■7年経過した「ワゴンR」の現状は?
クルマにはさまざまなカテゴリーがありますが、人気が一番高いのは「軽自動車」で、いまでは、国内で新車として売られるクルマの35~38%を占めています。
そして軽自動車は、機能や装備の割に価格を安く抑えている薄利多売の商品ですから、1台当たりの売れ行きを多くする必要があります。そのために軽自動車には、設計の新しい車種が多いです。
【画像】カッコイイ! これが最新の「ワゴンR」です! 画像を見る
ところがスズキ「ワゴンR」は設計が古く、現行モデルの発売は2017年2月ですから、既に7年以上を経過しています。
ちなみに、スズキ「スペーシア」は先代モデルが2017年12月に登場し、2023年11月には現行モデルへフルモデルチェンジされました。
同じく2017年発売されたワゴンRが、未だに刷新されないのは不自然です。
果たして新型ワゴンRは登場しないのでしょうか。
スズキの販売店に聞いてみると、「ワゴンRがフルモデルチェンジをおこなうという話は、今のところメーカーからは聞いていません。注文も通常通り入れられます」との返答でした。
では、現行ワゴンRの売れ行きはどうでしょうか。
「スライドドアを装着して乗降性を向上させた『ワゴンRスマイル』が(2021年9月に)追加され、売れ行きはワゴンRを上まわります。
しかしワゴンRには安価なグレードもあり、価格を重視するお客様には人気です。
ボディが軽く、ターボを装着しなくても、それなりに良く走ることも特徴です」(スズキ販売店スタッフ)
ワゴンRの車両重量は、ベーシックグレードの「FX(2WD)」であれば750kgに収まります。ワゴンRスマイルの「ハイブリッドX」(870kg)や、スペーシアの「ハイブリッドX」(880kg)に比べて大幅に軽いです。
またワゴンRは全高が1600mmを超える車内の広い軽自動車ですが、FXの価格は129万6900円です。
ワゴンRスマイル ハイブリッドXの164万7800円、スペーシア ハイブリッドXの170万5000円に比べると、装備がシンプルな代わりに35万円~40万円も安いのです。
販売店では「背の高い軽自動車は、商売をしているお客様が、配達などに使うこともあります。ワゴンRは後席を格納すると広い荷室になり、価格の安いグレードもあるため、商用バンとして使われることも多いです」と言います。
「アルト」で売れ筋になる中級グレードの「ハイブリッドS」が121万8800円ですから、ワゴンR FXが129万6900円であれば、車内の広さを重視するユーザーには買い得でしょう。
このように考えると、ワゴンRはフルモデルチェンジを行って売れ行き回復すべき車種に思われますが、そうならないのは、以前に比べると売れ行きが下がったからです。
■「新型ワゴンR」どんなモデルに進化する?
ワゴンRの販売推移を振り返ると、2代目が発売された1998年から3代目が販売されていた2006年頃までは、1か月平均で1万6000台前後が届け出されていました。2000年や2005年などは、1か月平均が約2万台に達しています。
この流れが変わったのは2008年以降です。この年には、スズキがスペーシアの前身となる「パレット」を発売しました。
全高が1700mm以上でスライドドアを装着するスーパーハイトワゴンですが、ホンダも同じカテゴリーの初代「N-BOX」を2011年に発売してヒットさせると、ワゴンRの売れ行きは次第に下がり始めます。
その結果、以前は1か月平均で2万台以上に達したワゴンRの届け出台数が、2023年はワゴンR+ワゴンRスマイルの合計で6020台でした。
この内、ワゴンRのみの正味台数は2500~3000台ですから、2000年代の約15%です。人気の中心は以前のワゴンRからスペーシアに移りました。
2023年におけるワゴンRの販売実績をほかの軽自動車と比べると、スズキ「ジムニー」、ライバル車のホンダ「N-WGN」や日産「デイズ」、電気自動車の日産「サクラ」を下まわります。
この実績ではメーカーも判断が難しいです。多額の開発費用を投じてフルモデルチェンジを行っても、売れ行きが順調に増えるとは限りません。
だからといって廃止するのも惜しいです。全高が1600mmを超える広い室内を備えた軽自動車で、価格が120万円台の車種はほかにないためです。
ダイハツ「ムーヴ」も生産を終了した今、車内の広い安価な軽自動車はワゴンRだけですから、前述の通り1か月に2500台~3000台は安定して販売され、手堅い商品になっているのです。
この状況を受けて、スズキの社内からも「ワゴンRはどうしたものか」という声が聞かれます。新型ワゴンRが音沙汰なしになっているのは当然で、どうやら本格的な開発はスタートしていないようです。
それでもワゴンRはスズキの基幹車種ですから廃止はできません。そこで今後は、環境性能の優れた軽自動車として発展する可能性が高いです。
従来のワゴンRも、新規開発されたプラットフォーム、直噴ターボエンジン、エネチャージのような環境対応のメカニズムを最初に採用してきたからです。
そしてこれからのスズキは、48Vタイプのハイブリッドを「スーパーエネチャージ」として軽自動車に搭載すると発表しています。
48Vハイブリッドは、一般的にはマイルドタイプですが、スズキの軽い軽自動車に搭載するとフルハイブリッド並みの効果を発揮します。
このスーパーエネチャージはアルトにも搭載され、WLTCモード燃費で30km/Lオーバーを目指しますが、実用性を高めた車種では新型ワゴンRも採用する可能性が高いでしょう。
この時には、現在よりもさらに軽量な新型プラットフォームが採用され、同じベースを使って純粋な電気自動車を開発する可能性もあります。
現在のワゴンRは、FXを筆頭に車内の広い低価格車という位置付けに特徴がありますが、今後は環境性能も加わるものと思われます。
前出の販売店スタッフからも「ワゴンRはボディが軽いため、ターボを装着しなくても、それなりに良く走る」という話がありましたが、将来のワゴンRでは、ボディの軽さをさらに磨いて600kg台の後半に入ることで、優れた環境性能に生かされます。
新型ワゴンRの発売時期は、2027年からワゴンRの生誕35周年を迎える2028年頃かもしれません。大いに期待したいです。
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みんなのコメント
通勤メインで、荷物を積む必要も無いし🙄背高も要らないからこれがベストなサイズです😄