ホンダ フィットハイブリッド 「e:HEVを初めて名乗ったハイブリッド」の専門家レビュー ※掲載内容は執筆日時点の情報です。

西村 直人
西村 直人(著者の記事一覧
交通コメンテーター
評価

4

デザイン
4
走行性能
3
乗り心地
3
積載性
5
燃費
4
価格
4

e:HEVを初めて名乗ったハイブリッド

2022.11.28

年式
2020年2月〜モデル
総評
3代目フィットのハイブリッドはi-DCDと呼ばれるデュルアルクラッチトランスミッションに駆動モーターを内蔵したシステムだった。インナー&アウタークラッチと結合する、7速化された有段ギヤと電動モーターのダイレクトな走行フィールは高い評価を受けたが、機構が複雑であったためリコールを繰り返した。e:HEVは考え方を180度変更したシリーズ式。電動駆動モーターを高出力化してスムースで力強い走りを実現している。コンパクトカーながら静粛性はワンランク上。燃費数値も良好だ。
満足している点
ガソリンモデルと同じ使い勝手をセンタータンクレイアウトにより手に入れたこと。これによりハイブリッドモデルの走行性能、燃費性能を手に入れたままコンパクトカーとして重要視される豊かな居住空間を両立させている。「パノラマフロントウィンドウ」の要である「極細Aピラー」と、その後ろにあるドアミラー付け根からルーフに延びる「耐衝撃用Aピラー」によって、往年の三角窓のような造形が誕生。そこから前席/後席へとガラスエリアが一気に拡がり、ボディ後端で絞られた。得られる視界はとても広い。
不満な点
4代目初期モデルのハイブリッドは乗り味が硬め。これが販売直後の売れ行きを左右した。また、シリーズハイブリッドであるe:HEVは日産のe-POWERと比較すると動力性能がおとなしい。具体的にはバッテリー出力を抑えていたことから、ここ一番の加速力が弱い。ホンダ曰く「バッテリーの信頼性を考えた」というが、市場からの声と実際の耐久信頼性に問題がなかったことから、マイナーチェンジ後のモデルではハイブリッドシステム、ならびにエンジン出力を向上させて動力性能向上を図っている。
デザイン

4

3代目の特徴だったシャープな面構成から一転してやわらか路線。これが4代目の大きな変更点。直線と曲線をうまく混ぜ合わせたボディラインで過去3代とも差別化を図った。印象的なのはボンネットフードと連続処理を施したヘッドライト回りの造形だ。ヘッドライトは大きく力強く、奥行きがあるため、遠くからでも4代目フィットであることが識別できる。強調されているもののボンネットフードとグリル、そしてバンパーのつながりも滑らかだ。コンパクトカーながらデザインの主張をしっかりもった一台である。
走行性能

3

4代目フィットから2モーター方式のシリーズハイブリッドの名称を従来の「i-MMD」から、「e:HEV」と呼んでいる。狙いをホンダに聞くと「eによる電動化を強調したいことから命名した」という。確かにBEV「Honda e」や、BEV向けのエネルギーマネージメントサービス「e:PROGRESS」にしてもeを用いている。直列4気筒1.5L(106PS/13.0kgf・m)を主に発電に使い、電動モーター(123PS/25.8kgf・m)によって駆動力を得る。フィットe:HEVも速度域に応じエンジン直結モードがある。
乗り心地

3

ハイブリッドモデルは標準モデルと、最低地上高を25mmアップさせたCROSSTARで乗り味が異なる。標準モデルはスッキリとしたハンドリングだが、乗り心地はわりと硬めだ。突き上げこそ感こそ少ないが、スポーツ走行に向いている。CROSSTARは12mmほど伸ばしたホイールストロークの効果もあり、車体の動き全体にしっとり感がある。段差を超えたあとの上下動きにしても、振幅こそ大きいがダンパーの減衰効果(とくに縮み側)によってガツンと身体にショックを感じさせない。
積載性

5

ガソリンタンクを従来の車体後方から車体中央へ移動したセンタータンクレイアウトによって、ハイブリッドモデルになってもラゲッジスペースはほぼ変わらない。さらに4代目では、ラゲッジルーム下部に配置されているインテリジェントパワーユニット(IPU)全体を小型化し、さらにIPUに含まれていたパワーコントロールユニットを移設、結果としてラゲッジアンダーボックスの容量を3代目から3.5倍に増やし14Lとした。シートアレンジやシートの可倒方法がガソリンモデルと同じであり、使い勝手にも優れる。
燃費

4

筆者が試乗コースした状況(郊外路60%と高速道路40%を組み合わせた42kmのコース)では29.6km/Lを記録した。高速道路では、ACCを80km/hにセットした状態で走らせた。一般道路は流れが良く信号機が少ない好条件も重なり優秀な数値だった。ただ、日産のシリーズハイブリッドである「e-POWER」と比較すると、4代目フィット初期のe:HEVは頻繁にエンジンが掛かり、すぐ止まるを繰り返す。最新モデルはその制御方法が変わり、エンジン始動の頻度が少し減った。
価格

4

登場時の価格は標準モデルのハイブリッドモデルで1,997,600円からだ。トップグレードは「e:HEV LUXE」の4WDで2,664,200円。CROSSTARは2,422,200円のFFモデルと、2,620,200円の4WDの2タイプだ。ハイブリッドモデルは燃費性能と走行性能とのバランスが良く、それでいてトップグレードではたとえばホンダでの上クラス「シビック」や「アコード」と同様の機能を備える。同列の競合他車と比較するとカタログ価格が高いが、それは他車がオプション装備であることも要因。
西村 直人
西村 直人
交通コメンテーター
WRカーやF1、MotoGPマシンのサーキット走行をこなし、4&2輪のアマチュアレースにも参戦。物流や環境に関する取材を多数。大型商用車の開発業務も担当。国土交通省「スマートウェイ検討委員会」、警察庁「UTMS懇談会」に出席。自動運転技術の研修会(公的/教育/民間)における講師を継続。警視庁の安全運転管理者法定講習における講師。近著は「2020年、人工知能は車を運転するのか」(インプレス刊)。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員日本自動車ジャーナリスト協会会員
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