ホンダ フィットハイブリッド 「年次改良で更に磨きが掛かった質感の高いコンパクトハッチ」の専門家レビュー ※掲載内容は執筆日時点の情報です。

西川 昇吾
西川 昇吾(著者の記事一覧
自動車ジャーナリスト
評価

4

デザイン
4
走行性能
5
乗り心地
5
積載性
5
燃費
4
価格
3

年次改良で更に磨きが掛かった質感の高いコンパクトハッチ

2022.11.21

年式
2020年2月〜モデル
総評
全体的に見れば5ナンバーサイズコンパクトハッチとしてよく出来たまとまりのいいクルマだと思う。しかし、いまいち販売台数は伸びていない。ラゲッジスペースと後部座席の積載性はピカイチだと思うし、全体的な質感も悪くない。今このクラスのクルマの購入を検討している人に勧めるのであれば最も万人に勧めることが出来るのは現行フィットだと思う。
満足している点
エントリーグレードでも装備や質感に不満がないこと、そして心地よさにこだわったクルマ造りは、各所にこのクラス随一の「落ち着き」を感じる。走りはもちろんだが、このクラスで内装の質感が高くエントリーグレードで満足できるのは1台が現行フィットだと思う。プレミアムとまではいかないものの、「ちょっといい」感があるコンパクトカーに乗りたい人にとってはオススメの選択肢とも言える。また、年次改良もその心地よさに磨きをかけているし、RSもスポーティーだが現行フィットらしさを残しているのが良い。
不満な点
ハイブリッドに関しては改良前から同じだが、価格設定の高さがネックという感じがする。確かに運転支援システムは標準装備で充実したものとなっているし、内装の質感も高い。しかし、ナビゲーションシステムを中心とした各種オプションを装備していくとどうしても価格は膨れ上がってしまう。それは他の車種でも同じことと言えるが、ハイブリッドのグレード構成的にはもう一つエントリーグレードが用意されていて、求めやすさが伝わった方が売れるのではないかとは感じてしまう。
デザイン

4

先進的なイメージや未来感も持ち合わせているが、その中にも親しみやすさが上手いことバランスされていて、奇抜でなく受け入れやすいのが好印象。。SUVチックなクロスターは少し無理があるように感じてしまうが、ノーマルモデルは実用性とデザイン性の両立を高い次元で実現している。また、ウインドウデザインも工夫がされており、実際に乗ってみると見切りが良いのが嬉しいポイントと言える。
走行性能

5

1.5Lにモーターを組み合わせたハイブリッドシステムはフィットクラスならば文句のない動力性能を実現していて、年次改良でさらに出力が向上されたので非常に好印象。国内にライバルが多い5ナンバーサイズのコンパクトハッチバックだが、その中でもトップクラスで走る、曲がる、止まるが自然なフィーリングだし、直進安定性が優れていて、どっしりとしたというか、落ち着きのある走行フィーリングとなっている。改良で追加されたRSも、ほどよくスポーティーな印象。日本のワインディングを安心して心地よく楽しむには丁度いい仕上がりとなっている。
乗り心地

5

走行性能面で落ち着きのある印象があると述べたが、低速域ではその印象は乗り心地に良いように作用していて、当たりが滑らかというか優しいという感じを受ける。高速域でも改良前よりも足のバタつき感が抑えられていて、落ち着いていて滑らかな印象に進化した。また、ハイブリッドシステムもシームレスで静粛性に優れているし、このクラスの中ではトップレベルで静粛性が高いのも好印象。スポーティーなRSも乗り心地が優れていて、日常使いから長距離移動まで対応可能といった具合だ。
積載性

5

積載性に関してはこの5ナンバーサイズのコンパクトハッチバックの中ではトップクラスと言えるだろう。開口部が広いかつ低く荷物の積み下ろしがしやすいのも実際に使うシーンでは嬉しいポイント。また、シートアレンジも豊富でリアシートを可倒できるほか、座面部分を跳ね上げて後部座席に高さがあるものを載せるということも可能。単に積載性が高いだけでなく、小さいボディだが工夫次第で様々な使い方が出来る、そんな懐の深さも持ち合わせたラゲッジスペース&後部座席なのだ。
燃費

4

WLTCモードで30.2㎞/Lという燃費性能は正直言ってライバルと比べて特別秀でているという訳ではないが、改良で出力を向上させて同時に燃費性能も向上させたのはすばらしい。ただ、ずば抜けている燃費性能ではないので、もし、このクラスで燃費性能を期待したいのであれば、他の車種を選んだ方が良いと言える。しかし、アクセルやブレーキにたいするフィーリングは、このクラスのハイブリッド車の中でも最も自然な印象だ。燃費性能の代わりに得たのは、開発コンセプトにもあったような心地よさと言えるのではないだろうか。
価格

3

グレードごとの価格の差異が大きく、どれが上級グレードというよりかはグレードごとコンセプトが違うので一概には言えない。しかし、どちらかと言えばこのクラスでは高価格な部類に入るという印象だ。充実した運転支援システムなどが標準で備わっていて、グレードごとの装備の差が少なく、実質的な価格帯はライバルと同等だが、少し高い価格設定で検討候補から外れてしまう人もいるのではないかと思ってしまう。
西川 昇吾
西川 昇吾
自動車ジャーナリスト
1997年生まれ、大学時代から自動車ライターとしての活動をスタート。現在はWEB・紙の各種媒体で様々なジャンルの記事を執筆するほか、車両解説動画にも出演し、喋りの分野にも挑戦中。愛車のマツダ・ロードスターで定期的にサーキット走行をし、ドラテクの鍛錬も忘れない、目指すは「書けて、喋れて、走れるモータージャーナリスト」
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