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280馬力規制があるからメーカーもファンも白熱! 1990年代の熱すぎるスポーツカー6台

掲載 更新 67
280馬力規制があるからメーカーもファンも白熱! 1990年代の熱すぎるスポーツカー6台

 馬力規制によって個性あふれるスポーツカーが多数登場した

 2020年、国産モデルで最大馬力のスポーツカーといえば600馬力を誇る日産GT-R NISMOだろうが、1990年代には280馬力の自主規制があった。いわゆる「280馬力規制」が解除されたのは2004年で、それまでの国産スポーツカーは軒並み280馬力の最高出力で横並びにならざるを得ない状況だった。そうして最高出力で差別化できないからこそ、各社がキャラクターを磨き上げて、差別化を図ったという面もある。ここでは、そんな馬力規制の時代に生まれた国産スポーツモデルを思い返してみよう。

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 1)日産スカイラインGT-R(RB26DETT)

 280馬力規制を生む原因となったのは1989年に誕生した日産フェアレディZ(Z32)というのはよく知られた話だが、やはり同時期の日産を代表するスポーツカーといえばスカイラインGT-Rを推したい。

 その象徴といえる2.6リッター直列6気筒ツインターボ「RB26DETT」エンジンは、ノーマルブロックでも500馬力以上に対応するというオーバースペックな仕様となっていたのは改造範囲の限定されるGr.Aというレースレギュレーションで勝利を掴むためだが、BNR32、BCNR33、BNR34という3モデルにおいてついぞ280馬力規制を超えることはできなかった。だからこそ、スカイラインGT-Rは駆動システムやシャシーの性能を磨くという手段を選ぶことになった。

 メカニズムでいえば駆動配分制御の「ATTESA(アテーサ)E-TS」と、後輪操舵の「HICAS(ハイキャス)」である。BNR32では油圧式だった後輪操舵システム「スーパーハイキャス」は、BCNR33から電動タイプとなりシステムの耐久性を上げると同時に、応答時間も短縮した。GT-Rの走りを生み出した「アテーサE-TS」についても、BCNR33・BNR34の上級グレードV-SPECにおいて「アテーサE-TSプロ」へと進化。リヤデフも電子制御化することで前後駆動トルク配分だけでなく、後輪の差動制限も含めた駆動力コントロールにより、曲がる四駆という個性を極めていった。

 もしエンジンのパワー競争が盛んになっていたら、駆動制御の進化にこれほど注目が集まっていたかどうか。その意味でも280馬力規制が、アテーサE-TSやハイキャスの進化を後押ししてのかもしれない。

 2)ホンダNSX(C30A/C32B)

 もちろん、280馬力規制はNA(自然吸気)エンジンにも適応された。トヨタ・センチュリー(2代目)など大排気量によって規制値に辿り着くモデルもあったが、NAエンジンとしては最小排気量となる3リッターV6「C30A」エンジンで280馬力を実現したのがホンダNSXだ。可変バルブリフトシステムの代名詞となった「VTEC」を採用したことで280馬力を実現したが、1.6リッタークラスではリッター当たり100馬力を実現していたことを考えると、ギリギリで出していたというわけではないだろう。

 もっとも、この初代NSXについていえば世界初のオールアルミモノコックボディや、高い運転スキルを求めない“エブリデイ・スーパーカー”といった斬新なコンセプトが多くのフォロワーを生んだことで自動車史に残る存在となっている。

 なお、1997年のマイナーチェンジ以降、MT車のみ3.2リッターの「C32B」エンジンへと変わっているが、やはり280馬力の壁を超えることはできなかった。ただし、国産車として初めて280馬力を突破したのは、ホンダのNA・V6エンジンで、それはレジェンドの3.5リッター「J35A」エンジンだった。

 3)マツダRX-7(13B-REW)

 現時点で、マツダから生まれた最後のロータリーターボエンジンとなる「13B-REW」を積んでいたのが3代目RX-7(FD3S)だ。13B-REWは654ccの排気量となるローターハウジングを2つ並べた2ローターエンジンであり、ターボチャージャーは大小2つを組み合わせたシーケンシャルツインターボという凝ったものだった。1991年のデビュー当初は255馬力だったが、マイナーチェンジにより265馬力へとパワーアップ。1999年にはついに280馬力を発生するエンジンへと進化した。

 コンパクトなロータリーエンジンをフロントミッドシップ(前軸より後ろ)に搭載するといった専用パッケージで、切れ味鋭いコーナリングマシンというキャラクターだったが、馬力規制がいつの間にか期待値とニアリーイコールになり「最低でも280馬力はほしい」というユーザーの声に応えたカタチといえる。

 開発リソースを駆動系に費やし進化を遂げたモデルも存在!

