■小さいながらも実力を秘めたコンパクトカー
クルマのサイズが世界的に大きくなるなかで、注目を集めているのがコンパクトカーです。
日本のコンパクトは「ノート」「アクア」の2強時代? なぜ「フィット」は加われないのか
以前はただ安価なクルマだったコンパクトカーも、満足度を高めるべく技術開発が行われ、サイズが小さい以外は上位車種を脅かす実力を秘めたモデルもあります。しかも、軽量コンパクトなボディは燃費にも好影響です。
そこで、国土交通省が2019年3月に公開した「自動車燃費一覧」から、コンパクトカーに分類されるクルマの燃費(JC08モード)上位5台を紹介します。
なお、ディーゼルエンジン車は除外しています。
●1位 トヨタ「アクア」 JC08モード燃費 38.0km/L
トヨタのハイブリッド専用車で「プリウス」の弟分として2011年に登場したのが「アクア」です。同社にはこのクラスに「ヴィッツ」という人気車種がありますが、あえて別のモデルとして発売しました。
燃費を重視するハイブリッドカーらしい空力を意識した背の低いボディは、ルーフ断面を「かもめ」形状にする「パゴダルーフ」が特徴で、ヴィッツよりも少し長いホイールベースと全長を持っています。
ハイブリッドシステムは「THS II(Toyota Hybrid System II)」を搭載し、初代プリウスから採用している1.5リッター直列4気筒エンジン「1NZ-FXE型」エンジンと、「1LM型」モーターにより、両者の出力を走行と発電に巧みに振り分けます。
ベーシックモデルでは軽量化され、重量は「アクア L」で1060kg。その「L」のJC08モード燃費は38.km/L、その他のグレードでは34.4km/Lとなっています。
価格は「L」で178万5240円(消費税込:以下同様)から。装備の充実した「S」は188万6760円と200万円以下から狙えます。
●2位 ホンダ「フィット ハイブリッド」 JC08モード燃費 37.2km/L
ホンダのベストセラーコンパクトカー「フィット」のハイブリッド仕様は、2010年に2代目フィットの時に発売されました。現在の3代目フィットではハイブリッドシステムを一新し、モーターのみでの走行を可能とする「SPORT HYBRID i-DCD」を搭載しています。
フィットが人気の理由のひとつに「センタータンクレイアウト」(燃料タンクを前席下に配置)による、車内の広さとシートアレンジの多彩さがありますが、ハイブリッド仕様でもそれを踏襲。
同クラスのトヨタ「アクア」と比べても室内幅、高さとも余裕があります。
ハイブリッドシステムは最高出力110馬力の1.5リッター直列4気筒と、最高出力29.5馬力の電気モーターが組み合わされ、燃費はベーシックな装備の「フィット HYBRID」がJC08モード37.2km/L、その他の量販グレードでは34.0km/L、4WDでは28.6km/Lとなっています。
価格は「HYBRID」が169万9920円からとなっています。
●2位タイ 日産「ノート e-POWER」 JC08モード燃費 37.2km/L
「e-POWER」で人気車種になった日産「ノート」ですが、日産のベーシックカー「マーチ」よりも少し全長が長く、室内も広くしたコンパクトカーとして2005年に発売されました。
現在の2代目は2012年発売ですが、2016年のマイナーチェンジでフロントマスクが大きく変わるとともに、シリーズハイブリッドe-POWERが加わり、一気に注目を集めるクルマに変貌を遂げました。
e-POWERはほかのハイブリッド車と違い、エンジンを発電のみに使って、走行はすべて電気モーターとしています。
トランスミッションやトルクコンバーターといった複雑でメンテナンスの必要なメカニズムをなくし、エンジンも効率のいい回転数を使って発電します。
電気モーターならではのスムーズで力強く走れる走行特性や、回生ブレーキを巧みに利用してアクセルペダルだけで発進から停止までコントロールできる「e-POWER Drive」の搭載も特徴です。
エンジンは1.2リッター直列3気筒ですが走行に関しては、回転数ゼロから最大25.9kgmのトルクを発生し、最高出力109馬力の「EM57型」モーターが担当します。
JC08モード燃費は最もベーシックな「ノート e-POWER S」で37.2km/L、その他は34.0km/L、後輪をモーターアシストする4WDは28.8km/Lです。
価格はe-POWER Sで190万1880円からとなっています。
■スポーツコンパクトでも低燃費を実現
●4位 トヨタ「ヴィッツ ハイブリッド」 JC08モード燃費 34.4km/L
トヨタを代表するコンパクトカー「ヴィッツ」は2017年にマイナーチェンジした時、ハイブリッド車が追加設定されました。
アクアよりもわずかに全長が短く、車高が高い一般的なコンパクトカーのボディとなっていますが、欧州などではアクアではなくヴィッツ(現地名ヤリス)ハイブリッドを供給している地域もあるほどです。
ハイブリッドシステム「THS II」は基本的にアクアと同一で、1.5リッター直列4気筒「1NZ-FXE型」エンジンと、「1LM型」モーターを組み合わせている点も同じです。
ヴィッツ ハイブリッドの燃費はJC08モードで34.4km/Lで、グレードによる差はありません。
価格はもっともベーシックな「ヴィッツ HYBRID F」で181万9800円からとなっています。
●5位 トヨタ「カローラスポーツ ハイブリッド」 JC08モード燃費 34.2km/L
2018年に発売されたトヨタ「カローラスポーツ」は、カローラシリーズの5ドアハッチバック版で、古くは「カローラFX」「カローラランクス」の流れをくみ、実質的には「オーリス」の後継車種です。
世界的なボディサイズ拡大の流れで全幅が1790mmとなったため、全車3ナンバーとなっていますが、全長4375mmと十分コンパクトカーサイズに。
ボディが大きいだけに車重もベーシックグレードで1370kgと重くなっていますが、1.8リッター直列4気筒「12ZR-FXE型」エンジンと、「1NM型」モーターによるハイブリッドシステム「THS II」により、JC08モード燃費34.2km/Lを記録しています
価格は「カローラスポーツ HYBRID G“X”」で241万9200円から。18インチタイヤなど装備が充実した「HYBRID G“Z”」では268万9200円となっています。
※ ※ ※
今回紹介した5台はどれもハイブリッド車ですが、メーカーによってシステムに違いがあり、選択肢が増えるのも魅力的です。
サイズや価格だけではなく、メーカー独自の搭載技術で選ぶのもおすすめです。
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