電動車両にはハイブリッドモデルも含まれる
少々旧聞に付す話だが、2021年1月の通常国会で、菅首相が「2035年までには国内新車販売において100%電動化を実現する」といった旨の宣言をしたことを覚えているだろうか。
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ここで重要なのは政府が考える電動車両の定義だ。日本でいうところの電動化というのは、100%電気で動くという意味ではなく、すべての新車が電動領域を持つクルマになるという意味である。つまり、最低でもハイブリッド技術を採用すれば電動化といえる。ハイブリッドカーというのは、もはやけっして珍しい存在ではない。
たとえば、日産のコンパクトカー「ノート」は全車がe-POWERと呼ばれるシリーズハイブリッドのパワートレインで、すなわち100%電動化を実現している。
では、2035年までのフル電動化は現実的な目標なのだろうか。
たしかにBセグメント以上の領域ではハイブリッドカーが設定されているクルマが多数派である。コンパクトカーであってもトヨタ・ヤリス、ホンダ・フィットといったモデルも2モーターのEV走行可能なハイブリッド仕様を用意しているほど、当たり前の存在となっている。
マイルドハイブリッドと呼ばれる非常に出力の小さいモーターを持つクルマも電動車両に含めるのならば、登録車の乗用車においては100%電動化というのは技術的には難しい話とは思えない。
ハイブリッドのラインアップが多いとはいえないスバルでもe-BOXERと呼ばれる2.0リッターのマイルドハイブリッドは増えているし、マツダもSKYACTIV-Xにはマイルドハイブリッドシステムを組み合わせるなど電動化の拡大を意識している。
軽自動車の電動化は意外にも進んでいる
一方で、軽自動車についてはコストアップ要因となる電動化については否定的な声も少なくない。軽自動車に電動化は技術的に難しいという指摘もある。
しかし、よく考えてみて欲しい。たしかに軽自動車ナンバーワンのホンダN-BOXはマイルドハイブリッド機構さえ備わっていないが、スズキは幅広くマイルドハイブリッドを設定しているし、日産・三菱自動車の軽自動車にもマイルドハイブリッドは備わっている。
そして、ホンダN-BOXと、マイルドハイブリッドを搭載するスズキ・スペーシアの価格を比べると、細かい装備差を無視すれば、ハイブリッドであるスペーシアのほうが安くなっていたりする。すなわち、軽自動車の売れ筋の価格帯で全モデルをハイブリッド(電動)化することは、けっして非現実的な話とはいえないのだ。
廉価であることが重要な軽のベーシックモデルにおいては数万円の価格差は無視できない要因ではあるが、マイルドハイブリッドを電動車と認めるのであれば、それなりに現実的な価格帯で100%電動化は可能といえる。
とはいえ、前述したヤリスやフィットにおいてエンジン車とハイブリッド車には明確な価格帯の差がある。ある程度、現実的な価格での100%電動化は可能であろうが、どうしても平均価格が上昇してしまうことは間違いない。
そうなると、クルマを買うということのハードルが高くなる。つまり100%電動化は技術的に可能であっても、国内での新車市場が縮小してしまう可能性は大きい。いくら電動化が進んでも新車が売れずに、環境負荷の大きな中古車ばかりが売れたのでは、パリ協定で定められたCO2排出量削減を目指す対策の一環として考えるとナンセンスだ。
だからこそ、日本政府として新車の100%電動化を進めるのであれば、もっとも大事なのは新しい電動車両を積極的に買いたくなるような施策といえる。それも、少々の補助金をつけるという付け焼き刃の対策の話ではない。
菅政権は、単純に規制を厳しくすれば100%電動化は進むと考えているかもしれないが、経済成長あってこそ新車市場の活況である。明るい未来の見えづらいマインドのままであれば、新車の100%電動化を進めたとしても普及が進まず、環境対策としては実効性のない目標となってしまうだろう。
誰もが環境性能に優れた新車を買えるような社会とするには、根本的な景況感を上げるなど、経済成長が実感できる政策を打ち出すことが、もっとも重要といえるのだ。
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みんなのコメント
太陽光発電とかクリーンディーゼルと同質の話だと気付かないのが政治のトップというのは情けないの極みですよ。
分からん、
CO2削減と電動化にどんな意味が有るの?
日本は火力で電気を作ってるんですよ。
火力発電所を増やす事になりませんか?
進めるなら燃料車電池車じゃ無いかなあー