 4)トヨタ・スープラ(1JZ-GTE/2JZ-GTE)

 トヨタを代表するスポーツカーといえば「スープラ」。現行モデルでもフラッグシップには直列6気筒エンジンを積んでいるが、280馬力規制の時代に生まれたスープラは、直列6気筒専用マシンという位置づけだった。そのスープラが初めて280馬力に達したのはA70型と呼ばれる3代目モデルのモデル後半。1990年のマイナーチェンジで2.5リッター直列6気筒ツインターボ「1JZ-GTE」エンジンを搭載したときだった。

 そして1993年のフルモデルチェンジでA80型になると、その心臓には3.0リッター直列6気筒ツインターボ「2JZ-GTE」が与えられた(NA仕様の設定もあった)。

 カタログスペックは280馬力にとどまっていたが、2JZ-GTEのポテンシャルは1000馬力級という伝説めいた話は、映画『ワイルドスピード』により世間一般に知られるようになった。280馬力規制さえなければ、このスープラがどこまでパワーアップしていたのだろうか。

 5)三菱ランサーエボリューション(4G63)

 1992年にWRC(世界ラリー選手権)用のホモロゲーションモデルとして誕生したランサーエボリューション。そのフロントには、世界最強の4気筒エンジンとさえ称された2リッター直列4気筒ターボ「4G63」エンジンが積まれていた。デビュー当初は250馬力だったが、毎年のように進化していくなか、1996年エボIVになった際に規制値である280馬力に到達。

 その後は規制値ギリギリのエンジン特性も磨きつつ、ACD(アクティブセンターデフ)やAYC(アクティブヨーコントロール)といった駆動制御技術を高めていった。それがランサーエボリューションの個性となり、さらに三菱自動車全体のキーテクノロジーとなっていった。現在のS-AWC(スーパーオールホイールコントロール)につながっている。WRCという舞台で求められた技術ではあるが、馬力規制がなかったら開発リソースをこれほど駆動系に振り向けたかどうか……。

 6)スバル・インプレッサWRX STi(EJ20)

 ランサーエボリューションの好敵手として、国内外のモータースポーツシーンでしのぎを削ったのが、インプレッサWRX STi(この時代は「i」は小文字だった)で決まりだ。

 240馬力の2リッター水平対向4気筒「EJ20」エンジンを積むWRXグレードをベースに、モータースポーツ部門であるスバルテクニカインターナショナルが手掛けたモデルが「WRX STi」という位置づけで、後にカタログモデルになってからもSTiの知見が入ったモデルとして、エンジン、駆動系を進化させていった。

 しかし、ここで注目したいのはSTiによるコンプリートカー。まだまだ280馬力規制下の2000年に誕生した「S201」は300馬力を実現。2代目インプレッサWRXをベースとして2002年に生まれた「S202」においては320馬力まで達していた。量産モデルではないが、規制の壁を越えた国産車として記憶に残る。さらに、このEJ20エンジンは超長寿ユニットで、1989年から2019年まで30年にわたり新車に搭載され、ブラッシュアップを続けてきたという点からも280馬力規制の時代が育てた名機といえる。

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みんなのコメント

67件
  • バブル期の貴重なスポーツカーたちがどんどん外国に流出しています。外国に買われたら二度と日本には戻らないでしょう。その前に、日本人の皆様に購入してもらって、この流れを阻止して欲しいと祈念いたします。
  • 確かにいろいろ言われてた馬力規制だけど、それがあったからこそその他の性能で競い合って、技術の進歩に繫がったのかもしれない。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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