現在位置: carview! > ニュース > 業界ニュース > 高齢者の乗り降りは想像以上に難しい! 本当にリヤシートの乗降性に優れたミニバンとは

ここから本文です

高齢者の乗り降りは想像以上に難しい! 本当にリヤシートの乗降性に優れたミニバンとは

掲載 32
高齢者の乗り降りは想像以上に難しい! 本当にリヤシートの乗降性に優れたミニバンとは

シートの硬さも重要だった!

 足腰の弱った高齢者を後席に乗せるのに適したクルマを考えたとき、真っ先に思い浮かぶのが両側スライドドアを備えたミニバン、プチバンではないだろうか。日本は世界でも稀にみるミニバン・プチバン天国で、数多くの車種が揃っている。だが、ミニバンならすべて足腰の弱った高齢者を後席に乗せやすいか? と言えば、じつはそうでもない。

ドアの広さや床の低さだけじゃダメ! 「ヒール段差」という高齢者の使いやすさを決定づける指標とは?

 ミニバン・プチバンの両側スライドドア部分をじっくり観察してほしい。理想は、スライドドア開口部のステップが低くてフロアへの段差がない、いわゆるワンステップフロアで掃き出しフロアを備えていること。その好例が(というかほとんどだが)、いま新車で買える車種に絞れば、トヨタ・ノア&ヴォクシー、シエンタ、ホンダ・ステップワゴン、フリード(在庫があればオデッセイ)などだ。

2ステップのクルマは足腰の弱った高齢者に最適とは言い難い

 あれれ、大人気のトヨタ・アルファード、日産セレナ、アウトドア派にも人気の三菱デリカD:5が入っていないじゃない? と思うかもしれない。トヨタ・ノア&ヴォクシー、シエンタ、ホンダ・ステップワゴン、フリード(在庫があればオデッセイ)あたりはスライドドア開口部のステップ地上高が360~390mmとごく低いものの、上記のアルファードといったミニバンはステップとフロアが2段構えになっている(つまりフロアが高い)。例えばセレナの場合、ステップ地上高は1段目390mm、フロアはそこから70mm高い地上460mmの高さになってしまうのだ。

 つまり、ノア&ヴォクシーが階段1段上がるような乗車性とすれば、セレナは階段を2段上がる乗車性となる。もちろん降車の際も、フロアに対して地面が遠いことになり、足腰の弱った高齢者に最適とは言い難いのである。ワンステップか2ステップか? 足腰の弱った高齢者にどちらが適しているかは明白だろう。

 余談だが、ミニバン、プチバンの2列目席は前後(左右も)スライドが可能だ。健常者であれば、後端位置にセットして、広大な膝周り空間による寛ぎ感を堪能できるのがメリットと言える。だが、足腰が弱った高齢者を乗せる場合は、後席スライド最後端位置は避けたほうが良い。

 というのは、乗り込んでから体、腰、足の移動量が増え、サッと座れないからである。対象者と相談して、スライドドアから乗り込んだあと、もっともスムースに腰を下ろせるシートスライド位置を決め、その位置で乗り降りしてもらうのがベストである。

じつは合皮張りのコンビシートは有利

 そして足腰の弱った高齢者がクルマのシートに座る際の盲点が、シート座面の沈み込みだ。健常者であれば、ある程度座面がたわみ、ふんわりお尻が沈み込むソファ感覚のかけ心地を好み、快適と感じるケースも多いはずだ。逆に足腰の弱った高齢者からすれば、お尻が沈み込んだ分、立ち上がり性が悪くなり、足腰に負担がかがることもある。

 そこで考えたいのが、ファブリックシートと合皮(あれば本革シート)シートの選択だ。ご存じのように、多くの合皮や本革シートはファブリックシートより表皮の張りが強く、体重によってはたわみ量、沈み込み量が少ない。体重65kgの筆者でも、本革シートで体重によって座面が絶妙にたわみ、お尻が沈み込み、心地よいホールド感あるソファ感覚のかけ心地が得られる国産車は、日産ノートオーラぐらいのものなのだ。

 だが、足腰が弱った高齢者は、むしろ表皮の張りの強いシートのほうが座りやすく、立ち上がりやすいはずで、車種にもよるが、あえて合皮、本革シートを選んだほうがよかったりする。直近の印象では、新型ステップワゴンの場合、エアーはファブリックシート専用で、ファミリーミニバンに相応しい座面のたわみ、沈み込み、ソファ的快適感、そしてシートバックのフィット感は文句なし。

 一方、スパーダ以上の合皮コンビシートは、体重65kgの筆者でも、表皮の張りが強く感じられ、お尻の沈み込み量も少なめとなるからだ(とくに3列目席で差が大きい)。そのかけ心地の違いから、今回のテーマとしては、ステップワゴンの場合、スパーダ以上の合皮コンビシートが足腰の弱った高齢者向きのシートと言えるのだ。合わせて、降車時のお尻の滑りやすさ(横移動)=降車性の良さの点でも、シートサイドがファブリックよりお尻を滑らせやすい合皮張りになるコンビシートは有利だったりする。

 あわせて、センターピラーにあるアシストグリップも、車種によって高さや長さが異なる。新型ノア&ヴォクシーのように、アシストグリップがドーンと縦長で、下半分が子どもでも握りやすい細さに工夫されているアシストグリップは、握力の弱った高齢者も握りやすくうってつけである。ミニバンやプチバン選びの際は、そうした点に着目して、足腰の弱った高齢者に最適な1台を選んでほしい。

