社の4WDと何が違うのですか？

Question

Answer 1

全体的な説明も含むので少々長くなりますが、最後までお付き合いいただけましたら幸いです。すでにご存じの内容ばかりでしたら申し訳ありません。

スバルはシンメトリカルAWDと呼ばれる優れた四駆レイアウトで運動性能や走破性に定評がありますが、それに加えて「X-MODE」という飛び道具を搭載している車種がありますね。この「X-MODE」の主役はブレーキ制御にあります。

■ ブレーキLSD

雪道等でスタックする主な原因はデフギアです。デフギアは左右の駆動輪の間に装着されていて、コーナーで内外輪の回転差を抵抗なく差動制御してくれる優れものです。
しかし、ひとたび片輪が空転すると、その反対側の駆動輪にグリップがあっても駆動力が伝わらず空転し続けるという致命的な欠点があります。ブレーキLSDは、このデフギアの欠点を逆利用して、空転している側の車輪にブレーキをかけることで、反対側のグリップしている車輪に強制的に駆動力を発生させます。それも1/1000秒単位でコントロールする電子デバイスで、これにより飛躍的に走破性を上げることができます。
これは4輪個別にブレーキ制御できる「ABS」を応用したもので、高価で重たい機械式LSDやデフロック等を装備しなくても、プログラムだけで走破性を向上させられます。なので、ハスラーやデリカミニのような軽自動車でもブレーキLSDを装備できるのですね。勿論、ランクル等にも装備されています。

一方で、左右輪の回転差は、片輪空転時ばかりでなく、コーナーでも発生します。もしも、コーナーでいちいちブレーキLSDが介入していたらギクシャクして走れません。なので、車両側でその左右輪の回転差がコーナーによるものなのか、空転によるものなのかを判断するのに少し時間がかかるのですね。ブレーキLSD付の車両で、駆動輪が浮くなどした場合は、アクセルを少し踏んで待っているとブレーキLSDが作動するというわけなのです。
しかし、これでは反応が遅いので、スバルの場合は「X-MODE」を設定しています。「X-MODE」ボタンを押すとブレーキLSDが素早く介入するため、悪路等ではスムーズに進めてスタックもしにくくなります。

余談ですが、ブレーキLSDのように、4輪個別にブレーキをコントロールできるABSを応用している電子デバイスは、他にも「ブレーキベクタリング」や「横滑防止装置」等があります。例えば、コーナーで内輪だけにわずかにブレーキをかけてあげることで、よりよく曲がるクルマになります（ブレーキベクタリング）。さらに、ハンドルを切っても軌道が膨らむアンダーステアが発生した場合、内輪により強いブレーキをかけて強制的に軌道修正します（横滑防止装置）。

■ TRC（トラクションコントロール）

ブレーキLSD等は、ブレーキによる制御ですが、TRCはアクセルによる制御です。アクセルを踏んで車輪が空転すると、車両側で勝手にパワーを絞ってタイヤの空転を抑制します。アイスバーンの坂道発進等では重宝する電子デバイスです。
しかし、深雪や悪路等では、このTRCが災いとなります。例えば、深雪では車輪を空転させながらグイグイとラッセルで走行します。この時にエンジンパワーを必要とするのですが、TRCが車輪の空転を感知して勝手にエンジンパワーを絞ってしまいます。結果、アクセルを踏んでも進めなくなり不動車になるのです。これでは困るので、ほとんどの車両にTRC等をカットするボタンがあります。
スバルの場合、「X-MODE」ボタンを押すとこのTRCの介入を自動的に制御します。ブレーキLSD等との統合制御によって、走破性が飛躍的に高まるというわけです。

■ メーカーによる違い

他メーカーでもSUV系の車種ではブレーキLSDは搭載されている車種も増えてきました。例えば、ホンダ（ヴェゼル等）やマツダはブレーキLSD等を強化するボタンはなく自動制御になっています。実際のところは「X-MODE」のような切替ボタンがあったほうが悪路は走りやすいようです。三菱もブレーキLSD等は自動で介入する考え方です。スズキの「GRIP CONTROL」もスバルのX-MODEと同じ考え方で、ボタンを押すことでブレーキLSD等が強化されます。トヨタは切替セレクターによって、ブレーキLSDやTRCの介入の比率等を制御する仕組みになっています。

かなり端折って書いたのですが、大変長くなり失礼いたしました。ご不明な点などございましたら追加でご質問いただけましたら幸いです。

Answer 2

他メーカーでもX-MODE（ブレーキLSD）はありますが、スバルの場合はエンジンを縦に置くことで、後輪もFRのようにリアまでプロペラシャフトを伸ばすだけでシンプル且つ合理的な4WDとなっています。
更に、他メーカーではほとんど絶滅状態のフルタイム4WDが売りです。
（他メーカーがフルタイムと謳うスタンバイ式4WDは、厳密にはフルタイムではありません）

世界を見てもフルタイム4WDを今でも販売しているのは、アウディとスバルだけで、この高性能な4WDを今の価格で販売できるのは、スバルの場合水平対向エンジン一辺倒にこだわって長年開発してきたからでしょう。
SUBブームだからと言って、他メーカーがこれを真似たら、とんでもない価格になると思います。

Answer 3

他社と根本的な違いはないです。悪路専用制御の一種

悪路専用制御は大きく分けて、手動切り替えタイプと自動発動タイプがあります

自動発動タイプは反応も効きもイマイチ。切り替えタイプの方が走破性が高いです。と言ってもパートタイム四駆とか、スタンバイ四駆やオンデマンド四駆という分類とは意味が違います

Xモードはブレーキ式ベクタリングとは逆方向の制御を行う方式。これを手動切り替えで、積極的に発動させます。手動切り替えを要求する制御は他社にもありますけど、共通しているのはSUVにしか搭載されていないこと。理屈を理解してないと危ないので。ちなみにトラクションコントロールをカットするモードと関与させるモードを選択できます

四駆と言ってもメーカー毎の考え方や重視事項があります。スバルの場合、安定性と走破性重視でフルタイムに近い駆動をさせてます。トヨタは燃費重視で普段はFFに近いけれど、悪路専用制御オンではフルタイム制御になります