■軽だけみんな「右寄り」ナンバー なぜ?
クルマにはナンバープレートが装着されていますが、軽自動車の場合、多くのモデルで正面から向かって右に装着されています。
なぜ、まっすぐに取り付けないのでしょうか。
【画像】超カッコイイ! これが「白ナンバーの軽」です! 画像で見る(42枚)
その理由は、「エンジンなどを効率よく冷やす」ためです。では具体的にはどういうことなのでしょう。
軽自動車は規格が定められており、排気量660cc以下、さらにボディサイズも全長3400mm×全幅1480mm×全高2000m以下と決まっています。
このようにサイズの上限はあるものの、クルマを開発するにあたっては、極力室内空間は広げたほうが使い勝手がいいので、限られたサイズで不要な部分をけずって、その分キャビン(居住空間)に当てたいところです。
そこで、車体の面積でキャビン以外の部分はというと、エンジンルームが占めています。
エンジンは大きくて音もするため、キャビンとは離したいですが、幸いにも軽自動車はエンジンがもともと小さいので、狭くすることは容易です。
どんどん小さくしていき、ちょうどエンジンが収まるだけのスペースにすると、今度は弊害が発生します。それが「熱」です。
エンジンはガソリンを燃やしているので、想像以上に熱を持ちます。たとえ停車中でエンジンがアイドリング状態でも熱を持ちますし、排気量が小さい分、しっかりエンジンを稼働させなければパワーが出ません。
となると、エンジンをしっかり冷却する必要が出てくるのです。
通常、現代のクルマは「水冷式」という方式でエンジンを冷やしています。エンジンの内部に冷却水を循環させる水路を設けて、ポンプ(ウォーターポンプ)やバルブなどを適切に回したり開けたりして熱を吸収します。
エンジンの熱を吸収した冷却水は、「ラジエーター」という熱交換器を通り、ラジエーターに風が当たることで温度を下げます。
しかし、軽自動車は先出のようにエンジンルームを狭くしてしまい、熱もこもりやすくなります。
さらに、ブレーキの配管や倍力装置、ステアリングの装置、バッテリー、エンジンの電気回路、エアコンの機器類、ウォッシャー液を入れておくタンクなど、たくさんのパーツが詰め込まれています。
そこに、風を当てるための大きなラジエーターを配置すると、もうスペースがありません。
残るのは、風も当たりやすいし、ほかにライトくらいしか装置がない先端部分です。日本車は右ハンドルなので、ステアリング装置やブレーキ装置などがない左のほうがよいでしょう。
したがって、先端の左(正面から見て右)にラジエーターを取り付けます。ただしここでも問題が生じます。それがナンバープレートです。
ナンバープレートは、変な位置に取り付けるわけにはいかないですが、大きな「板」になっているので、ラジエーターに風が当たらなくなる可能性があります。
そうすると、先端の左(正面から見て右)にラジエーターがあるから、その反対側にナンバープレートをつけよう、という考えになるわけです。
ただし、軽自動車でも例外があります。日産「デイズ」やホンダ「N-BOX カスタム(先代)」「N-ONE」、三菱「デリカミニ」、スズキ「ジムニー」などです。
これらはラジエーターの効率向上やデザイン、ラジエーターの位置の変更などで真ん中に装着されています。
さらにEVモデルでは、エンジンを搭載せず、冷やすものといえばバッテリーやエアコンの機器程度なので、ラジエーターも必要なくなります。
実際、軽EVの日産「サクラ」/三菱「eKクロスEV」は、真ん中にラジエーターが装着されています。
軽自動車の“アイデンティティ”といえば、右寄りナンバープレートも、今後は変わってくる可能性もあるかもしれません。
※ ※ ※
実は普通車でも、似たような理由からナンバープレートをオフセットしているものがあります。
三菱のスポーツカー「ランサーエボリューション」は、高出力のためにターボチャージャーを採用していますが、これを冷却するインタークーラーをフロントに配置。その冷却能力を最大化するため、ナンバープレートを左側に配置しています。
また、イタリアのアルファロメオも、フロントフェイスに大きな逆三角形のグリルを採用しています。デザインを損ねないために、ナンバープレートは左側に配置しています。
ただしアルファロメオの場合は、歩行者との事故を想定し、ナンバープレートを傷害リスクの少ない正面に配置する方針を明らかにしており、今後登場するモデルはすべて正面になる予定です。
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