こんな記事も読まれています

テラチャージが東京西徳洲会病院にEV充電器を導入予定 2024年秋
テラチャージが東京西徳洲会病院にEV充電器を導入予定 2024年秋
レスポンス
アキバ・スクエアでバイクイベント「8月19日はバイクの日 HAVE A BIKE DAY」を8/19開催!
アキバ・スクエアでバイクイベント「8月19日はバイクの日 HAVE A BIKE DAY」を8/19開催!
バイクブロス
今週は湖に繰り出す気マンマンだった……オジェの代役で急遽ラリー・ポーランド参戦のロバンペラ、準備不足は否めず「かなり厳しい」
今週は湖に繰り出す気マンマンだった……オジェの代役で急遽ラリー・ポーランド参戦のロバンペラ、準備不足は否めず「かなり厳しい」
motorsport.com 日本版
いまハイエースを売ったらいくらになる!? 2024年6月の買取相場
いまハイエースを売ったらいくらになる!? 2024年6月の買取相場
月刊自家用車WEB
3年ぶり刷新! 日産「新型“小さな”高級車」初公開! クラス超え「上質オシャレ内装」×斬新グリル&ホイール採用! 新型「ノートオーラ」改良のポイントとは
3年ぶり刷新! 日産「新型“小さな”高級車」初公開! クラス超え「上質オシャレ内装」×斬新グリル&ホイール採用! 新型「ノートオーラ」改良のポイントとは
くるまのニュース
『ぽんこつジムニー』ハコ替え計画26-3「JB64のシートを移植しよう」
『ぽんこつジムニー』ハコ替え計画26-3「JB64のシートを移植しよう」
グーネット
ポルシェ「911ターボ3.6」が約4360万円で落札!「964型」で最も人気のある1台は「マイルからキロ」に変更されていました
ポルシェ「911ターボ3.6」が約4360万円で落札!「964型」で最も人気のある1台は「マイルからキロ」に変更されていました
Auto Messe Web
VW『ジェッタ』に改良新型、表情変化…米国発表
VW『ジェッタ』に改良新型、表情変化…米国発表
レスポンス
ハミルトンに対するチームの陰謀を主張するメールがF1関係者に届く。メルセデスは捜査を依頼も、警察は犯罪行為を否定
ハミルトンに対するチームの陰謀を主張するメールがF1関係者に届く。メルセデスは捜査を依頼も、警察は犯罪行為を否定
AUTOSPORT web
【このSクラスなんぼ?】1988年式のメルセデスSクラス(W126)が4千ユーロ(約68万円)以下?その理由は?走行距離だ!
【このSクラスなんぼ?】1988年式のメルセデスSクラス(W126)が4千ユーロ(約68万円)以下?その理由は?走行距離だ!
AutoBild Japan
「ボルボ」ってどんな香り? D.S.&Durgaとコラボし北欧をイメージした限定のアロマキャンドル「SWOODISH」発売。【新着ドライブコーデ】
「ボルボ」ってどんな香り? D.S.&Durgaとコラボし北欧をイメージした限定のアロマキャンドル「SWOODISH」発売。【新着ドライブコーデ】
くるくら
BMW『X5』に25周年記念車、オフロード性能向上 8月から限定生産
BMW『X5』に25周年記念車、オフロード性能向上 8月から限定生産
レスポンス
LUUP、座席カゴ付きの特定小型原付「電動シートボード」を発表! 新車両は歩道を走れる?
LUUP、座席カゴ付きの特定小型原付「電動シートボード」を発表! 新車両は歩道を走れる?
くるくら
NLS耐久シリーズ・NLS3クラスでトーヨータイヤ『プロクセス』装着車両が優勝
NLS耐久シリーズ・NLS3クラスでトーヨータイヤ『プロクセス』装着車両が優勝
レスポンス
「これで、売れなくなったらどうしよう……」 新型フリード登場で困っているのは、実はホンダの……【ディーラー生情報】
「これで、売れなくなったらどうしよう……」 新型フリード登場で困っているのは、実はホンダの……【ディーラー生情報】
月刊自家用車WEB
まるで本物のクルマ? 超カッコイイ! リバティウォークとコラボした世界中で大人気のレースゲーム「レーシングマスター」とは
まるで本物のクルマ? 超カッコイイ! リバティウォークとコラボした世界中で大人気のレースゲーム「レーシングマスター」とは
くるまのニュース
これ最高じゃん! 車を守る「ソーラーカーシールド」はこの夏に導入したい期待のアイテム
これ最高じゃん! 車を守る「ソーラーカーシールド」はこの夏に導入したい期待のアイテム
月刊自家用車WEB
米国の熱狂的日産「パルサーGTI-R」ファンと遭遇! 3台所有するライアンさんは33年前の「パイクスピーク」で走った憧れの選手との再会でした
米国の熱狂的日産「パルサーGTI-R」ファンと遭遇! 3台所有するライアンさんは33年前の「パイクスピーク」で走った憧れの選手との再会でした
Auto Messe Web

みんなのコメント

32件
  • >ステップ地上高が360~390mmとごく低いものの

    高齢者でなくとも、足にけがをしているなど、足が不自由な人にとっては360mmでも高すぎます。
    いかに足腰が丈夫な自分基準で書いているかがわかる文ですね。

    ステップの高さよりも、シート座面の高さが一番問題ですね。
    立っている状態から、腰を持ち上げずに座れる高さが最低限の高さです。実際にはそこから多少低い程度が使いやすい。低すぎると今度は降りるときに立ちにくくなります。
    立っていると言っても、ご老人のように腰をかがめている方の場合は、そのかがめている高さからが基準ですよ。
  • 最低地上高9cmギリギリまで下げたスライドドア付きのラウムが最強やな
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離(km)

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村