シートの硬さも重要だった!
足腰の弱った高齢者を後席に乗せるのに適したクルマを考えたとき、真っ先に思い浮かぶのが両側スライドドアを備えたミニバン、プチバンではないだろうか。日本は世界でも稀にみるミニバン・プチバン天国で、数多くの車種が揃っている。だが、ミニバンならすべて足腰の弱った高齢者を後席に乗せやすいか? と言えば、じつはそうでもない。
ドアの広さや床の低さだけじゃダメ! 「ヒール段差」という高齢者の使いやすさを決定づける指標とは?
ミニバン・プチバンの両側スライドドア部分をじっくり観察してほしい。理想は、スライドドア開口部のステップが低くてフロアへの段差がない、いわゆるワンステップフロアで掃き出しフロアを備えていること。その好例が(というかほとんどだが)、いま新車で買える車種に絞れば、トヨタ・ノア&ヴォクシー、シエンタ、ホンダ・ステップワゴン、フリード(在庫があればオデッセイ)などだ。
2ステップのクルマは足腰の弱った高齢者に最適とは言い難い
あれれ、大人気のトヨタ・アルファード、日産セレナ、アウトドア派にも人気の三菱デリカD:5が入っていないじゃない? と思うかもしれない。トヨタ・ノア&ヴォクシー、シエンタ、ホンダ・ステップワゴン、フリード(在庫があればオデッセイ)あたりはスライドドア開口部のステップ地上高が360~390mmとごく低いものの、上記のアルファードといったミニバンはステップとフロアが2段構えになっている(つまりフロアが高い)。例えばセレナの場合、ステップ地上高は1段目390mm、フロアはそこから70mm高い地上460mmの高さになってしまうのだ。
つまり、ノア&ヴォクシーが階段1段上がるような乗車性とすれば、セレナは階段を2段上がる乗車性となる。もちろん降車の際も、フロアに対して地面が遠いことになり、足腰の弱った高齢者に最適とは言い難いのである。ワンステップか2ステップか? 足腰の弱った高齢者にどちらが適しているかは明白だろう。
余談だが、ミニバン、プチバンの2列目席は前後(左右も)スライドが可能だ。健常者であれば、後端位置にセットして、広大な膝周り空間による寛ぎ感を堪能できるのがメリットと言える。だが、足腰が弱った高齢者を乗せる場合は、後席スライド最後端位置は避けたほうが良い。
というのは、乗り込んでから体、腰、足の移動量が増え、サッと座れないからである。対象者と相談して、スライドドアから乗り込んだあと、もっともスムースに腰を下ろせるシートスライド位置を決め、その位置で乗り降りしてもらうのがベストである。
じつは合皮張りのコンビシートは有利
そして足腰の弱った高齢者がクルマのシートに座る際の盲点が、シート座面の沈み込みだ。健常者であれば、ある程度座面がたわみ、ふんわりお尻が沈み込むソファ感覚のかけ心地を好み、快適と感じるケースも多いはずだ。逆に足腰の弱った高齢者からすれば、お尻が沈み込んだ分、立ち上がり性が悪くなり、足腰に負担がかがることもある。
そこで考えたいのが、ファブリックシートと合皮(あれば本革シート)シートの選択だ。ご存じのように、多くの合皮や本革シートはファブリックシートより表皮の張りが強く、体重によってはたわみ量、沈み込み量が少ない。体重65kgの筆者でも、本革シートで体重によって座面が絶妙にたわみ、お尻が沈み込み、心地よいホールド感あるソファ感覚のかけ心地が得られる国産車は、日産ノートオーラぐらいのものなのだ。
だが、足腰が弱った高齢者は、むしろ表皮の張りの強いシートのほうが座りやすく、立ち上がりやすいはずで、車種にもよるが、あえて合皮、本革シートを選んだほうがよかったりする。直近の印象では、新型ステップワゴンの場合、エアーはファブリックシート専用で、ファミリーミニバンに相応しい座面のたわみ、沈み込み、ソファ的快適感、そしてシートバックのフィット感は文句なし。
一方、スパーダ以上の合皮コンビシートは、体重65kgの筆者でも、表皮の張りが強く感じられ、お尻の沈み込み量も少なめとなるからだ(とくに3列目席で差が大きい)。そのかけ心地の違いから、今回のテーマとしては、ステップワゴンの場合、スパーダ以上の合皮コンビシートが足腰の弱った高齢者向きのシートと言えるのだ。合わせて、降車時のお尻の滑りやすさ(横移動)=降車性の良さの点でも、シートサイドがファブリックよりお尻を滑らせやすい合皮張りになるコンビシートは有利だったりする。
あわせて、センターピラーにあるアシストグリップも、車種によって高さや長さが異なる。新型ノア&ヴォクシーのように、アシストグリップがドーンと縦長で、下半分が子どもでも握りやすい細さに工夫されているアシストグリップは、握力の弱った高齢者も握りやすくうってつけである。ミニバンやプチバン選びの際は、そうした点に着目して、足腰の弱った高齢者に最適な1台を選んでほしい。
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みんなのコメント
高齢者でなくとも、足にけがをしているなど、足が不自由な人にとっては360mmでも高すぎます。
いかに足腰が丈夫な自分基準で書いているかがわかる文ですね。
ステップの高さよりも、シート座面の高さが一番問題ですね。
立っている状態から、腰を持ち上げずに座れる高さが最低限の高さです。実際にはそこから多少低い程度が使いやすい。低すぎると今度は降りるときに立ちにくくなります。
立っていると言っても、ご老人のように腰をかがめている方の場合は、そのかがめている高さからが基準ですよ。